『小さな海』


海で泳ぐことの出来ない彼女のために、バスルームに小さな海を作った。
バスタブにたっぷりと冷たい水を張り、ブルーの入浴剤を多めに入れて。
色とりどりのビー玉と貝殻を沈め、ウソップが作ったねじ巻き式のおもちゃの船を浮かべたら。


ほら、小さな海の完成。


「ロビンちゃん、水加減はいかが?」
「とてもいいわ、サンジさん。ありがとう」
裸になって、小さな海で遊ぶ彼女の何と可愛いく、何とエロチックなことか。
大人の女の色香を漂わせながら、まるで子供みたいにはしゃいで。
そのアンバランスさが堪らない。
俺は洗い場にしゃがんで彼女を見ていた。
健康的な小麦色の肌に青い海はよく似合う。
なのに彼女は能力者であるがゆえに、泳ぐことはできない。
「そう、よかった」
せっせと食材の残りの貝殻集めた甲斐があったよと、タバコ吹かしながら笑うと、ロビンちゃんも笑った。
おもちゃの船のねじを巻くと、カタカタカタと間抜けな音を立てながらガレオン船がのろのろ進む。
「サンジさんは、入らないの?」
ロビンちゃんが尋ねる。その両手には掬い上げた白い貝殻が一杯。
「俺はいいよ、見てるだけで」
そう、見てるだけで。
愛しいロビンちゃんが満足してくれるなら、俺はそれだけでお腹一杯。


ざぱあ、と音を立てながら彼女が立ち上る。
「せっかくだから、一緒に入りましょうよ」
「……」
頭の上で濡れた大きな胸がぷるん、と揺れて、肌に張り付いたアンダーヘアーが俺の丁度正面に来る。
ぽたぽたと水滴が俺の髪を濡らす。

「いいよ、俺は」
「どうして?」
彼女が小首をかしげる。
吸っていたタバコを隅に投げると、じゅぅ、と火の消える音がした。

「…ロビンちゃんの冷えた体を温めなきゃいけないから」
手を伸ばして太股に触れると、そこはひんやりと冷たかった。



小さな海で遊んだ後、ロビンちゃんに温かいミルクティーを入れてあげて、それから。
今夜の見張りはナミさんだから、女部屋は貸切なんだ。
その、貸切の女部屋で。
俺はロビンちゃんを温めた。
「…冷たい」
重ねた体は柔らかくて冷たかった。
「楽しかったから、つい」
長いこと浸かりすぎちゃったのよ、と彼女が笑う。


白いシーツの上に、まだ濡れた黒髪が散る。
「あ、んふぅ、ん…、」
「ロビンちゃん、可愛い…」
「サンジさん、ん、もっと、…」
さっきまで小さな海にぽっかりと浮いていた胸をやわやわと揉み、中心を指で摘むと、零れてくるのは艶っぽい、それだけで背筋がぞくぞくするような声。


冷たかった肌が徐々に熱を帯び、額にじっとりと汗が浮んでくる。
「おっぱい、触られるの好きだね」
俺の言葉に、ロビンちゃんがかぁっと頬を紅くする。
時折垣間見えるヴァージニティが、またそそる。
「もっと、喘いで。ロビンちゃんの声、可愛いから」
指で摘んでいた胸の中心の突起を、口で咥えて舌先で転がした。
「あ、ああん!」
びく、っと体が一瞬のけぞって。
「…駄目だよこんなくらいでそんなになっちゃ」
言い聞かせながら両手で長い脚を開いていく。
「やぁ、」
「…お、濡れてるねぇ、…」
呼吸に合わせて下の小さなお口が開いたり窄まったりしながら、ラブジュースどんどん吐き出してる。
「舐めて、って言ってるみたいだね。下のお口」
「ああっ…」
「おさね真っ赤っか」
実核は薄皮被ってても判るくらい腫れてる。
俺はゆっくりとそこへ顔を近づけた。
これからされることの予感にロビンちゃんがぎゅっと目を瞑った。
―――ぴちゃ、ぴちゃ。
わざと音を立てた。
イヤラシイ音。エッチな音。
その音と、細やかでリズミカルな快感に、タダでさえ艶っぽい声がどんどん切なくなっていく。
ラブジュースを舌で掬い取って、実核に塗りこめるように舐めていく。
「はぁぁっ、…あああん…、ん、んん、」
腰が嫌々をする様にくねくね動くのは、もっと欲しいって合図。
掠れる様な切ない声上げながら、与えられる快感にメロメロになっていくロビンちゃん。

