手を繋ぐ



一度繋いだこの手を、離すことはもうない。
ずっと、このままだよ。



「……ねえ、サンジさん」
「ん? どうしたの、ロビンちゃん」
久しぶりに上陸した、小さな港町。俺の隣を歩く愛しい人は、ほんのり頬を赤らめ、下を向いている。
「あのね、……恥ずかしいから、手……離しても、いいかしら?」
「どうして?」
俺はロビンちゃんと手を繋いで歩いていたんだ。
いつもならしないこと。でも、今日はしたかったんだ。
理由は簡単。道行く見知らぬ恋人達がそうしていたから。
何だか凄く羨ましくて……幸せそうだったし、何より綺麗だったんだ。
だから今日は、手を繋いだ。
「恥ずかしい? 手、繋ぐの……」
「恥ずかしいというか、……こんな風に、男の人と外を歩いたことがないの……だから」
「そう、じゃあ……手を繋ぐのは、俺が初めてなんだ」
「……ええ、……そうよ」
「そっか。じゃあ、……やっぱり離さない♪」




「もう、サンジさん!」
赤くなるロビンちゃん、だってすごく可愛いんだ。
恋人同士という関係と、そこから生ずる行為に彼女はまだ不慣れで、ぎこちなくて。でもそこが堪らなく可愛い。
離さないよ、繋いだこの手は何があっても。
話すもんか。絶対絶対。




手を通じて伝わってくるんだ。
ロビンちゃんの気持ちも暖かさも、なにもかも。
聞こえてくるんだ。俺の手とロビンちゃんの手は、会話を交わしてる。




だから離さない。
繋いだこの手は、ずっと、ずっと。


何があっても、離さない。




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