→Sandy-Sandy シリーズのサン子ちゃんです。

「チョコレートソース」



「何だ? 今日は何だ? 何かのオイワイなのかっ!!?」
 トナカイが、鼻をピスピスさせて喜んでる。
 今日のおやつは、ちょっぴり豪華に、チョコレートケーキ。いつも、大きいホールを切り分けて全員に配ってるところを、小さいけど一人一個、まぁるいホールで渡す。
「今日はなァ、ヴァレンタインデーっつって……まあ地方によっていろいろだけど、恋人にプレゼントしたりチョコレートで告白したり、家族でケーキ食べたりして祝うんだ。ちょっとごちゃまぜだけど、みんなでケーキ食うのも楽しいかと思って」
「家族……」
 チョッパーがふにゃけた顔になって、エッエッエッ、と笑う。
 つられて笑い返して、頭をかいぐりして皿を手渡すと、興奮して走り出した。
 ケーキにはホワイトチョコレートで模様をつけて、まんなかにマジパンの人形。
「これ、俺だよな! スゲー! 食べるのもったいないな! スゲーなサンジ!」
「なにをーぅ、おれだっておれだ! ゴムゴム人形だぞ……あ、ホントに腕が伸びたぁー!!」
「腕のトコだけ練りガムなんだから飲み込むなよ」
「ちぎれた」
「もー、バカね!」
「オイ、サンジ手前ェ、俺の人形はどうして鼻が伸びるのかちょっと教えてください」
「うふふ、航海士さんのはみかん付きで、私は本付きなのね。かわいいわ」
 わいわいわい、と3日がかりの力作に、全員大いに盛りあがっている。
(うんうん、作ったかいがあったってモンだぜ)
「オイ」
「なんだクソ剣士」
「これは、アレか? なんかのイジメか?」
「何で」
「俺だけまるっきり、他と違うじゃねーか」
 そう。
 甲板であいも変わらずトレーニングに精を出す、ゾロの前に置かれた皿には、チョコケーキではなくて。
「パンケーキ、不満か? チョコのが良かったのか?」
「……いや、どっちかってェと、あんなに大量のケーキを食うことを考えただけで胸ヤケしそうだ」
「だろ? だからさ、お前のだけ特別仕様なんだぜ。パンケーキに見えるけど、ぜんぜん砂糖使ってないんだ! みんなと気持ちおそろいで、上の文字だけ、チョコレートソースな。で、和風にしようと思ってさ、牛乳の変わりにダシ汁使ってるから」
「ヘェ……なんだ、つまりお好み焼きみたいなモンか」
「…………は?」
 サンジの身振り手振りの入った説明が、ぴたりと止まった。
「だから、お好み焼き」
「……オコノミヤキ?」
「ん」
 ゾロは、皿に乗っていたフォークで、ケーキ?をひょいと口に放り込んだ。2段になっていたから、もうひとくち。あっというまに平らげる。 「バレンなんとかでない日は、チョコソースじゃなくてしょうゆとかの辛いソースな」
「小麦粉、卵、だし汁……え? え、あ、うん」
 我に返って返事をする、サンジの顔が、赤い。
「お前、もしかして」
「……なんだよ」
「和風ケーキとかいって、オレって天才ー、とか思ってたんだろ」


「ば、ば、馬鹿にすんなッ、このクソへっぽこ剣士―――!!」


「で、ケンカになって、乱闘に発展したあげく、本命だって言うの忘れたっての?」
 ナミに返す言葉もない。
「だって、せっかく考えたのにィ……」
 グスグス、半泣きのサンジの足の爪に、明るいピンクのペディキュアをしてやりながら、ナミは大きくため息をつく。
「ま、いいか。とにかく賭けには負けたんだから、約束通り明日はスカートはいて、サンダルでこの爪見せて歩いてね」
「はぁーい……」
 やっと落ち着いてきたところに、ロビンがにっこりと追い討ちをかける。
「今度、私にも作ってちょうだい、そのお好み焼き」
「あうっ」
「もうロビンったら……でも、私のもお願いね」
「あうぅっ」
 たまには、猿も木から落ちる。弘法も筆の誤り。アヒルの川流れ。
 コックも創作料理に失敗するのだ。 






----2004.02.12. AKITOH. Sandy Sandy Sait.----
サン子のパンケーキを食べてみたいなぁ、と思ったのはBだけじゃないですよね?
こちらはなかなか思いが通じないぞ!!w
そんなサン子が可愛い……スカートはいて、サンダルでペディギュアちらりのサン子を見てみたい!
へっぽこ剣士には何が効果的なのでしょうか???


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