■dreaming of eternity■




          ―エピローグ―
        







その年の秋が終わるまで、ルパンと次元はその城に滞在し、激しく愛し合った。

すっかり健康と気力を取り戻した次元が、ルパンと共に五右ェ門と不二子の前に姿を見せたときには、季節は冬の只中に移ろっていた。



4人はまず、次元の復帰を祝い合った。 ルパンのくだらない冗談に、次元の応酬。それから始まるいつも通りのじゃれ合いと、不二子の溜め息。

以前と変わらない日常を誰よりも喜んでいたのは、実は五右ェ門だったかもしれない。

次元のそばにいることも叶わず、力にもなれず――

だがこうして、次元は戻ってきた。




やはりあの男には、敵わぬと見える……




五右ェ門は胸の中で嘆息した。


だが、いいのだ。それが誰であろうと、次元が愛しているのなら、そして次元を愛してくれるなら――次元が幸せなら、それで。


「だがやはり、口惜しくもあるな……」


猪口を片手に独りごちる五右ェ門の言葉を、不二子だけが聞き取っていた。


「ほんとにあの二人には困ったものね」


ルパンと次元がシャンペンを掛け合っているのを尻目に、不二子はグラスを傾けてウィンクした。


「でも、今はともかくお祝いしましょ」


五右ェ門は、少し寂しそうに微笑み返すと、猪口を持ち上げた。













これが、ルパンと次元がコーサ・ノストラに復讐するにいたった経緯である。






そしてルパンたちが再会を祝してから、20日ののち。






世界中のマスメディアは、ニューヨークマフィアの本拠地が壊滅的な打撃を受け、ボスに就任したばかりのガルシアが殺された事に沸いた。

地元ニューヨーク警察どころか、FBIも、CIAすらも、その破壊劇の首謀者が誰かを突きとめることはできなかった。

それはルパンと次元が高層ビルの屋上で二手に分かれてから、わずか12時間の間に起こった出来事だった。



























さて、年が明けて、ルパンファミリーは何故か日本に来ていた。

耳をつんざく轟音に、五右ェ門は無言で、不二子はあからさまに不満を露にしながらルパンをにらみつけていた。


「…次のお宝が日本にあるから、その下準備って言ったわよね?」

「ん〜、そ〜よ〜」


ルパンはどこ吹く風、デジカメを手に満面の笑みでシャッターを切っている。
もう限界とばかりに、不二子爆弾が炸裂した。


「な・ん・で・埼玉ゴズニーランドなのよっ!!!」


その叫びが天に木霊すると同時に、またしても大音響でジェットコースターが駈け抜けていった。





「ひゃっほう!」





最前列に座っている次元が、ルパンに向かってピースサインを出す。

その決定的瞬間をシャッターに収めたルパンは、上機嫌だ。


「いやね、たまには童心に帰るのもいいかな〜、なんつって思ったりなんかして」


ぬほほほほほ、と笑うルパンに、


「単にあなたたちが“遊園地デート”したかっただけでしょっ!!」

「無常だ…」


と、二人の至極当然とも言える苦情が飛んだ。


「あれ? バレちゃってた? っかしーな、なんでわかったのかな〜」


バレいでか、となおも詰め寄る二人をまーまーといなして、ルパンはコースターを見上げた。











二人で居れば、終わらない夢が見られる。いつだって。何処でだって。


「次元――!!」


ルパンは大きく手を振った。次元に見えるように、大きく。











そしてこの年の夏、4人は銭形警部と共に、霧多布で魔毛狂介と彼のタイムマシンに遭遇する事になる。























■dreaming of eternity■ 

〜FIN〜






















■あとがき■



ここまで至るのに、本当に長い年月を要してしまいました。


サイト構築を担当している私、花の個人的な事情で(家人の病気、環境の変化など)


更新が長い長い間滞り、ここまで時間をいただいてしまったこと、この場を借りてお詫びいたします。




このお話を書いた年は、『霧のエリューシヴ』が放映された年でした。


この章の最後でそれがうかがえる描写を自分でしていて、本当に勝手ですが、とても懐かしく思いました。


そして身勝手ついで、と言ってはなんですが、この章を更新して連載を完結させることができ、


改めて自分の書いた物語を読み直したときに、私にはまだ「『ルパン三世』の二次創作で書きたいものがある」と


思えたことは、自分にとってとても貴重なことでした。そしてまた、とても大袈裟ですが、連載を終えて、私にとって『ルパン三世』がどれだけ大切なのか、


また、鈍足にもほどがある更新でしたが、このサイトが如何に大事なものであったのかがわかったことも、とてもしあわせなことでした。




私自身の幸福な思いばかり書いてしまいましたが、一連のお話をお読みくださった方、


このサイトを訪れてくださった方が、ほんの少しでも楽しんでいただくことができたなら、


管理人の一人としてそれ以上にしあわせなことはなく、また、本望です。




本当に、長い長い時間がかかりました。


何よりも、このサイトを訪れてくださった皆様に心からのハグと感謝を。


そして、管理人として併走してくださったTHE太郎さんと忍さんにも、心からの感謝を捧げたいと思います。




今後は絵板ログの更新と、温め中の企画を、これまたゆっくりで本当に申し訳ないのですが(本当にすみません/orz)、進めていきたいと思います。




そしておわりにもう一度、心からの御礼を。


この連載にお付き合いいただいたすべての皆様、本当に、ありがとうございました。




2011/5/25 五月晴れの水曜の朝に 花












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