『優しい時間』




優しい時間、という言葉を聞いたのは、ずっとずっと昔のこと。
ゆっくりと過ぎ、永久に続けばいいと願う、そんな時間だと聞いた。



多分、今がその時なんだろうと、俺は思った。
「天津飯さんと一緒にいると、とっても気持ちいいですわ」
俺の腕の中、彼女はそんな言葉をさらりと言ってのける。
投げかけられた言葉を巧く返せない俺は、いつも下手糞な受け答えしかできない。
「……お、俺も……だ」
だから俺は彼女をもっと強く、抱きしめる。
言葉の代わりに抱きしめる。



それはきっと、大切な人と過ごす、かけがえの無い時間のこと。
俺と彼女の優しい時間はゆっくりと過ぎていく。
二人きりの、海辺の小さな家。
本当に何も無い、ある晴れた日の昼下がり。




『金の彼女と、黒の彼女』



「……女神は言いました。お前が落としたのは、この金の斧か、それともこの銀の斧か」
餃子が読む昔話の本を子守唄代わりに、修行の後、休息の時間。俺はまどろみの中にいた。


そして夢を見た。


「お前が落としたのは、この金のランチか? それともこの黒いランチか?」


湖の前に俺は跪いている。
湖の中央に立つのは、まばゆい女神。
女神の両側には、金の彼女と、黒の彼女。
「答えなさい、どちらですか?」


俺が落としたのは、どっちの彼女なんだろう。


「早く、答えなさい」
急かす女神の両側で、金の彼女と黒の彼女が俺を見つめている。答えを、待っている。
「天津飯っ」
「天津飯さん……」




さぁ、何と答えよう。




『七つの珠と、二つの願い』


もしもあの七つの珠を集めることが出来たら、神の使いである龍に、俺は何を願おう。

強さか? そんなものは降って沸くものではない。
地位? そんなものに興味はない。

俺は、いつも隣にいてくれる”彼女”に尋ねてみた。
二度、問うてみた。

「天津飯さんと、ずぅっと一緒にいられることをお願いしたいですわ」と、黒い髪の彼女。
「そりゃ、お前と一緒にいることだな」と、金色の髪の彼女。


叶えられる願いは二つ。
もう一つの願いは、何がいいだろうか。




『クシャミの後に』



「天津飯、おい」
金色の髪の彼女に名を呼ばれ、振り返った、その途端。



「…………っ………!」



精一杯背伸びをした彼女に、俺の唇は不意に奪われた。……不覚。



「……オレがクシャミして”あいつ”になったら、今度はお前からしてやれよ?」
金色の髪の彼女はいたずらっ子のような笑みを浮かべた。
今度は俺から……俺から?






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