シャンXロビXエース「Beginning」





"海賊になりたい"



ガキの頃から温め続けていた夢をかなえる為、リュック1つで島を出たのは、17の春だった。
島の外に出ることさえ初めてだった、当時まだガキの俺には、島の外は見るもの聞くもの全てが新鮮だった。
海賊になりたいといったって、どうやればなれるのかも知らないまま……見切り発車もいいところだった。
それでも、大きな港町に行きさえすれば何とかなるだろうと考え、自分で作った船を漕ぎ出した。



「ぶえっくしょいっっ!!!!!!!!!!!!!」
特大のくしゃみをすると、俺を取り囲む座から笑いが起こった。
「今日は大漁だぁ、ええ? エース、なぁ」
文字通り濡れ鼠の俺の頭をぽんぽん叩くのは、よもやこんなところで会うとは思わなかった赤髪の男。
「……うるせえな……っ、くしょいっ!!」
「7年ぶりにしちゃあ、ご挨拶だぜエース?」
俺の前にしゃがみこみ、豪快に赤髪の男・シャンクスは笑った。
船を漕ぎ出して10日目、予想外の天候の変化。荒波に飲まれ船はあっけなく大破。
溺れてた俺を助けてくれたのは、見覚えのある船……そう、赤髪のシャンクスの船だった。
7年ぶりの再会は、実に意外な形で訪れた。
「エース、そんなに俺に会いたかったかぁ、うーん、そうかぁ」
「誰、がっ、……へーーっくしょいっ!!!」
「はは、照れなくてもいいんだぜ?」
歯を見せ、俺の頭をぐしゃぐしゃにする。
俺が十の時、故郷の島に初めて上陸した海賊、それが赤髪海賊団だった。
当時ガキだったルフィと俺はそんなシャンクスに憧れ、懐いていた。
その上ルフィにとっちゃあ命の恩人だ……俺にとっても恩人になっちまった訳だが。
「海賊っつったって、どの船に乗るんだ? あてはあるのか、エース」
「…ねぇけど」
「なんならうちの船に乗るか?」
「ぜってー、乗らねぇっ!」
懐かしさと照れくささと、年頃独特の反抗心の入り混じった複雑さは、 あの頃のようにシャンクスに素直に甘えることを俺に許さなかった。
「ははは……そういうと思った。とりあえず一番奥の部屋、空いてるから使え。着替えもあるから。
次の港まで乗せてってやらぁ。港に行きゃぁ何とかなるだろ」
「あぁ、……ありがと、」
ようやく出た感謝の言葉は小声で……。素直じゃないな、俺も……。
軽く頭を下げ、言われたとおりに船室へと向かった。
まだ身体は冷たくてだるい。一眠りして、回復しねぇとな……。





「……兄弟揃ってシャンクスに恩が出来ちまったなァ……」
長い廊下を歩きながら呟いた。
……なかなか返せないぞ、この恩。
シャンクスの船のクルーは、あの頃より増えこそすれど減ってはいなかった。
それはこの船の船員の強さとともに、シャンクスの人望の厚さをも示していて……やっぱ、すげぇな。
背は俺のほうがでかくなったのに、シャンクスのほうがよっぽどでっかく見えた。
ガキの頃には分からなかったシャンクスの凄さを、今改めて認識する。
「……ん?」
後ろで物音がし、ふと振り返った。



「あら、お客様?」



小さな船室のドアが半分開ていて、そこから女……とびきり美しい黒髪の女が、顔を覗かせていた。
黒曜石の瞳とエキゾチックな顔立ちの、俺より少し年上の女だった。
「……あ?」
……女? 海賊船に、女?
呆気にとられている俺に、女は優しく笑いかける。
「よろしくね、お客様。ふふ」
扉の向こうに女の顔は消え、同時に扉も閉じられた。
「なんだありゃ……?」
……溺れた衝撃で幻でも見てんのか? 俺……。
海賊船に女なんて、あまり聞いたことのない話だ。
良くわかんねえまま、シャンクスに言われた一番奥の部屋に入る。小さな船室には、テーブルとベッドだけ。
ぼすん、と勢い良くベッドにダイビング。
「あー……布団で寝るの久しぶりだぁーー……」
搾り出すようなため息をついて……疲れがどっと出た。身体が石みたいに重たくなった。
次の港まで連れてってくれるっつったんだよな。
じゃあ次の港でつてを探すか。……この際だからシャンクスに聞いてみよう。
っていうか、さっきのあの女……誰だ? 一体。
起きたらシャンクスに聞いてみるか……。
ンなことを考えていたら、睡魔が一気に襲ってきた。
「あ゛ー…………」
吸い込まれるようにとはまさにこのこと……俺はあっちゅう間に、眠りに落ちた。





