■ トランスヴェスタイトの夜 ■




「可愛いね~、次元ちゃん」

「……………………」


衣装棚がひっくり返されたような、ドレスの海。

その中に、ルパンと次元が立っている。

ルパンは事のほか上機嫌だが、次元はあからさまに不機嫌だった。


「も~う、このウエストの細さがたまらんなあ~!いや~、次元ちゃん、
 こういうタイトドレス、本ッ当に似合うね~!」


次元はルパンによって、女物のドレスをとっかえひっかえ着せられているのだった。


「んじゃ、次はこれ~!!」


ルパンが手にしていたのは、黒のロングドレス。スリットが、太腿を露にするほど深く入っているものだ。


「…あのな、ルパン」

「なあに~?」


ルパンは、既に次元が着ている白いファーが衿を飾るクチュールのドレスを脱がしにかかっていた。


「…仕事で女装が必要なんだ、って言ったよな。」

「そうそう、その通り~!」


じり、と、次元の銜え煙草から灰が零れ落ちた。


「…さっきから何着着替えさせりゃあ気が済むんだよ!!俺ぁ着せ替え人形じゃねえっ!!」

「アラ、そ~お?」


そう言っている間に、ルパンは、さっさと次元のドレスを脱がせてしまっていた。

下着一枚の姿になった次元は、思わず身震いした。


「う~!ちくしょ、寒いじゃねえか!早くしやがれ!!」

「着せ替え人形じゃないとか、早くしろとか、次元ちゃんたら、言ってる事が違うじゃ~ん。」


その通りなので、次元は何も反論できなかった。

こめかみを押さえながら、次元は言ってみた。


「…せめて、女顔にメークアップしてから着せたらどうだ?」

「なんで?素で十分じゃん。」


ルパンは至極当然だ、と言う風に言った。


「素って…。髭の男がドレス着てる様なんざ、どう見ても…」

「どう見ても?」


ルパンは鼻歌を歌いながら、手馴れた手つきで次元にドレスを着せていく。


「どう見ても…見られたもんじゃねえと思うんだが」

「わっかんねえかな~!この倒錯の美が!」


ほいっ!と、ルパンがドレスアップした次元を鏡の前に立たせた。

鏡の中には、ジバンシーのクチュールドレスに飾られた次元が立っていた。

開いた胸元には豪華なベルギーレースをふんだんに使い、地には黒の絹。
身体の線を強調する様に、ぴったりとしたタイトドレスだ。


「…で、これとこれと~」


ルパンがアクセサリーをピックアップしていく。

首飾りとイヤリングは、ルネ・ラリックのガラスデザインにサファイア、ダイヤが散りばめられた、
豪奢だが決して首筋の線の美しさを損なわないものを。

指輪には、ブシュロンのこちらもサファイヤ・リング。凝ったデザインながら、しとやかな趣を失わない
老舗ならではの逸品だ。ブレスレットも、ブシュロンの品で統一された。


「こんなもんかな~。」


ルパンは、最後に香水を一吹き次元に吹きつけると、
にんまりと鏡の中を見つめた。


「…決まったか?」

「ん~、もう一歩何か、と思うんだっけどもがよ、今日のところはここまで~!」


はぁ、と、次元は嘆息した。


「じゃあ、さっさと脱いじまうぜ。やれやれ、えれぇ目に遭った。」


次元がファスナーに手をかけると、ルパンの手がそれを止めた。


「…んだよ。」

「いや~…。何だか脱いじゃうの、勿体無くない?」


次元のウエストに、ルパンの手が回った。


「おい、ちょっと…!」

「次元ちゃん、綺麗…」


ルパンの舌が、次元の首筋を舐め上げた。


「あっ…!!おい、止めろって…!」

「ん~、もう、止まんな~い…」


レースを割って、ルパンの手が次元の胸を探る。もう片方の手は、
深いスリットをくぐって太腿を撫で上げていた。


「あっ…ん、…!ルパン、やめ…」


次元は抵抗も空しく、そのままドレスの海の中に押し倒された。


「ルパンっ!!こんな格好じゃ…!」

「だからイイんだろうが」


ルパンの瞳は、情欲に燃えていた。

そのまま深く口付けられ、口中をくすぐるような舌の愛撫に、次元の意識は溶け始めた。


「ん…んっ…!」


ルパンはドレスをたくし上げると、下着の上から次元の性器を弄び始めた。


「あれれ~…?」


下着には、既に先走りが滲んで、ぬめぬめといやらしく滑っていた。


「…こんな事なら、下着も女物にしときゃ良かったな…」


額に汗を光らせて微笑うルパンに、次元は、


「…うるせぇ…」


と、精一杯の意地をはって見せた。その目には、涙が滲んでいた。

ルパンは、にやり、と口の端を上げて笑うと、
そのまま手を下着の中に滑らせた。


「あっ…!あ…」


器用な指が加える直接的な刺激に、次元自身は更に昂ぶった。
カリ首の部分に軽く爪をたて、親指で擦ってやると、
まるで耐えきれないとでも言うかのように、透明な液体が零れ落ちた。

