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管理人:見習B



『koakuma(冬島編)』


意図してこの日にしたわけではない。
単なる偶然だ。
奴――麦わら――が、手紙で知らせてきた、とある冬島に入港するという日、俺には忘れかけていた程以前に 休日出勤した分の振替休暇が与えられ、その日その島で会うことにした。
12月24日。クリスマスイブの夜。


グランドライン上でも名高い、古い教会があるというその冬島の街中はクリスマス一色だった。
昨日まで降っていたという雪は程よい具合に積もり、クリスマスらしさを演出していた。
趣向を凝らした色取り取りのイルミネーションとディスプレイ。サンタクロースに扮した老人が、クッキーや キャンディーの入った小さな籠を通る子供達に配り、無垢な子供達はそれを喜んでいる。
広場の中央には、電飾で飾られた巨大なモミの木。街全体がこの日を祝う雰囲気に包まれいていた。
行きかう人々は手に手にプレゼントの包みを、ケーキの箱を持ち、それぞれこの聖なる夜を祝う場所へと 急いでいた。俺はといえば、別にこの日だからといって特別祝う気はなかった。それでもこの雰囲気は、無神論者の俺さえ引き込まれて しまう程だった。家々を飾る電飾はどれも見惚れる程見事で、洋菓子店のショーウインドウに飾られたヴィッシュ・ド・ノエルは 由来なぞどうでもよく旨そうに見える。
小娘に惑わされ、海兵としての信念をも失ってしまった憐れな中年男にも、この日は優しかった。

が。
その俺の前に現れた、麦わらの格好ときたら。
「待たせたな、ケムリン」
待ち合わせ場所の港。鼻の先を赤くし、白い息を吐きながらやってきた麦わらの格好は、 いつもの麦藁帽子―――100歩譲ってこれはよしとして――― 見るからに高価そうな毛皮のコートに、素足にサンダル。
「……何だその格好は」
遅いとか、久し振りだとか言う言葉より先に出たのは率直な感想だった。
そのアンバランス。その滑稽さ。
「何って、寒いからロビンにコート借りてきたんだけど。あったけえんだぞ、これ」
ホラ、と両手を広げて見せるが、子供にしか見えないこいつに、高価な毛皮のコートはただでさえ不似合いで、その上麦藁帽子に 素足にサンダル。恐らくコートの中身はいつものノースリーブとGパンだろう。
暖かいのか寒いのか分からない、滑稽極まりない格好だ。
男を惑わすことに関しては殆ど本能的なほど気が回る癖に。
赤髪から託されたという麦わら帽子さえ被っていれば、それで満足―――なのだ。こいつは。
「……見てるほうは寒くて仕方がないんだがな。特に足元」
見れば素足のつま先は濡れ、赤くなっている。雪は積もっているし、気温は1度あるかないかなのだ。
「そっかぁ?」
「………」
変か?と首をかしげる。どうやら本気でこれでいいと思っているらしい。
通行人が、妙な格好をした麦わらを不思議そうに見ている。
こいつに常識を期待するほうが間違っていただろうか。
「……買ってやるからまともな服を着ろ」
首をかしげたままの奴を促し、賑わう街中へと足を向けた。