……暫くたって目が覚めた。
どのくらい寝たんだろう。時間の経過がイマイチわかんねえな。
起き上がると小さな小窓の外は薄暗くて、俺がこの船に拾われたのは朝だから……もう夕方ってことかよ。
「……寝すぎたか……」
それでも一人小船を漕いでた十日間は睡眠も分割だったし、ゆっくり眠れたのは久しぶりだった。
頭をぶんぶん振って、サイドテーブルにいつの間にか置かれたロールパンを口に放り込む。
「…………?」
木の壁一枚向こうから、声がする。
シャンクスの声だ。
シャンクスと……もう一人……この声は……女?
「女??」
女? 海賊船に女?
もしかして、さっきの……。
気になって、そぉっと壁に耳を押し当てた。
聞こえてくるのは確かに、シャンクスと女の声だった。




『駄目よ、シャン。そういうことは、夕食の後に……折角のスープが冷めてしまうわ』
『固ぇこと言うなよロビン〜……ホラ、もう俺のセガレ、こんなになってんの!』



「……あ?」
―――俺のセガレって何だよ。
そういうことってどういうことだよ。
っていうかこの声は……さっきの、女の声だ。



『ロビンのオッパイがオードブルなんだよ、俺にとっちゃぁ』
『もぅ、……本当に……』




衣ずれの音。ベッドの軋む音。
ちゅ、って音。



「お……」
お…オッ…って、おい。
――おいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおい!!!
田舎出のガキのいる隣の部屋でナニやってんだ!
これってもしかしなくてももしかする……よな?? そういうことだよな??
何せそういうことには一番敏感な17歳のお年頃だ。
聞いちゃいけないと分かっていながら、耳はダンボ状態。
やべ……心臓がドキドキしてきた。



『お頭ぁーっ、飯ですよぉーっ!』




厨房の方から大声でコックが叫んだ。
『ホラね、シャン。やっぱりあとにしましょう』
女は笑って言った。
『あーもーいいトコだったのにッ!……分かったよ、そうするよ、ロビン』
『ふふ、……』




――ちぇ。ホント、いいトコだったのに……。




「エース、飯だぞ」
ベックが俺を呼びにきた。
「……何やってんだ、お前」
壁に耳をくっつけている俺を見て、ベックは首をかしげた。
「いや、……ちょっとな……はは」




船の食堂は、どこもそんなに広くないと教えてくれたのはシャンクスだった。
ここもその例に漏れず狭く、船員と料理と熱気で溢れかえっていた。
「エース、お前も座って食え」
副船長のべックに勧められ、シャンクスのすぐ隣に座った。
「おう、エース! もう身体はいいのか?」
シャンクスは早くも2本目のビールを空けていた。
「あ、ああ……なんとか」
辺りを見渡したが、女の姿は無かった。
女はもしかしたら雑用係か料理人だろうか。
勧められるままに大ぶりの肉の塊に噛み付き、酒で流し込んだ。
「エース、当てがないなら俺の知ってる海賊船の船長に紹介状を書いてやるけど……どうだ?」
「そりゃありがたいけど……アンタの知ってる船長って、どんなんだよ」
「お頭の知ってる海賊船の船長だぜ、まともなのを期待しちゃいけねぇぜ」
ベックが脅し、シャンクスが「ひでえな、ベック」と口を尖らした。
べックはこの天衣無縫な船長に苦労させられているのか、髪はすっかり白くなっていた。
「……マジでスゲエぜ? もういいジジイだがな、海賊王に最も近いのはあの男さ」
「それマジ?」
「ああ、マジで本気だ。何せあの海賊王・ロジャーと互角に戦った男だ……白ひげってみんな呼んでる」
「お頭、……白ひげにエースを紹介するのか?」
ベックが眉をひそめた。
「エースなら大丈夫だ。俺が保障する。並みのヤツなら三日と持たないだろうが、エースなら白ひげの親父の下、 立派に出世するだろうよ」
「けどなァ、お頭……」
「丁度近くの海域に来ているはずなんだ」
……なんかスゲエヤツだったことは、それとなく分かってきた。
ロジャーといやぁ、泣く子も黙る海賊王だ。
ソイツと互角に戦ったなんて……そんなヤツが実際にいんのか……。
「まぁ、どうせ海賊やるならスゲエ方がいいだろ?」
シャンクスは楽しそうに片目を瞑った。
「……そりゃそうだけど」
その発想がいかにもシャンクスらしいっていえばシャンクスらしいんだけどな……。
「そうとなりゃ白ひげの親父に一筆書いてやらぁ。エース、年は今…じゅー…なな、だったな?」
「ん、ああ…17だけど」
「ベック、便箋何処だ」
「お頭は性急だな…後で持って行きますよ」
「上等のヤツな、それと酒もいいヤツを用意しといてくれ。あのオヤジに酒抜きで頼み事は成立しねえんだ」
……海賊王に最も近い男、か……。
どんなヤツなんだろう。俺の胸は、さっきとはまた別の意味でドキドキしていた。



