「あなたと私の記念日」 昼下がりのある日のこと。スピカは隣にいる愛する男性・レグルスに1つの質問をした。 「あの、レグルスさん。今日、何の日かご存知ですか?」 年齢よりも大人びた言動、色っぽい魅力ある美男・レグルスは突然の質問に少し驚きながらそう答えを返した。 「はい、私の誕生日はまだですけど・・・・そうではなくて。今日は、その・・特別な、日で・・・・」 顔を赤くして恥ずかしそうにするスピカを見て、レグルスは1年前の今日に思考を巡らせた。 「特別な日か・・・あぁ、おまえと初めて付き合った日だったかな?」 余裕の微笑を浮かべて答えを出したレグルスに、スピカは嬉しそうに笑顔でコクンと頷いた。 「良かったです。レグルスさんが覚えてて下さって・・・・」 レグルスとしては、スピカのこの発言が意外だったようだ。驚くレグルスを見て、スピカは恥ずかしそうにしながらもポツポツと喋った。 「その・・・レグルスさんは本当に素敵で、とても魅力的で、一緒にいるだけでドキドキしちゃって・・・・それに、いつも色んな女の方と仲良くされているレグルスさんなので、私はいらないんじゃないかって、不安に思ってても・・レグルスさんが優しくして下さったので、嬉しくて・・・・あっ、これじゃあまとまってないですね。すみません!あの、私はレグルスさんと一緒にいることが出来て、本当に嬉しいんです。」 レグルスはそう言ってスピカの腰を抱き寄せたかと思うと、もう片方の手でスピカの顎に手をかけ、軽く持ち上げさせた。レグルスと見つめ合ったことで、スピカは一気にドキドキしていた。 「レグルスさん・・・・」 そうして2人の顔が近付き、唇が重なった。照れて顔を赤くしているスピカを見て、レグルスは余裕の微笑を浮かべる。 「・・そんな無防備な顔をされると、襲いたくなってしまうね。」 あまり冗談に聞こえない発言だとスピカは内心思いつつ、レグルスが懐から何かを取り出そうとしていることで、何が出てくるのだろうかとドキドキして見守っていた。 「あの、レグルスさん?これは・・・・」 慌てながらそう聞くスピカを見て、レグルスは当然と言わんばかりの余裕の笑みを浮かべた。 「もちろんさ。これからも、私と一緒に時を刻んで欲しいからね・・・・」 真っ赤になってそう言うスピカを見て、レグルスは楽しそうに笑った。いつでも余裕のレグルスにスピカは全く勝てないな〜、と思いながらレグルスのことをちょっぴり恨めしそうに見つめる。 「・・スピカ。私はね、おまえがこうしていてくれれば、他には何もいらないよ。」 レグルスはそう言って、スピカの手の甲に軽くキスを落とした。キザっぽい言動を平気でするレグルスとこうして1年付き合ってきたスピカであったが、未だにこのようなことに慣れない。 「あ・・あの、はい。レグルスさん・・・・」 それまで余裕だったレグルスだが、スピカに否定されたことが本当にショックだったようで、一気に悲しそうな表情になった。レグルスにそんな顔をされるとスピカは弱い。慌ててまくし立てた。 「あっ、あの!その、違うんです!レグルスさんにキスはして欲しいんですけど!えっと。は、恥ずかしくて、ちゃんと返事が出来なくて・・・・」 レグルスは余裕の微笑でもってそう言い、スピカを立たせた。スピカは両手で、レグルスからもらった懐中時計を大事そうに持ってコクンと頷いた。 「あの・・はい。レグルスさん・・・・」 レグルスは、スピカが懐中時計を持っている両手を片手で包み込んでそう言った。 END. |
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