『銀髪の男』




うつ伏せの体勢で枕に顔をこすりつけるように埋めて、春麗は声を必死で殺した。
それでもベッドはぎしぎしと悲鳴のように軋み、二人分の荒い吐息は冷えた空気を震わせる。
肉同士のぶつかり合う音。誰かに見つかれば、言い訳のできる状況ではない。
『……尻をもっと上げろ、』
低い声だ。耳元で命令され、春麗は頷く代わりにその白い尻をもっと高く上げた。
小ぶりな尻は形よく、その割目へと打ち込まれる男の雄。それは熱く太く、深く深く抉るかのごとく。
「ん、……っ……ぅ、……」
抑え切れなかった声がどうしてもこぼれる。
拓かれた春麗の身体は、男によって与えられた感覚を快楽として受け止めるようになっていた。
最初はただ痛みと苦痛しか感じなかったというのに。
何も気にせず、獣の様に声を上げて感じることができたらどんなにいいだろうと、春麗はいつも思う。
すぐ隣のベッドでは、目に包帯を巻いた紫龍が静かな寝息を立てている。
目の見えなくなった紫龍の世話の一切をするため、春麗は紫龍と寝室を共にしていた。
紫龍の眠りが深いことは良く分かっている。寝る前にいつも飲む薬は眠気を誘う。
けれど、これだけ音を立てて、紫龍が起きないという保証はない。
隣で紫龍が寝ているのに……と考えると、倒錯的な行為であるという自覚が春麗の中の罪悪感と劣情を高めていく。
『いいぞ、……だいぶ慣れてきたな』
自分を犯す銀髪の男は満足げに春麗の耳元で囁くと、まだ発達しきっていない春麗の両の乳房を乱暴に揉みしだく。
激しく出し入れする部分を中心に、疼きが……快感が、春麗の全身を支配していた。
しこった乳頭を指でつままれると、もうどうしようもなくなってくる。
「駄目……もう……私……」
『欲しいか?』
男の質問に、春麗は頷く。
『イかせてほしいか? 春麗』
「は……い、……デスマスクさま……」
男の、春麗の胸を弄る手の一方が離れ、春麗の脚の間に差し入れられる。
赤く充血した小さな実を、押しつぶすように強く摘んだ。
「あ、あああっ……!」
待ち侘びた感触。
そこへの刺激。
春麗の口から泣きそうな声が出た。もう抑えられない、もう我慢ができない。
「い……いく……ッ……私、私イきます…!!」
春麗の身体が大きくのけぞり、閉じた目の裏で白いものがはじけた。身体が硬直する。
「あ――……あ……!」
花襞が、男の肉樹を締めつけた。
『……ッ、』
春麗と同時に、デスマスクと呼ばれた男も達した。春麗の中で射精する。
「……ぁ……熱い……」
硬直の後、春麗の身体が脱力する。胎内にたっぷりと注がれた男の精は、熱かった。



また来るからな。
そう言って春麗の頬にキスをし、銀髪の男は去っていった。
「……はい」
いまだ四つんばいで尻を高く上げたままの格好で、春麗は余韻に浸っていた。
呼吸をするたび、下肢を、精液と愛液が混ざり合ったものが流れていく。



男は時折真夜中にこの家を訪れ、春麗を抱いていた。
甘い言葉を交えて、その幼い身体を拓いて女へと変えていった。
銀髪の男だった。彼もまた、紫龍や老師と同じく聖闘士だという。デスマスク、と名乗った。



「昨夜は変な夢を見たんだ」
朝、紫龍の包帯を交換する時、紫龍が神妙な顔で話し始めた。
「どんな夢?」
「春麗が、知らない男に連れ去られる夢だ。明け方に見た夢は正夢になるというから……」
「いやだわ紫龍ったら、……そんな迷信を信じているなんて」
不安を隠せない様子の紫龍に、春麗は変な紫龍、と笑った。
そして心の中で、激しく動揺していた。
もしかして、聞かれていたのだろうか、と……。



春麗の身体だけはもう、連れ去られたも同然だった。紫龍の知らない、銀髪の男に。
心もきっと、もうすぐ。

(END)





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