「なぁ、シャンクス」
「んー?」
ベックが酒を取りに席を立ったとき、気になっていたことを思い切って聞いてみた。
「この船さ、女が乗ってんの?」
「………あ?」
シャンクスは返事をせず、ビール瓶に口をつけたまま、俺の方をじっと見た。
「ロビン、とかいう女」
「………さぁね」
「なぁ、乗ってんのか?」
「………」
「シャンクスッ!」
「……飯の後で、お前の寝てた部屋の隣の部屋に来い」
「あぁ?」
俺の寝てた部屋の隣の部屋って……さっき、シャンクスと女……ロビンって呼ばれてた女の声がした部屋か?
「どういうことだよ? シャンクス」
「そういうことだよ、エース」
「あ?」
「大人の事情だよ」
……何が大人の事情だよ。
訳分かんなくて首かしげてると、丁度ベックが戻ってきた。
「お頭、エース、ホレ」
どん、と目の前に高級酒の瓶が10本近く置かれる。
「おっ、イイやつ取ってきたな! ベック!」
「エース、海賊は酒が飲めてナンボだぜ、ホラ飲め飲め! お前が海賊になった記念だ!」
「ええっ…俺、さっき一杯飲んだぜ?」
「何言ってんだエース! あんなの飲んだうちにはいりゃしねえ! 船長命令だ、これ全部飲め!」
おいおい……マジかよ……。
「お頭の言うとおりだ、エース」
「エース、付き合いが悪いとこの先何処の海賊船でもやっていけねえぜ?」
近くの席に座ってたヤソップやルゥがぞろぞろと立ち上がり絡んでくる。
うえ…酒臭ぇ…。
「オラ、飲め飲め! 下戸の海賊なんざ海の女神に守られねえって伝説があるんだぜ!」
「海に溺れても酒にゃ溺れねえのが海賊だ!」
「ちょ、ちょっと待ってくれっ!」
……ささやかな抵抗も空しく。
お祝いの名の下、タチの悪い大人連中に、俺はイヤと言うほど飲まされた……。





「うえ…気分悪ぃ…」
結果は勿論、洗面所で蒼い顔して洗面台にしがみつくハメになったわけで。
「なんだぁエースゥ、あん位で酔ってちゃ海賊になれねえぞぉ?」
便所に入る船員たちがからかいの言葉を投げてくる。
……海賊の世界が厳しいってのは聞いてたけど……こういうのもその中に入るのかよ……。
「おう、エース。まだ吐いてんのか。お頭が部屋に来いって呼んでたぜ」
ヤソップに言われ、俺はハッとした。
「……あ、そうだ。俺、シャンクスに呼ばれてたんだ……」
まだボーっとする頭とふらつく脚で、俺はシャンクスに言われた部屋に向かった。





