『MORE DEEP』
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時々居るのよ、自分の魅力を理解していない子って。
彼女もそう。
イーストの田舎から出てきた世間知らずな長鼻さん。
夢見がちで、そのくせ臆病で、嘘をつくのが時に上手くて時に下手。
悪い子じゃないの。寧ろ良い子。
けど、自分がどれだけ可愛いのか、魅力があるのか…全然理解していなくて。
彼女は、コックさんの白い肌や私のストレートヘアや、船長さんの大きすぎる胸が,
羨ましくて仕方がないらしい。
…馬鹿な子ね。
あなた、とっても魅力的なのに。
「…あ、ぅん…っ」
消えそうな声を上げながら、必死になって快感に耐えるその姿。
見ていて飽きないわ…長鼻さん?
「…ロビン、ねっ…、お願い…も、やめ…」
ソファに座った私が床から生やした無数の手に絡め取られ、着ていた衣服をいやらしく乱して,
感じる箇所を全て責められながらも肝心の頂点を与えられず焦らされて…。
もう、限界だと彼女は頭を振る。
綺麗にウエーブの掛かった黒い髪も、たっぷりとした睫毛も、厚ぼったく濡れた唇も。
この行為の淫靡さに拍車をかけて、無数の手を操る私自身もじっとりと濡れてきた。
「…駄目よ、まだまだ…」
「あ・だって…」
船長さんほど大きくはないけど、背丈に見合ったサイズのかわいらしい胸の先端は、痛いくらいに
尖って…数本の手が、かわるがわるそこを摘み、愛撫している。
太いからと彼女が嘆く太股は、年頃らしくお肉がたっぷりとついて、…それが無意識のセックスアピールだと
彼女は知らないで居る。
そこもまた、私の手によって撫でられ、紅く色づいている。
勿論、その奥のデリケートな場所も…また然り。
馬鹿な子ね。
あなた、とっても魅力的よ。
だって、こんなに感じやすいんだもの。
だって、こんなにエッチなんだもの。
あの夜、酔った私が悪戯心からあなたをお風呂に誘うまで、何も知らなかったじゃない?
私があなたの魅力に気付いていたことも。
男と女がセックスのときにどんなことをするのかも。
女同士でさえコンナコトをするってことも。
自分の身体の、何処が気持ちいのかも。
「だって、イキたい…」
耐え切れずにこぼれた涙が長めの鼻を伝い、床にぽたりと落ちる。
そうそう、イクことも知らなかったわ。けど、それを覚えるのも早かったわ?
「イキたいの?…今すぐ?」
「…うん、…」
しょうのない子…可愛い子。
「…今すぐ、ね…」
私はソファから立ち上がり、ゆっくりと彼女に近づく。
「…それなら、一緒に…イキましょう?」
彼女のそばに跪き、涙で濡れるその顔をそっと包んだ。
「ね、長鼻さん?」
ちゅ、と音を立ててキスをして。
彼女を絡める手の内の何本かが、私に伸びてきて……。
「あ・あああ…っ」
「ロビン、…っ」
床から生えた無数の手に、私と彼女は翻弄され……急速に、確実に。
絶頂へと導かれていく…。
「っ、……ん、やあ、ぁ・あああぁ…イ…イ…、」
抱き合いながら、私達は堕ちていく。
「…ん、駄目よ、ね、一緒に…、一緒よ、ね、イクのは…あ・ああ…っ」
共に、共に。
深い深い快楽の沼の底へ。
「一緒よ、ねぇ、…一緒に…イキま、しょ…!」
「あ・ああぁ―――…!!」
…私は彼女が可愛くて仕方がないの。
だって彼女はこんなに魅力的。
だって彼女はこんなに感じやすい。
だって彼女はこんなに……―――――エッチなんだもの…。
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