「祭の後の幸せ」

 

とある日の午後。王女・スピカはお付きのメイド・アルビレオと共に午後のティータイムをまったりと過ごしていた。
アルビレオは何をやらせても非常に有能な女性で、小さい頃からスピカたち王族に代々仕えている家系である。その為、互いに本音で話し合える貴重な存在となっていた。

「わぁ〜。このクッキー、とってもおいしいですね〜。アルビレオさん、これはどちらから買って来られたのですか?」
「いつものバザーからだよ〜。何せウチの王国のバザーってば、世界各国から良い物だけ取り揃えてくるから、毎週バザーの日はウッハウハよ〜!!」
「ウフフフッ、楽しそうですね〜。私も、今度行ってみたいです。」
「ええぇぇっ!?スピカちゃんが直々にお買い物しちゃうの!?うぅ〜ん、それはちょっとヤバイんじゃないかな〜?」
「ウッ・・やっぱり、そうですよね・・・・」

スピカは一人娘であり、王女である。王国の誰もがスピカの顔を知っている以上、危険なのではないかとアルビレオは判断したのだ。
そしてそれは、スピカもよく分かっていたようだ。悲しそうな顔をしているスピカを見て、アルビレオはポンポンとスピカの肩を優しく叩いた。

「まぁまぁ、そんなに落ち込まないで!スピカちゅわん。どうしてもバザーに行きたいなら、スピカちゃんお抱えの親衛隊員と行けばイイじゃない♪」
「アルビレオさん・・・はい!そうですよね。後はお父様の許可をいただけるかどうか・・・・」

スピカが笑顔で話したその時だった。コンコンと部屋のドアがノックされたのである。
驚いて思わず声が出なかったスピカの代わりに、アルビレオが「は〜い?開いてるよ〜ん。」と返事をした。
すぐにカチャッとドアの開く音がして見てみれば、そこにいたのは何と、親衛隊長かつスピカの恋人でもある色っぽい高貴な美男・レグルスだった。
丁度親衛隊の話をしていた時に思わぬタイミングでレグルスが現れたことで、スピカはもちろんアルビレオも驚いた。

「おや、どうしたのかな?2人とも驚いた顔をしているね?」
「レ、レグルスさん。あの・・・・」
「来たわね!?スピカちゃんバカ!!ったくも〜う、あんたは何ってタイミングに現れてくれるのよ!?」

アルビレオがすごい剣幕でそう言うと、レグルスは少し驚いていたものの、すぐに余裕の微笑を浮かべてみせた。

「フフッ・・どうやら、秘密の会話の邪魔をしてしまったようだね。出直して来た方がいいかな?」
「あっ!その、待って下さい!レグルスさん!」
「スピカちゃん?」

スピカがレグルスを呼び止めたことで、踵を返そうとしていたレグルスはもちろん、アルビレオも驚いてスピカを見つめた。
2人に同時に見つめられたことでスピカは少しドキドキしていたが、胸元に手を置いて必死に落ち着こうと努めながら話した。

「その・・私、レグルスさんにお願いしたいことがあるんです・・・」
「そうか。おまえの願い事なら、全て叶えないといけないね。」
「ありがとうございます!レグルスさん。実は、私・・・・」

と、スピカが話し出そうとしたその時だった。ドアが開け放されていた廊下側から、「あ、レグルス発見。」と言う低い男性の声がしたのである。
驚いて3人共そちらの方を見てみれば、そこにいたのはレグルスと同じ、スピカの親衛隊員として活躍中の背の高い美男・ミザールだった。
青い長い髪をゆったりと後ろでまとめて、常に寡黙かつ冷静な雰囲気のミザールだが、同時にボケーッとした平和主義者であることも有名だ。
これは噂だが、ミザールの剣技や魔力は隊長・レグルスの上をいくらしい。常に本気を出さない平和主義者であるが為に出世しないとか何とか。

「おや?ミザール。私に何か用だったかな?」
「ん・・・誰だったっけ?誰かが、あんたのこと探してた。」
「誰かって・・・・その『誰か』が重要だと思うんだけどね〜?ミザール。」
「・・そっか。でも、忘れた・・・・」
「フフッ・・ミザール。それなら先を急ぐ必要はないさ。あぁ、それより待たせてごめんね?姫君。話の続きをしてもらえるかな?」

ボケボケなミザールの対応にレグルスはすっかり慣れたようで、余裕の微笑を浮かべてスピカに続きを促した。
スピカは未だにこのボケボケなミザールに慣れないのだが、争いを嫌う優しい人であることは良く知っていた。