「……シャンクス、いるか?」
ノックを二度したが反応はなく、それでも呼ばれたのだからとドアを開け、僅かな隙間から中に潜り込んだ。
「おう、エース。遅いぞ」
妙に明るい部屋の、壁際のベッドの上でシャンクスは胡坐をかいていた。
その隣には、黒髪の女……さっき、廊下で会った女が、寄り添うように横座りをしていた。
その女と、目があった。吸い込まれそうなほど綺麗な瞳だった。
「さっきはどうも」
「ど、どうも……」
女の方は余裕たっぷりなのに、挨拶した俺の声は上ずっていた。
「エース、コイツはロビンな」
「……あ、ああ」
「ロビン、あれがエースだ。……って言ってもさっき会ったんだよな」
「ええ、少しだけね」
……おい、俺はあれかよ。
「よろしくね、エース」
「よ、よろしく……」
俺よりは年上って感じか。女の物腰は柔らかで、かしこさが言わずともにじみでていた。
へその見えるキャミソールとカプリなんて着てる女、俺の育った島にはいなかった。
「エース、お前が海賊になった、そのお祝いをしてやろうと思ってな」
「お祝い?……さっき散々やったじゃねえか……」
―――俺に無理やり酒飲ませて……。
「あれはあれ、これはこれだ……エース、お前……童貞だろ?」
「いいっ……!?」
「童貞か? エース」
「なっ、ど、ど、どーてい?」
「そう、童貞か非童貞か聞いてるんだ。どっちだ、エース?」
(いきなり何聞いて来るんだこのオッサン!)
「あ・え、え、えええっ??」
「ははっ、その様子じゃぁ童貞決定だな、うん」
「……あっ、当たり前だろうが! あの寂れた島で童貞なんか捨てられねえっつの!!」
一瞬にして顔が真っ赤になり、しどろもどろの回答しか出来なかった俺を見て、 シャンクスは大口を開けて笑った。
「はっはっはっ!! そういうと思った、エース!」
傍らのロビンはくすくすとおかしそうに笑ってる。
……くそっ……こんな美人の前で恥かかせる気かよ!
「……でな、エース。海賊にはな、ちょっとした言い伝えがあってな」
「言い伝え?」
「そう、これがあながち馬鹿に出来ない言い伝えでな。海賊になって、最初に寝た女のよしあしが、 ソイツが海賊として大成するかどうかに関わってくるっていう言い伝えなんだよ」
「…………なんじゃそりゃ……」
そんなの言い伝えって言うのかよ……。口からでまかせ言ってんじゃねえか?
「そこで、……このロビンだ」
「あ?」
「……いい女だろ?」
「え? ……あ、ああ」
「美人だろ?」
「そりゃ……美人だと思うけど」
「有り難う、エース」
「だろ? 俺の自慢だ」
「自慢って、ロビンはアンタの何なんだよ」
「……ナニって……ま、大人には色々あるんだよ。それはおいといて」
―――なんだよそりゃ……。
「ロビンが、今夜のお前の相手って訳だ」
「へぇ、相手か……ん?相手…相手…相手――――?!!」





……シャンクス曰く。
据え膳食わぬは男の恥、なんだそうな。
いきなりのことに驚き、辞退を申し出た俺にシャンクスは上のような内容で延々説教を垂れ、 結果として俺は……童貞を捨てる羽目になった。
幾ら美人とはいえ、今さっき会ったばかりの女といきなりセックスって、言われたって……。
「エース、ブルってチンポ勃たねえとか無しだからな」
「……わーってるよ……うっせえな」
それも、シャンクスを交えた、いわゆる3Pで。
けれど俺たちの見ている前で裸になったロビンの身体は、そんな不安をたやすく吹き飛ばした。
ロビンの身体は本当に綺麗だった。
……無駄なところなんか少しもなくて、二つの尖りがつんと上を向いた胸は大きく、 すらりと伸びた脚もくびれた腰も、どこもかしこも……。
生まれて初めて生で見る……エロい本とかじゃなくて……女の裸。思わず息を呑んだ。
甘い匂いが、お世辞でなく漂ってきた。
デルタゾーンの繁みは薄く、その奥を俺は早く知りたかった。




