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ペル×ビビ「SNOW」
天高くどこまでも自由に飛べる翼を持つというのに、俺はまだ雪を見たことが無い。
何処までも続く砂の大地からなるこの島より、出たことが無いのだから我ながら滑稽だ。
だから雪がどれほど美しく白いのか、俺は知らない。
「……ルフィさん達は、今冬島なんですって……」
窓辺に座り、ビビ様は今朝届いたばかりのクリスマスカードを手にしている。
差出人は、ルフィ君達の海賊団。
「雪がたくさん降ってて、とても綺麗で、毎日雪合戦ですって……ふふ、ルフィさんらしいわね」
そのカードはビビ様だけではなく、俺やイガラムさん、国王様にも届いた。
雪の降る中、サンタクロースがトナカイの牽くそりに乗っているそのカードの絵は、
雪の降らないこの国では決してありえないことだった。
開け放した窓から僅かに吹き込む風に揺れるカレンダーの日付は、12月24日。クリスマス・イブ。
この国では昔から、サンタクロースは砂漠を越え、駱駝に乗ってやってくるのだ。
「……きっと綺麗でしょうね、この国にも雪、降ればいいのに」
「雪?」
「ええ、ドラムで見た雪はとても綺麗だったのよ……その分、ものすごく寒かったけど」
ビビ様は肩をすくめて笑う。
「ビビ様、雪とはそんなに美しいものですか?」
俺の問いかけに、ビビ様が首をかしげる。
「……ペルは雪を見たこと、ないの?」
「はい……ありません。私はこの島から出たことが無いのです……」
ビビ様は、「変なの」と言うと、ドラム島で見たという雪の美しさを語ってくださった。
「あのね、雪は……白いの。とてもとても、白くてきれいなの。
この世の中で、あんな純粋な白は、きっと他に無いわ。
そして雨と違って、雪は音も無く降るのよ……。
音も無く積もって……辺り一面が知らない内に白く白く染まっていくのよ……」
俺はまだ見ぬ光景を脳裏に思い描いた。
凍てつく寒さの中、音も無く降るという純粋な白を。
その中で一人、たたずむビビ様を……。
「……美しいでしょうね、さぞ」
「……ええ、とても美しいのよ。……ペル、また時間があったら、一緒に雪を見に行かない?」
冬島までは少し遠いけどね、とビビ様は笑って。
「私の背中で宜しければ、幾らでもお乗りください……勿論国王様には、内緒で」
「ふふっ……お願いするわね」
窓辺から降りると、口止め料は高くつく? と、ビビ様は俺の頬にキスを下さった。
どんなに美しいだろう。
白い世界の中、佇むビビ様は。
美しい世界、美しい人。
その光景を是非一度、この目で見てみたいと心から思った。
冬島までどれだけ遠くたっていい。その美しい光景を、見られるのなら。
ビビ様を背中に乗せて、飛んでみよう。
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