『世界最後の日』




世界最後の日、俺とお前は何をしているだろう。



「そりゃあ、お金でしょ」
「やっぱりな」
「当たり前よ」
ピロートークにしては色気の無い会話だ、と思った。
服を着るにはまだ熱い体を背中合わせにし、語り合うのは世界最後の日のこと。
お前と一緒に居たい、あなたと一緒に居たいわなんて、俺たちの口から出ることは、無い。
たとえ世界最後の日になったとしても。
「どうせ皆死んじゃうのなら、お金たくさん集めて……その中で死にたいわね」
「そんなに集まるかぁ? 金が」
「集まるわよ、絶対。っていうか、集めるわよ。……今日が世界最後の日なんだ、
もうお金なんか使う当て無いんだー、って、お札ばら撒く金持ちのバカが絶対居るのよ」
「それを拾いに行くのか?」
「勿論。札束でベッド作って、その中で眠りに落ちて死にたいわ」
ばら撒く奴と拾いにいく奴と、果たしてどちらがバカなんだろう。
「……アンタは?」
「俺か? ……やっぱ、世界一の剣豪目指して、何かやってると思う」
「でしょうね……」
たとえ世界最後の日になったとしても、俺は世界一の剣豪を目指し、鍛錬なり旅なりを続けているだろう。


「世界最後の日でも、お前はお前らしいし、俺は俺らしいな」
自嘲気味に言うと、ナミが俺のほうへと体を向ける。
「当たり前でしょ」
背中に当たる、ナミの柔らかな胸。
「そんなアンタだから、私は抱かれてあげるのよ。分かりなさい……」
ぎゅっと、俺の肩を掴むナミの手に力が篭る。
「俺もだな。だから抱いてやってんだ」
なんて素直じゃねえ俺たち。
お互いに好きあっているのに、抱かれてやってる抱いてやってるだなんて。
そして世界最後の日は共に過ごさないことを決め込んでいるなんて。




全くもって、俺たちらしいったら、ありゃしねえ。







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