小さなベッドの上に、3人はちょっと狭い。
シャンクスが後ろから片腕を伸ばしてくる。
ロビンの大きな右胸がシャンクスの手で柔らかく潰れた。その手はピンク色の尖りを摘んだ。
「あ、ッ……」
零れた声。僅かにゆがめた表情は色っぽくて、心底ドキドキした。
俺は前から……クソ、顔がモロ見えるからすっげー照れる……。
何処から触れていいのか分からずに戸惑っている俺に、ロビンは優しく言った。
「エース、キス…しましょう」
女にしては少し低めの声に誘われ、俺は生まれてはじめての……キスを、した。
ロビンの柔らかな唇。ワインの味がする。
ロビンが舌を絡ませてきた。わけも分からずにそれに舌で応じる。
頭の中が、本当にとろけていった……。
「――…ん……はぁ……ッ」
ロビンが唇を離して喘いだ。
見ればシャンクスの手が……閉じたロビンの脚の間、薄い繁みの奥へと潜り込んでいた。
「ロビン、エースに見せてやれよ……」
潜り込ませた手を動かしながら、ロビンの耳元でシャンクスが意地悪く囁く。
ロビンは少し考えて、……頷いた。
「エース、見てくれる……?」
「何を?」
「私の、とても……大事なところよ」
少し恥かしがりながらも、ロビンは閉じた脚をゆっくりと開いていく。
「よく見てやってくれよ、エース……いい眺めだぜ?」
シャンクスの手が、ロビンの脚を更に広げた。
「…………ね、………こんなになってるのよ、もう」
「―――……」
生まれてはじめて現物を見るそこは、……薄い繁みに護られ、まるで別の生き物のように蠢いていた。
ああ、……さっきの匂いはここから漂っていたのか、と気づいた。
透明な体液が、そこが収縮するたびに吐き出され、シーツを汚していた。
そのたびに甘い匂いがする。
「……触っていいか? ロビン」
尋ねると、ロビンはうなずいた。
蠢きながら体液を吐き出すその淫口に、恐る恐る触れる。……柔らかくて温かい。
軽く押すと、指はあっさりとその中に飲み込まれた。
「あ・は……ッ」
ロビンが喘ぐ。
「動かしていい?」
尋ねて、今度はロビンの答えを待たずに、飲み込まれた指を動かす。
ぬめって柔らかく、俺の指を包み込むロビンの胎内……心臓がドキドキしているのもいつしか慣れた。
「……んぁ……、あッ……エースッ」
ねちゃ、と音がすると、ロビンが消えそうな声を上げる。もっと深く指を入れて、もっと大胆に動かす。
その上にある、赤く小さな実を親指の腹で弄ると、ロビンの声は更にいやらしくなった。
「ああー…ッ、エース、いい……!」 
シャンクスも、ロビンの胸をさっきと同じように揉みしだいていく。
「……いいだろ、ロビン? いい男二人に責められるってなぁ……?」
「……いいわ……もっと、ッ」
恍惚とした表情を浮かべ、ロビンが仰け反る。
俺の指を包み込むロビンの内部。包み込みは次第に締め付けへと変わっていく。
シャンクスの指がロビンの乳頭を摘み、転がす。
「シャンクス、……エースぅ……ッ、ひぁ……ッ」
交互に名を呼び、ロビンは自分から腰を動かし、俺の指を欲しがった。
空いている胸を自分の手でシャンクスがするのと同じように苛め、俺にキスをねだる。
再び唇を絡ませ、貪りあうと、さっきから固くなっていた俺の下半身に一気に血液が集まっていった。
……ああ、マジで興奮する……。
「もう……欲しいの……エース、シャンクス…」
泣きそうな声で、ロビンが言った。
ロビンの後ろで、シャンクスが不敵な笑みを浮かべた。