大通り沿いの閉店間際のブティックに入ると、居並ぶ店員達は妙な格好の麦わらに、(当たり前といえば当たり前の反応だが) 変な顔……ここには似つかわしくないという表情をした。
入ったこともないらしい類の店の雰囲気と、店員の態度に麦わらは不思議そうな顔をしていた。
「悪いが上から下まで適当に見繕ってくれ。そのまま着て帰る。支払いはこれで」
財布から取り出した、海軍のマークの入ったクレジットカードを差し出すと、店員達の態度が一変した。
「はっ、はい、かしこまりました。どうぞ、こちらへ」
オーナーらしい年配の女がいやに仰仰しく麦わらを迎え、数人の店員に目で合図した。
隙ない着こなしの店員数名に、麦わらは不思議そうな顔をしたまま奥へと案内され、扉で仕切った試着室へと消えた。
「どうぞ、こちらでお待ちくださいまし」
レジ脇の見た目だけは豪奢なソファに案内され、座るとすぐに灰皿が出た。
差し出したクレジットカードは海軍の、それも本部の将校以上のみが持てる特別なものだった。しくじって庶務に飛ばされた 同期のノルマのために、いわば付き合いで作ったものだが、差し出せば大抵の店でいい扱いを受けられる代物で、 店員の態度が変わったのは至極当たり前のことだった。
葉巻を吹かしながら、静かで広い店内を見渡す。
窓のところにはクリスマス用のディスプレイ。サンタ帽を被ったテディ・ベアがプレゼントボックスの上に鎮座している。
「お嬢様ですか? これからパーティーですか?」
コーヒーを持ってきた店員の言葉に、……ああ、そうかと思う。
奴は俺の歳の半分しかないのだ。その上童顔とくれば、親子だと思われても仕方ないだろう。
「……まぁ、そんなところだ」
軽くあしらい、薄い割りに苦いコーヒーをすすった。
試着室からは店員が入れ替わり立ち代り、服やら靴やらを持って出たり入ったりを繰り返し、ゆうに30分は待たされた。
「お待たせいたしました」
先ほどの年配の女が、麦わらを連れてやってきた。
「……ほう、」
馬子にも衣装とはよく言ったものだ。
着慣れないブーツに少々歩きづらそうに、店員に連れられた麦わらの格好は、普段とは全く違ったものだった。
マーメイドラインの膝丈のスカートに、ロングブーツ。胸元がV字に大きく開き、ファーとリボンで飾られた ベビーピンクのセーターと、明るい色のツイードのコート。手には着てきた服の入ったかさばった紙袋。
店員の計らいか、頬にはほんのりチークが乗っていた。
冬らしい、年頃らしいその格好。
どこかの雑誌から抜け出てきたティーンズモデル、というと大げさだろうか。
目の下の物騒な傷はこの際仕方がないが、元々素材は悪くないのだ。見違える程だった。
「よくお似合いで」
「本当に」
口々に店員が誉めそやしたが、お決まりのセールストークという感じはあまり受けなかった。
店員達も、あんな滅茶苦茶な格好をした麦わらが、まさかこれだけ見違えるとは思っていなかったのだろう……実際、 俺も思ってはいなかったが。
「どうだ? 似合うか?」
俺の前に来てくるりと回って見せると、マーメイドラインのスカートの裾が軽やかに翻る。
「ああ、……似合っている」
「そっか、ししし」
歯を見せて笑うところを見ると、奴もまんざらではなさそうだった。


支払いを済ませ、外へ出ると気温は随分と下がっていた。
かさばる紙袋の持ち手の紐に、古びた麦藁帽子がぶら下がっている。
「こういうピラピラした格好って初めてだ」
麦わらは履きなれないブーツを気にしながら、胸元のファーをいじっていた。
街を歩けば、今度は違った意味で通行人が麦わらを見る。特に若い男。
セーターの下、小柄な割りにはちきれんばかりの豊かさを持つ胸に視線が注がれれれいるのが、隣を歩いていて分かる。
「……この服とか高かったんだろ? いいのか?」
申し訳なさそうに見上げてくる。
「別に……大した額じゃないだろう」
「へぇ、太っ腹だな?」
金らしい金を使うことなど、葉巻以外ではこいつと会うときぐらいだった。家は官舎、飯は海軍の食堂の毎日。
あのカードにしても、こいつと会うようになってからはじめて有効に使われだしたのだ。
「……服の一枚や二枚、男にねだればいくらでも買ってもらえるんじゃないのか? それもともねだっても買ってくれないような けちな男ばかりが相手か?」
軽い皮肉のつもりだった。
が、麦わらは実にあっけらかんとした口調で、逆に言い返してきた。
「飯奢ってもらうのはともかく、男にモノを買ってもらうのは好きじゃないんだ」
「……ほう?」
「男に服だの靴だの……とにかくモノ買ってもらったら、ロクなことになりゃしねえし」
「…………あ?」
「変に勘違いするだろ? 男ってのは」
勘違い。奴は明らかにその単語を強めて言った。
「だから、男にモノは買ってもらわないことにしてる。例え買ってやろうかって言われても、いらないって言ってる」
奴は言い放ち、心なしか歩調を速めた。
「………買ってもらわないようにしている、か」
皮肉のつもりが、逆に返された。
そしてそれは、余程の場数を踏まないと、なかなか言えない言葉であった。
俺の踏んだ数より恐らく多く、奴は男を知っているのだろう。
「でも、ケムリンは勘違いしないって思ったから、買ってもらったんだぜ?」
ちら、と俺を見遣ったその眼差し。
「………」
心の奥底まで見透かす、男を惑わす小悪魔のそれ。
心臓が軽くはね、息を呑んだ。
「な、ケムリン?」
逆に返されたその上、釘まで刺された。 俺の手に、奴の冷たい指先が絡んできた。
俺はそれを力ずくで握り返した。