それに煽られる様に、ルパンは舌で、指で、次元の全身を愛撫し始めた。

赤く色づいた乳首を音を立てて吸い上げ、ときについばむ様に舌先を使って転がす。
もう片方の手で、反対の乳首をいじってやる。


「あ、あ…!…ぅ…ん…」


切なげな次元の声に、ルパンは更に欲情した。

乳首を転がしていた手で、次元の方腿を持ち上げると、足を大きく開かせた。


「あっ…!!ルパン…!!」


思わず、次元は上体を起こそうとした。


「いやだ…!!こんな格好…!!」


体重をかけてそれを封じると、意地悪くルパンは言った。


「イイんだろ?…こんなにしやがって…」


次元自身を握った手を上下に動かすと、次元の身体は波打ち、四肢は強張った。


「あっ!あっ…!厭…!!」


ルパンは次元に圧し掛かると、自らの足で次元の足を閉じられないようにしながら、
指を先走りで濡らして、秘門を探った。

ゆっくりと人差し指を埋め込むと、すぐにきつく締め付けられた。


「そんなに欲しいのかよ…」


熱い吐息を、耳元に吹き込む。
そのまま、ねっとりと耳を舐め上げると、次元の指がルパンの肩に食い込んだ。


「…いい…」

「ん…?」

「早く、欲し…い、…んっ…!!」

「次元…」


ルパンは、埋め込んだ指を激しく動かし、更にもう一本加えて、次元を解きほぐした。
指が蠢くたびに、次元の身体は痙攣し、陰茎の先からは精液が零れ落ちた。

遂に耐えきれなくなり、ルパンは勢い良くジッパーを下ろすと、
昂ぶった自身を取り出した。
そして、少々乱暴に次元の後ろ髪を掴むと、鏡を見させた。


「よく見てろよ…」


上がった息の下でそういうと、ルパンはゆっくりと次元の中に己を埋めていった。


「あっ!あっ!…!!」


高く上げた次元の片足が、びくびくと痙攣する。


「…見てみろよ」


すっかり次元の中に自らを収めると、ルパンは次元に促した。

鏡の中には、ひとつになった二人の結合している部分までがはっきりと映し出されている。
次元のそこは、桃色に染まって、更にひくひくとルパンを誘っていた。


「…っ!!」


次元は頬を紅潮させて顔を背けようとするが、ルパンがそれを許さない。

黒い絹のクチュールドレスには、次元の棹から伝った白い精液が、
ぬらぬらと光っていた。


「…ほら…」


ルパンが上体を動かして浅く抜き差しすると、次元は背を反らせて悶えた。


「あッ…ん、あ、ルパン…!」


涙と情欲に濡れた顔で、次元は哀願した。


「もっと、…もっと、激しく…!」


ルパンは、全身が欲情に粟立つのを感じた。
しゃくる様に一つ息を呑むと、ルパンは次元に覆い被さって、
激しく腰を動かし始めた。


「あっ!あっ!ああッ!!ルパン…!!」


次元は悦びに身体を震わせながら、ルパンに縋りついた。
その唇に、ルパンはむしゃぶりつくようなキスをした。

粘膜の擦れ合う音が、室内に満ちる。口付けはときに離れ、ときに深く、
唾液を絡ませ合い、互いに飲みこむ二人は、そのとき、
世界中のどんな恋人たちよりも一つだった。


「あ、あ…!イく…!」


天を仰いで、そう言った次元の閉じた瞳から、涙が一筋伝って落ちた。

やがて次元は、ルパンの手の中に白濁とした精液を迸らせた。
ルパンも、そのときを感じて、次元の中に深く、深く自身を突き入れると、その中を熱く濡らした。











終わっても、なお離れがたく、ルパンは次元を強く抱き締めた。
次元は男の胸に顔を埋めながら、荒い呼吸を繰り返している。

ルパンはそんな次元の頬を優しくさすりながら、瞳を覗きこんだ。


「すごく良かったよ、次元」

「………」


次元は、潤んだ目でルパンを見上げた。
すると、ルパンは悪戯っぽく次元の耳元で囁いた。


「…ほんとは、こういうのの方が好きだったりして」

「っ!!!」


顔を真っ赤にして抗議しようとする次元の唇を奪って、ルパンは微笑んだ。






香水に混ぜて吹きつけた強い媚薬。効き目が切れるまでには、まだまだ時間がある。






「さあ、参りましょうか、姫。」


精液が飛び散ったままのドレス姿の次元を抱き上げると、ルパンは寝室に向かって歩き出した。


「っ!!誰が姫だ!!」

「お前は俺の、最高のお姫様だよ。」


手足をばたつかせる次元の頬に、ルパンは、音を立ててキスをした。






~Fin~
















■トランスヴェスタイトの夜■後記

実はアイちゃん、りんごちゃんといった完全女体化(?)も
大好きなのですが、麗しいクチュールドレスに身を包み、
しかもスネ毛、髭は隠していないというシチュにも
大変萌えたので、このような設定になりました。

最初はただ単にルパンが次元にドレスを着せて喜んでる
他愛ないお話のつもりだったのですが、書いているうちにふたりが勝手に
行為に及んでしまった、という経緯があります。登場人物が作者の
意図から離れた行動を作中で取り出すということはよくあるのですが、
書いていてとても楽しかったお話です。
















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