……シャンクスの言ってた言い伝え、あながち眉唾じゃねーかもな……って、ちょっと思い始めた。





胡坐をかいたシャンクス。そのシャンクスの一物を、ロビンは四つんばいになって懸命に口で奉仕している。
俺は後ろからロビンに押し入って、抜き挿しを繰り返す。
最初、ぐちぐちと粘っていた音はジュブ、ズブ、とどんどん大胆になっていった。
幾らでも引き込まれていくロビンの胎内……俺にとっては初めての、女の内部。
こんなに気持ちいいのかよ……女の身体ってのは……。
シャンクスにとってロビンってのはどんな女なのか、本気であとで問い詰めてやろうと思った。
こんないい女……何処で見つけてきたんだよ。
綺麗なラインを描くロビンの腰を抱え、最奥まで突き、ギリギリまで抜くと、シャンクスの一物を咥えたまま ロビンは甘く喘ぐ。
「んふぅ……ッ、い、いいッ、……んああ…!」
「ロビン、口がお留守だぜ?」
「あ、ごめんなさ…い、……いいッ…」
「いい? ロビン、いいのか?」
俺にも少しは余裕が出来、ロビンに尋ねる。ロビンの、唾液で塗れた口からいい、と褒め言葉が出る。
中は……滅茶苦茶締め付けて……いいのはこっちも同じだった。
「あ、ふ、……ん……ッ」
「ロビンのフェラチオ、相変わらずうまいな」
シャンクスの手が汗で顔に張り付いたロビンの髪をかきあげる。
「フェラしてる顔も可愛いな、ロビンは」
「あ、が、……ん、」
「こっちも舐めてくれよ、ロビン」
シャンクスに言われて、ロビンは更に深く顔を埋める。
前から脚の間に手を入れると、さっき弄ってた赤い実は切ないくらい固くなっていて、 太股までぐっしょりと濡れていた。実に触れると、ロビンの体がビクンと軽く跳ねた。
「気持ちいい? ロビン」
「いい……エース、もっとして……もっとよ、もっと……!」
シャンクスの脚の間に顔を深く埋めたまま、ロビンがねだる。
「エース、ロビンは淫乱だからな。いっくらでもしてやってくれ」
シャンクスがおどけて言い、俺は頷いた。
「そんならお言葉に甘えて……シャンクス、年なんだからちょっと休んでてくれよ?」
言って、一旦ロビンから抜いて上体を抱え上げ、シャンクスから引き離した。
「おい、エース」
「……いくらでもしていいんだろ?」
口を尖らすシャンクスの揚げ足を取ると、シャンクスは頭をかいた。
「……ったく……若ぇヤツぁ………勝手にしろ」
独り占めしたロビンを仰向けにし、両脚を大きく開いて肩に抱え上げて。
「あ、あ――――ッ」
今度は正面から押し入った。
泣きそうな顔も、真正面だから滅茶苦茶よく見える。
ジュブって音をわざとさせるようにストロークを大きくして、突き上げた。
揺れる大きな胸を鷲掴みにし、乳頭を親指の腹で捏ねて。
「エース、あ、ああッ、……!」
「ロビン、俺今すっげー気持ちいい……」
体位が体位だから、俺のがロビンの中に入っている部分がばっちり見えた。
少しだけ色づいた桃色の襞は、俺自身をしっかりと咥え込んでた。
「私も、エース……あっ……はぁあ……ッ、んあぁッ、気持ちいいわ……」
「どこがいい?」
「どこもよ……全部、……気持ちいい……もっと、もっと突いて……ぇ」
ロビンの腰が弧を描く。美しい顔が、快感に歪む。
二人してたった一つの結果を求める、……これがセックスなんだって……わかる……。
望みどおりにもっと大胆に、深く、深く突き挿して。
………でももう、俺限界だ……。
「ロビン、も、俺……ッ」
打ちつけがどんどん早くなっていく。求めている結果は、すぐそこまで来てる……。
「エース……エースッ……私も、……私もぉ……ッ、いく……い、…ぁ……ッ!!」
「ロビンッ……!」






―――殆ど二人同時に。
狭いベッドの上、拗ねてるシャンクスそっちのけで、絶頂に達した。





……俺の、初めてのセックス。






……その後のことはよく覚えてない。
猛烈な疲労感と睡魔に襲われて眠った俺の側で、「んじゃー次、俺の番な」っていう シャンクスの声が聞こえたような聞こえなかったような……。
ただ、目が覚めたら次の日の朝。すっかり高くなった太陽。