勘違い。
その一言は、重い意味を孕んでいた。


腹の具合を尋ねると、飯は先に済ませたという。
聞けば今日はクルーの一人、船医の誕生日だったらしく、入港前に船の上でたらふく食って飲んで騒いできたのだと。
俺もそんなに空腹ではなかったから、宿に向かった。日が日だけに、ある程度の混雑は覚悟していたが、連れ込み宿はどこも満杯だった。
歩き回った挙句7件目でようやく部屋が取れ、少し待たされてから通された。
大きなリースが扉に飾られた部屋の中は、照明を極力落とし、オイルヒーターの包み込むような暖かさが充満していた。
古い暖炉では薪が勢いよく燃え、室内をほの赤く照らし、暖かさと共にクリスマスの気分を盛り上げていた。
「わっ、見ろよケムリン! ツリーにシャンパン! やっぱクリスマスだなぁ」
ダブルベッドのすぐ脇には、子供の背ほどの高さのツリーが電灯をちかちかと点灯させながら鎮座していた。
テーブルの上にはシャンパンが二本とグラスが二つ。この日のサービスだろう。
麦わらは荷物をソファに乱暴に置くとブーツを脱ぎ捨てベッドにのぼり、リンゴや天使、キャンドルのオーナメントに いちいち喜び、手にとっていた。
「すっげぇ、可愛い……なぁケムリン、このお菓子、食ってもいいかなぁ?」
「あ?」
麦わらが手にしているのは、ツリーからぶら下がった大きな菓子の入った、赤いブーツだった。
「ああ、構わんだろう」
「ラッキー♪」
麦わらは早速ブーツをツリーからはずし、ベッドの上に中身……キャラメルやらゼリービーンズやらを広げ、 口いっぱいにほおばっていた。
奴のはしゃぎっぷりに、思わず笑みがこぼれる。なんだかんだといって、年頃の少女なのだ。
部屋は暖かかったが、その分薪はかなり燃えていて、俺ははしゃぐ麦わらを背に薪をくべ、火加減を見た。
よく乾いた木は弾けるような音を立てながら燃えていく。
燃え盛る炎を見ながら、ふと思う。
宿の主の目には、俺達はごく当たり前の男と女に写っただろう。クリスマスイブの夜、他の大勢の男と女がそうするように、 宿に入ってセックスをする。どこにでもいる、少し歳の離れた恋人だと思っただろう。
しかし、俺達は正式に恋人だというわけではない。
『面倒くさいことって、嫌いなんだ俺』
いつだったか、男との関係について、何かの拍子に奴が言った言葉。それを補足して有り余る、 勘違いという単語。
面倒な関係が嫌だから、奴は誰とも恋人という形をとらない。一晩だけの恋をする。どんなに男が次を熱望しても、それっきりにする。
男は変な勘違いをする生き物だから、恋人だなどという形はとりたくない。そういう意味になる。
恋愛は対等であるべきなのに、大概の若い男は女を己が侭に束縛したがり、優位に立ちたがる。自己に都合のいい勘違いをする。
恋人などという関係になったとたん、それは明らかになる。
奴は、それが嫌なのだ。
俺は奴とは恋人ではない。少なくとも、恋人だといわれたことも恋人だと思ったこともない。
連絡を取り、セックスする仲。惑わす小悪魔と、惑わされる中年男。そんな関係だ。
連絡を取って会ってまでセックスするのは俺が初めてで他にはいないという。
それは奴が面倒と勘違いを嫌うから。そして俺が、面倒ではなく勘違いをしないから。連絡は手間ではあるが、面倒でなく勘違いをしない 男は、奴にとって都合がいいのだろう。
俺は奴と会って、セックスできればそれでよかった。奴にとって、俺がどんな形であれ『特別』でさえあれば、それでよかった。
たとえ都合のいい男であっても。
勘違いなど、もとよりしない。勘違いするほど賢くも偉くもない。分は弁えている。
自分の歳の半分しかない小娘に惑わされた、哀れな中年海兵。それでいいのだ。
「なぁ、ケムリン」
ベッドの上の麦わらの声に、薪を手にしゃがんだまま振り返った。
「何だ?」
薄暗い部屋の中、ベッドの上の奴の姿に、ある予感がした。
「あのさ……」
奴はベッドに座り、俺のほうに少しだけ脚を開いていた。
すぐ側に、菓子の入っていた空のブーツと、少しのゼリービーンズやヌガーが散らばっていた。
さっきまで穿いていた筈のタイツと、白いシルクのショーツが絡まりあって腸を見せるようにのたくり返っていた。
「……さっきの服のお礼、今、……していい?」
奴は眠そうに目を細め、口元に笑みを浮かべていた。
それは紛れもない、『女』の顔だった。
「…………ッ、」
息を呑み、思わず立ち上がり、手にしていた薪を暖炉に放り込んだ。
「お礼? どんな風に?」
俺の声は上ずっていた。
「……こんな風に」
奴は脚を更に開き、己の手をその間へと差込み―――……自慰を始めた。



