koakuma 〜The treasure which she desires〜
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男を惑わせ、性の悦びを貪る小悪魔。
奴の本当の姿は海賊などではないのではないかと、最近思うようになった。
小悪魔こそが、奴の本当の姿なのではないかと。
会うたびに必ず奴の身体の何処彼処にある、俺ではないほかの男の付けた名残。
会うたびに深くなっていく、奴の劣情。
奴は一体、何を望んでいるのか。
世の海賊達が目の色を変えて探し回る、一繋ぎの大秘宝。海賊王の証。
奴はそれを本当に望んでいるのだろうか?
その夜、夏島の連込み宿に俺達はいた。
安宿のベッドは矢鱈とシーツに糊が効き、余り寝心地のいいものではなかった。
「ん、ふっ…ふふふっ、ケムリン、……ん、……くすぐってぇ」
事後の戯れに、奴はくすぐったいと小さな身体を捩る。
まだ汗ばむ大きな胸に吸い付き、脇へと手を滑らせてやる。
「やぁん…」
奴の口から零れる声に、一度萎えた俺自身が再び立ち上がってくる。
「ケムリン、さっきお風呂であんだけヤッたのに、まだ出し足りない?」
首筋に細い腕が絡み、尋ねてくる。
「ああ、…足りないな……もう少し、だ」
奴とは久しぶりに会った。グランドラインの入り口にあるロークダウンは忙しく、休暇はここ最近自由にならない。
先程狭い風呂場でかなりきわどい行為を散々、それこそ溜めた湯が冷めるまで楽しんだが、それでも
俺の身体はまだ足りない、と言っている。
麦わらは喉の奥でくくっ、と笑った。
「そっか、久しぶりだもんな…じゃぁ………全部、搾り出してやるよ……」
ごわごわしたシーツは、動くたびに擦れた音を立てる。
搾り出す、といった言葉は本当だった。僅かな物足りなさで再び繋がりを求めたことを、後悔するほどの奴の貪り。
胡坐をかいた俺の上に、麦わらが跨った。
「……アッ・ハッ・アッ・……ア、ッ、」
小気味良いリズムで、俺の上で踊る可愛い小悪魔。
そのたびに揺れる、細い手足と不釣合いなほど大きな胸。俺ではない男が咲かせた赤い花が幾つも咲いている。
「……ッ、ぐ、ッ…、はぁ…!」
奴の腰が大きくグラインドするたび、俺の脳天を直撃する快感。
たっぷりと垂らしたローションはその部分をより一層いやらしく繋ぎ、粘液質の音を立ててこの場面を淫靡に彩る。
奴の膣は、例えるなら底のない沼のようだった。どこまでも俺を快楽の深淵へとずるずると引きずり込む。
無数の襞はそれぞれが意識を持っているかのように絶妙に俺自身に絡みついてくる。
性の知識など何も持ち合わせていなさそうな外見と相反する、奴の体験の多さと深い劣情は、出会う男達を次々とその歯牙にかけていったのだ。
「…ぁあ、…ッ、く、…ッ、この……麦わら、ッ」
「…ケム、リン…っ、どしたの?…したい、って、言って、た、癖に…ッ、」
俺の上で弾む小悪魔は舌なめずりをし、下腹に力をいれ、きゅ、っと内部を締める。
「ぐ・っ……!!!!」
一瞬俺は仰け反った。思わず達してしまいそうなのを必死で耐えた。
それを見、奴が俺の手を己の胸に触れさせる。くにゅんとしたその感触。例えようのない、その柔らかさ。
「気持ち、いい、だろ?…また、フロ、っ、入ったら、挟んで…、やッから…あ、…ぅ」
「…さっきみたいに、か…?」
風呂の中では何度も奴の胸に一物を挟まれて擦られ、奴の胸に、顔に、吐き出した欲望を塗りたくった。
「……そ、ん、……さっき、みたいに…ぁぁ……ッ……、してやる……んっ」
奴の表情から、やがて余裕が消える。こうなると後はもう、お互い何もかも分からなくなるまで高まりあうまでだ。
「ん、くっ…」
奴が俺にしがみ付いてくる。泣きそうな顔と、俺の肩に立てる爪。
「……あぁん…も、駄目…ぇ……いい、っ…いいよぉ……ぉッ」
粘液質の音と、立ち込める性臭はこの行為の倒錯性を嫌でも思い知らせる。
俺は麦わらの腰を更に抱き寄せ、結合をより深くしてやる。
そして二人の間に手を差し入れ、奴の小さな割れ目を開き、淫芽が俺の肌と擦れるようにしてやる。
「んぁ、そんな、の…ッ、駄目、中だけでいいのに、そこ、駄目だぁっ」
嫌々、と首を振りながらも、一気に加速する快感は、奴にも抑えがきかないらしい。
奴の腰の律動が一層激しくなる。
「ああ…ッ、この、小悪魔め……ッ。」
俺の我慢ももう限界だった。
「ん、イク…イクの?…ね、ケムリ、ン、中が、ッ…いい…中、出して…ぇ……ッ!…一杯…ぃ」
これでもかとばかりに奴はその身を打ち付けてくる。
「中、中ッ…ぐちょぐちょが…いい…ぁ」
「中か、中でいいのか?…あぁ?…ルフィ、中がいいのか…ッ?」
「…ん、中…ッ、中、ケムリンので、一杯、一杯、奥まで…一杯が、いい、――……の…ッ、……!」
「ぅ・ッ、ァア……!!」
一瞬、閉じた瞼の裏に閃光。
全身を駆け巡る電流。
吐き出すというより吸い取られるように、奴の内部に全て放った俺の性。
それを吸い上げ、これでもかと締め付けていく奴の内部……。
「……ぁぁ……あ・ッ…熱い…ッ」
それを全身で味わう小悪魔は、俺と殆ど同時に絶頂へと達した。
仰け反った身体を硬直させ、うっとりとした表情でその熱さと甘さを感じている。
「あっ…あ、…」
奴がゆっくりと脱力し、崩れ落ちる。腰が抜け、どろりと溢れ出す俺の精と、奴の愛液。
「んっ、…はぁ……ッ……」
腹で荒い呼吸をしながら、麦わらが俺を見る。
「…ケムリ、ン……、」
「……何だ、……麦わら……ッ」
「すっげ、……いい……やっぱケムリンって、……サイコー……」
満足げな笑みを浮かべ、奴はまた余韻に浸る。
ひくひくと収縮を繰り返す膣からは、思い出したように透明な体液が溢れ出す。
けれどまた、明日のこの時間には、奴は別の男に抱かれ、同じような言葉を口にしているのだろう。
奴の手に掛かった男で、堕ちなかった者は誰一人としていはしない。俺もその一人なのだ。
経験を積むごとに奴は益々魅力を増してゆく。
そして性的に満たされていく、その小さな身体。
奴は一体、何を求めているのだろうか。
出合い、繋がった男達を堕落させていく小悪魔。
……奴にとっては、海賊の名も、掲げた旗も、仮の姿なのだろう。きっと。
この小さな背中には、黒い羽根を隠しているに違いない。
この小さな尻には、鉤先の尻尾を隠しているに違いない。
小悪魔は歯牙に掛けた男達を、その肉体と共に、終わらぬ夜の奴隷にしてしまう。
丁度、俺のように。
奴はその先に、一体何を望んでいるのだろうか?
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