「は、はい。その、ミザールさんにも聞いていただきたいのですが、お時間大丈夫ですか?ミザールさん。」
「ん・・・・?姫様直々のご命令、か・・・?」
「あっ・・その。命令、ということの程ではないのですが・・・」

スピカが顔を赤くしてそう言うと、ミザールは少しきょとんとした顔をした。

「・・そうなのか?でも、話は聞いてく。」
「ありがとうございます!ミザールさん。」
「・・ひょっとしてスピカちゃん、まさか例のコト2人に頼むの?」

アルビレオがすかさず突っ込むと、スピカはその通りだと言わんばかりに笑顔でコクンと頷いた。

「はい、アルビレオさん。実はですね、レグルスさんとミザールさんにお願いしたいことがあるんです。その・・城下町で開かれてるバザーなんですが・・・・」
「・・ひょっとして、行ってみたいのかな?姫。で、その護衛を私とミザールに頼みたい・・かな?」
「レグルスさん・・・・!はい、その通りです。あの、よろしければで構いませんので・・・・」

さすがレグルスは話が早くて助かる。スピカがそう言うと、レグルスは色っぽい余裕の微笑でもって答えた。

「私は、おまえの願いを叶える為の存在だからね。もちろん、お供させてもらうよ。ミザールは?」
「あぁ・・構わない。着いてく。」
「レグルスさん、ミザールさん・・・!ありがとうございます!後は、お父様が許して下さるかどうかですね・・・」

スピカがそう言うと、アルビレオがウインクしてみせた。

「まっかせて、スピカちゅわ〜ん!あたしからも王様に口添えしておくからさ、行っておいでよ〜!!レグルスとミザールが一緒なら、王様もそうそう反対しないっしょ?」
「アルビレオさん・・・はい、ありがとうございます!私も、お父様が許して下さるって信じてます。それでは、すみません。お願いは以上なんですが・・・よろしくお願いします。」

スピカがお辞儀してレグルスとミザールにそう言うと、レグルスとミザールは笑顔でそれに答えた。

「あぁ、こちらこそよろしくね?姫。」
「よろしく・・・・そうだ。もしあれば、猫のぬいぐるみ欲しいかも・・・」
「ミザール。目的が入れ替わってるけど、大丈夫かい?」
「ん・・・?姫様の護衛だっけ?」
「フフッ・・おまえは相変わらずだね、ミザール。」

レグルスがそう言って笑った所で、ミザールが突然ポンと手を打った。

「・・・あ、レグルス。思い出した・・・あんたのこと探してた人。」
「えぇっ?今頃かい?ミザール。」
「ん・・・こっち、こっち。」

そう言って手招きするミザールにレグルスは力を落としたが、着いていくことにしたようだ。

「ハァ〜、分かったよ・・・それじゃあ、姫、アルビレオ。またね。」
「俺も。また今度・・・・」
「はいは〜い。いってらっしゃ〜い!」
「お気を付けて下さいね〜。」

こうして、男性陣を女性陣が見送ったのだが・・・・アルビレオがパタンとドアを閉めると、それまで咲き誇っていた花がウソのようにしぼんだような気がした。

「ハァ〜。ったく、レグルスに続いてミザールまで来ると、なぜだかにぎやかになるわね〜。」
「ウフフフッ・・・はい、そうですね。」
「そういえば・・・レグルスって何の目的でここに来たのかしら?」
「あっ・・・!そういえば、お聞きしませんでしたね。」
「んまぁ、大方スピカちゃん目当てでしょ?何てったって、レグルスとスピカちゃんって言えば超ラブラブだもんね〜!!」
「そ、そうでしょうか?」

スピカは顔を赤くしながら、恥ずかしそうにそう言った。だが、その顔はどことなく嬉しそうだ。

「も〜う、スピカちゃんったら〜!照れ隠ししてるわねっ!?この、この〜。」

アルビレオが腕でウリウリとしてやると、スピカは笑いながら嬉しそうにしていた。完全におのろけモード全開である。
実際、レグルスとスピカのアツアツな恋仲はごく一部では有名な話だ。だが、それ以外にスピカには有名な恋話がある。それは、生まれる前から婚約者がいるという噂だった。
あくまで噂なのだが、どうやら実在するらしい。しかし、その正体は明らかにされていないのである。
スピカとレグルスが付き合いだした頃は、今より婚約者の話は囁かれていなかった。しかし今となっては、その目に見えぬ婚約者がスピカの恋の障害となっている。
レグルスとは何の問題もなく、ラブラブに過ごせているのだが・・・・このような問題さえなければ、もっと幸せなのにと思う。