「……ッ、ふ、ぁん…」
脚の間に差し込んだ手が動くたび、粘った水音がする。
感じやすい身体、よく知る自分のそれなら尚更。
早くも奴は恍惚とした表情を浮かべ、俺のほうを見ながらその淫らな行為に耽っていった。
「………」
俺はただ黙って、その美しい、淫靡な光景に見入っていた。
奴の自慰を見るのは初めてだった。傍らで点灯するツリーの電灯が、麦わらの細い脚を色とりどりに細かく照らす。
「ああ・ふぅ、……ん、」
片手で脚の間を嬲り、もう片方の手をセーターの裾に潜り込ませ、大きな胸を揉む。
人が見ている前で自慰をする……いることを知っていながらするそれの、何と淫らなことだろう。
中を大きくかき回すように手が動き、敏感な部分に触れるたび、奴はびくっ、と身体をはねさせる。
奴の目は、俺をじっと見据え……目ではない。もっと下……股間を見ている。
俺の一物……目に映るこの光景に、早くもジーンズの下にありながら、固く大きく膨らみ、 その形を布地越しにあらわにした、俺のそれを脳に思い描きながら……自らの恥部を嬲っている。
前から突かれる妄想か。後ろから突かれる妄想か。
下から突き上げられる妄想か。
妄想が妄想を呼び、俺の息は次第に荒く、鼓動は早くなっていった。
落とした照明と暖炉の明かりは、肝心なものを隠しながら陰影を作る。差し込んだ手の奥の、ぬらぬら光っているであろう 麦わらの女陰は脚を開いているにもかかわらず影になり、音と、奴の表情と、想像によって俺を興奮へと導いていく。
「やぁ……、ッ・はぁぁ……ん、あ・ああッ……!」
切ない声が広い部屋に響き、麦わらがもどかしそうに身体をくねらせ、水音はどんどん大きく、生々しくなっていく。
その声は行為は、すぐ隣にある子供染みたツリーや散らばった菓子と余りにも対照的で、背徳感さえ喚起する。
「……ケムリン……」
頬を紅潮させ、かすれそうな声で麦わらが俺の名を呼ぶ。
「あ……も、……イキそう……」
そしてもっと脚を開く。
ようやく奴のそこが薄暗いながらも見えた。
薄い恥毛。実核は切ないほどに腫れ上がり、膣は最早手だけでは満足できないと、俺自身を呼ぶかのようにその淫らな口を開いて蠢き、 嬲っていた右手は手首まで余すところなくぐっしょりと濡れていた。