ロビンはもう、いなかった。




俺はシャンクスに蹴り起こされた。
「お前ら俺そっちのけで随分と盛り上がりやがって、このヤロー!」
シャンクスは俺を起こすなり、ごん、と歯磨き用の琺瑯のコップで俺の頭殴りやがった。
「痛ぇッ……シャンクスがしろっつったんだろ?」
「加減ってモンがあるだろが。2対1だ、バランスっつうもんを考えろバカヤロウ。
あれじゃお前がメインで俺ぁ食後のデザートだろうが!」
「悪かったよ……それより、ロビンは?」
「ああ、もう行っちまったよ」
「……行った? 何処に?」
小さな丸い窓の向こうを眺めながら、シャンクスはため息をついた。
「さァ、今度は何処だろうな……」
「何だよ、今度はって」
シャンクスの顔は、ちょっとだけ悲しそうだった。
「あいつなぁ、……実はほんのガキの頃からこの海のお尋ね者なんだよ」
「ロビンが?」
「ああ、……俺とは5年くらい前に港で知り合って、それから1年位かな。この船にいたんだよ……」
「へぇ……ロビンがこの船に……」
「俺もよくわかんねえけど、ロビンには一生かかっても探し出したい"物"があるらしくてな。
……なんでも古いモンらしいんだ。それを探して、あちこちの海賊や組織を渡り歩いているらしい……。
ロビンはこの船の皆に愛されて可愛がられて、俺だって好きだったさ。ずーっとこの船に居て欲しいって 言ったんだが、……探してる"物"を諦めることは出来ないって、出ていっちまったよ……」
「………探し物、か……」
「アイツがこの船に居た時ぁ、ロビンは俺の恋人だったんだぜ?」
「……遊ばれてたんじゃねーの? シャンクスの方が」
「シッケイだな!……でまぁ、今でも時々、昨日みたいにこの船にひょっこり現れるんだ…… 今なにしてるんだって聞いたんだが、……相変わらずちゃんとした組織の名だとか、 何処にいるとかは教えてくれねえんだ、アイツ」
「へぇ……秘密主義だな」
「まぁな、……悪いことしてなきゃいいんだが……」
お尋ね者……あのロビンが?
凄い綺麗で、賢そうで。全然そんな風には見えなかったのに……。
「そうだ、これ、ロビンからお前に……プレゼントだとよ」
「あ?」
ベッドの下から、シャンクスが取り出したのは、パイナップルに似て、でもそれより小ぶな不思議な色の実。
「……何これ」
「悪魔の実だよ」
「悪魔の……って、あのルフィが食ったのと同じヤツか?」
「ああ、そうだ。売れば一億ベリーは下らない代物だ」
「……プレゼントって……」
「そりゃお前、喰えってことだろうな。ロビンも因みに、能力者だぜ」
「………マジ?」
目の前の、不思議な色の実をしげしげと眺める。
「……けどよ、泳げなくなるんだろ? それって海賊にとっちゃ致命的じゃねえの?」
「ルフィが言ってたろ、海に落ちなきゃいいんだって……でも実際、ひとかどの海賊になるんなら、 能力者のほうが断然有利だな」
「……そりゃそうかもしれねえけどよ……」
「海で名を上げてるやつの多くは能力者だぜ?」
どうするもんかと、その実を手に取った。
「"エース、この海でまた会いましょう"って、ロビンからの伝言だよ」
「………」




……ロビン。
たった一晩だけの、女。生まれて初めてキスして、抱いた女。
その名と、その身体は……きっと、忘れられない。
「この海でまた、か……」
今度会うときは、……シャンクスが紹介してくれるという白ひげの親爺の下、
大海賊と呼ばれるくらいにはなっていたい。ロビンが何処にいてもその名が聞こえるくらいの、大物に。
そしてもっともっと、ロビンのことを知りたい。
早い話が、……惚れたって訳だ。
「そうだな、……じゃ、俺コレ貰うよ、シャンクス」
「マジ? 喰うか?」
「喰ってやるよ」
「根性あるな、エース。若いねぇ」
「シャンクス、年寄りの感想だな、それ」
「一言余計だ、お前。……それよりもエース、ロビン程の女と寝たんだぞ? 絶対一人前になるよな?」
「ああ、……勿論だよ。なってやらぁ……」



その夜、俺は不思議な形の実を口にした。
そして泳げる身体と引き換えに、焔を自在に操ることのできる身体を手に入れた。
火拳のエースと二つ名をくれたのは、シャンクスだった。
それから二日後、船は港に着き、俺は白ひげのオヤジの船に乗ることになった。







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