俺の、愛しい人。

ロビンちゃんの身体を正面から抱え込んだ。
挿れる頃には身体はかなり熱くなっていた。
「熱いね、身体」
言った後で、熱くなるようなことをしてるからだと気付く。
いきなり挿れずに、実核を、下のお口を、花びらを、俺自身の頭の処で軽く何度か擦ってみる。
ラブジュースと唾液でそこはつるつる滑っていく。あ、これ気持ちいい。
くちゅくちゅ、音がした。
「やだ、そんなの、」
ロビンちゃんが怒ったような顔をした。この顔も可愛い。
「何で?」
「…早く、挿れて…」
恥ずかしそうに言って、視線を逸らした。
「…そうだね。お望みのままに、マドモアゼル」
下の口に宛がうと、俺自身は吸い込まれるようにロビンちゃんの中に入っていった。
粘り気のある音と共に。
「あ、あああああ―――……ッ!!!」
待ち望んだ快楽に、ロビンちゃんの声が裏返り、大きくのけぞる。
「―――ぃ、いいっ、サンジさん、あ、ああああ…」
両手を俺の首に回し、あられもない声上げて。
「…っ、すっげえ…」
中、ヌルヌルだ。
俺の声まで裏返ってた。一気にとろけちまいそうだった…。
ゆっくりと動き出すと、意図せずとも恥部同士がこすれあう音がした。ぬちゃ、ぬちゃ、って。ハンバーグの種捏ねてるみたいだ。
「っ、あ、ああああ・あ・っ」
律動に併せてロビンちゃんが上げる声は乾いていて、エロチックで。
突き上げるうちに、何処から何処までが俺で、何処から何処までがロビンちゃんなのか、まるでわからなくなるほどそこは一体化していって、 でも快感だけは脳天を直撃して、ああもう何にもわからなくなってくる―――。
 
 スッゲエ、気持ちいい――――。


女を抱くのはロビンちゃんが初めてじゃない。どうやれば気持ちいいかも知っていた。
けど、愛情の分だけ快楽が倍増するんだって、気付かせてくれたのはロビンちゃんだ。
そう、愛情の分だけ。

「…ロビン、ロビン、っ…!」
快感が脳の大部分を支配し始めると、余裕がなくなってきて。
うわ言みたいにロビンちゃんを呼び捨てにして。
突き上げの間隔が短くなってきて、ジンジン、痺れてきて。
「…ロビン、ロ、ビン、」
「サンジ、さん」
ロビンちゃんがおれを抱き寄せる。ん、とキスをして、舌をねっとりと絡めあい、そして…。


「――――っ、…!!」
「ん、あぁ―――!」


キスしながら、俺はロビンちゃんの中で達した。
それは快楽をはるかに通り越し、体中の成分が抜けるような感覚だった。
その後、汚れた身体を洗うために二人でバスルームへ行った。
そこにはまだ小さな海が残っていて、おもちゃのガレオン船がまだ航海の途中だった。
今度は二人で小さな海に入り、夜明けまで遊んだ。


―――ねえ、サンジさん
―――ん?
―――このグランドラインのどこかに、能力者でも泳げる海ってあるかしら?
―――さあねえ、…なんでもアリのグランドラインだからなぁ。あるかもね。
―――でしょう?…あっ、もしかして、オールブルーだったりして。
―――えっ?
―――オールブルー、もしかしたら、私みたいな能力者でも泳げるかも。
―――ああ、そうだね。泳げるかもしれないね。
―――そのときは一緒に、泳ぎましょうね?
―――勿論。




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