「……ケムリン、来て……」
その言葉に、全身の血液が沸騰した。

咥えていた葉巻も暖炉に投げ入れ、麦わらの上に圧し掛かった。
襲い掛かったといったほうが正解かもしれない。
靴を脱ぎ散らかしてベッドに登るがはやいか奴を抱きしめ、そのままベッドに倒れこんだ。
「ん・ぁあ・ッ!」
「ん、……ッ」
薄い唇を貪りながら、片手で探るようにスカートのホックを外し、半ば無理やり脱がした。
何時もつけている香水の匂いがうっすらとし、新品の洋服のそれと混じっている。
「ぁあ、ケムリ、ン」
酸素を求めて一瞬だけ離れた奴の口からこぼれた俺の名。切ない、今にも泣き出しそうな声。
それは無意識のうちに俺の欲情を更に掻き立てる。
もう一度唇を奪い、何も身につけていない奴の下半身を手で弄り、頂点を前に燻っている秘所を探り当てた。
無骨な指で攻め立てれば、奴は堪え切れずに身を捩り快感に悶える。
「あ、嫌、駄目・ア、ッ、ぁあああ……ッ!!」
そのまま一度果てさせようかと思ったが、濡れ具合は相当なものだったから方針を変えた。身体を裏返し、一物を取り出し、 後ろから一気に突き上げる。
「ア・あああぁ………ッ!!」
裏返った声を上げ、奴の体がのけぞる。
「熱っ、……おっきぃ……!!」
熱さと量感に、一瞬逃げようとする奴を抱え込み、思うが侭に突き上げてやれば、そこはいくらでも俺を引き込み、まとわりついて離そうとしない。
その具合は、気を少しでも抜けばすぐさま放出してしまいそうなほどの極上のものだった。
「ッ、この淫乱め……!」
言葉はかえって奴の羞恥と快楽を煽り、同時に俺の気を逸らして放出を少しでも長引かせる。
「こんなに、濡らしやがって、ッ……漏らしたか?…あぁ?」
「漏らしてなんか、ねえッ……!!」
尻を高く突き出した格好で後ろからパンパンと突かれながら首を振り、否定する奴のそこは益々濡れ、 水音はわざとでなく大きく、いやらしくぬめっていく。
抱え込んだ身体を持ち上げ、大きく反らして膝の上に乗せる。
「あ、やぁ……!!」
背面座位の体勢になり、下からずんずんと小刻みに突き上げる。快楽に蕩けた、汗ばんだ奴の顔が赤く照らし出される。
セーターを捲り上げると、いつもは決してつけない、ショーツと揃いのレースのブラジャーが、大きな胸を護っている。
それも捲り上げれば、セーターと同じベビーピンクの突起を持つ二つの豊かなふくらみが、俺の突き上げに合わせて 大きく上下する。
その突起をふくらみごと指で捏ね、摘むと更に快楽は増し、奴の中はなおもきつく俺を締め上げていく。
「いやらしい胸しやがって、……何人に触らせた? この際だから白状しろッ……!」
「そんなの、覚えてねえ……」
泣きそうな声で拒否するが、本気で覚えてないのだろう。恐らく。
「ッ……やった男の数も覚えきれねえ淫乱な女は、自分でイけ……」
「ふ、ぁ、……?」
だらりと垂れた奴の手をとり、自らの実核へと触れさせる。
「自分で慰めろ……!」
「そんな、や、ぁ、ああ、嫌、ア・……!」
嫌がる奴の手に俺の手を重ね、実核を乳頭と同じように捏ね回す。
下からの突き上げと、胸への刺激と、実核への己でする刺激。
奴は首を振って嫌がりながらも、どこか倒錯的なこの行為に快楽を見出し、俺が添える手と共に己の手で実核をこね回す。 内部が一瞬、ぐッと吸い上げるように俺を締め付けた。
「やぁ、イ、あ、イク、ああ、あ、イク、イ、……あ、あ、ああああ・ッ!!!」
身体を硬直させ、突き上げられながら奴は果てた。それは同時に俺さえも達してしまいそうな膣の収縮をもたらした。
「はあ、ぁあ……」
奴はぐったりとした身体を俺に預け、荒い息を繰り返す。一筋の涙が頬を伝い、セーターのファーに吸い込まれていく。
俺にも限界が近づいていた。
「今度は、俺の番だな……ッ」
一旦奴の身体をベッドに下ろすと後ろからまた抱え込み、バックの体勢で激しく突き込む。
肉同士のぶつかり合うパンパンという激しい音と共に、俺の快楽も頂点が見え、奴はたやすく再びそれを迎える。
「あ、や、また、イク、駄目、またイク……嫌ァ、駄目、……ああああああッ!!」
シーツに額ををこすりつけ、腰を振りながら奴は二度目の絶頂を迎え、一度目よりも更に俺を締め付け、俺を誘導する。
「麦わら、麦わらッ……ア、――――ッ!!!」
導かれるがまま、俺は奴の子宮の入り口に精を全て放った。



目を覚ますと、俺の胸にかきついて麦わらが眠っている。
時計を見れば、朝方。窓の外がうっすらと白んできている。眠りについて、そんなに時間はたっていない。
暖炉の火は消え、オイルヒーターのわずかな暖かさに室内は満たされていた。
テーブルの上には空っぽになったシャンパンの瓶と、淡い色の液体が一口だけ残ったグラス。
俺と奴は何度も求めあい、果ててはまた求め合い、それを夜通し続けた。
流石に疲れてシャンパンを煽ってシャワーもせず眠り込んたが、 職業病かどんなに疲労がたまっていても、早い時間に目は勝手に覚めてしまう。
「………」
奴を起こさぬようにベッドから降り、カーテンを開くと、ガラス窓の向こうに銀の街が眼下に広がる。
イブが終わり、昨夜の騒ぎの跡だけが残る人の消えた街は、何処か寂しく空虚だった。
サンタクロースの人形が寂しそうにぽつんと立っている。
イルミネーションは消えればただの電球と電線。飾りを重そうにぶら下げるモミの木は哀れさえ催す。
宴の後とは、こういうことを言うのだろう。

「でも、ケムリンは勘違いしないって思ったから、買ってもらったんだぜ?」

昨夜の奴の言葉を、脳内で反芻する。
勘違い、か。
勘違いなど、俺は決してしはしない。
勘違いをすれば、俺も他の男達と同じように、奴の前から消えなくてはいけない。
俺は奴と会えなくなるのが怖いのだ。奴の『特別』でなくなるのが、たまらなく怖いのだ。
もしもそうなったら、俺はどうなる?
「麦わら、……俺は、」
眠る麦わらの黒髪を撫でながら、己の心のうちを吐露する。
俺は、お前と会いたい。お前を抱きたい。
お前の『特別』でいたい。
例えどんなに哀れな男に成り下がっても。今まで築き上げてきた何もかもを失ったとしても。
俺は、お前に惑わされ続けたい。
穏やかな顔で眠る小悪魔は、今まで一体どれだけの男を手のひらの上で転がしてきたのだろう。


窓の向こうに広がる、宴の終わった空虚な街。
何故だか溢れ始めた涙によってそれは滲んだ。




2003.12.2X (C)見習B(minarai-b)
  『BLUES』



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