「・・あの、アルビレオさん。私、1つだけ疑問に思っていることがあるんです。」
「ん?な〜に〜?」
「はい・・・その。レグルスさんは、私に婚約者さんがいるっていう噂のこと・・・ご存知なんでしょうか?」
「えっ!?スピカちゃん、聞いたコトないの!?」
「ウッ・・怖くて、聞けないんです・・・・」

確かにスピカの言うことも最もだ。仮に聞いてしまったら、今のようにレグルスは一緒にいてくれないかもしれないから・・・・

「・・そっか〜、そうだよね〜。んでも、婚約者がいるってコト位は知ってんじゃないの〜?」
「!・・やはり、そうなんでしょうか・・・・」

スピカはハッとした表情をしてそう言ったきり、悲しそうな表情になってしまった。
塞ぎ込んでしまった王女・スピカを元気付けることこそ、お付きのメイドたるアルビレオの役目だ。スピカの両肩に手を置くと、アルビレオはウインクしてみせた。

「あんま気にしなくてイイって!スピカちゅわ〜ん。レグルスとは、今幸せなんでしょ?アイツ位実力と余裕があれば、婚約者なんてきっと覆しちゃうわよ!」
「アルビレオさん・・・・はい、そうですよね!私、これからもレグルスさんと一緒にいて大丈夫ですよね?」
「もっちろんじゃな〜い!アイツに同じコト聞いてみなよ。きっと『愚問だ〜。』の一言で片付けちゃうって!」
「ウフフフッ・・・はい、アルビレオさん。ありがとうございます!元気が出ました。」
「ン!スピカちゃんはやっぱ笑顔だね!んじゃあ、ティータイムはこれにて終了!また後でね〜、スピカちゅわ〜ん!」
「はい、アルビレオさん。ご馳走様でした。」

こうしてスピカとアルビレオは手を振り合って別れたのだが・・・1人ぼっちになって、改めてスピカは考えてしまった。

「・・もしも婚約者さんとレグルスさんを選べって言われたら、私はどうすれば良いのでしょうか・・・・?」

答えは出ない。ただスピカは、神に祈ることしか出来なかった・・・・・・

 

 

翌週のバザーの日。アルビレオやレグルスからのお願いもあり、国王・父親からバザーへ行っても良いという許可を得たスピカは、レグルスとミザールと共に城下町に繰り出した。
スピカにお付きの親衛隊は、王国の紋章を象ったバッジと指輪、そしてサファイア色の青い制服を着る為、一目でそれと判断出来る。
一方のスピカは、城にいる時よりは動きやすいドレスを着ているものの、見るからに優雅な雰囲気を放っている上に2人の美男親衛隊員をお供にしている為、バザーに来ている人々はすぐに王女だと分かり、特別に安い価格でスピカに色々な物を提供してくれた。
危うく人込みでスピカが押しつぶされそうになったり、ミザールが野良猫を発見したことで寄り道などしたものの、色んな買い物も出来たし、何よりレグルスやミザールの新たな一面を発見出来たことで、最高に楽しい1日になった。
今はバザーも終わり、日もすっかり暮れたことで、スピカは今日1日の様々なことを思い出しながら、隣にいるレグルスに話しかけた。

「レグルスさん・・・今、話しかけても大丈夫ですか?」
「ん?どうしたのかな?スピカ。」
「あの。今日は、お付き合い下さいまして本当にありがとうございました。私、とっても楽しくって、自分でお買い物する楽しさに目覚めちゃいました。」
「フフッ・・喜んでもらえて何よりだよ。でも、ちょっと妬けたかな?」
「えっ?」

スピカが驚いてレグルスを見ると、レグルスはスピカを優しく胸の中に閉じ込めた。

「おまえが沢山の民の注目を浴びていたからね。まぁ、仕方ないことだけれど・・・・心の中が煮えくり返っていたよ。おまえを見つめるのは、私だけで十分さ・・・」
「レグルスさん・・・・あの。私も、今日嫉妬してしまって・・・・」
「うん・・・・?ひょっとして、お菓子屋の店主にキスした時かな?」

そう。レグルスはお菓子を無料でくれた「お礼」と称して、お菓子を出していた女性店主の手にキスを送ったのだ。その光景を見て、スピカの心がぐらつかない訳がなかった。

「はい・・・・ですけど、店主さんすごく嬉しそうでしたよね!私も、レグルスさんにそうされた時は、とっても嬉しかったので・・・・」
「フフッ。おまえが望むなら、手や唇以外にもキスするよ?」
「レ、レグルスさん・・・あの。嬉しいですけど、恥ずかしい、です・・・・」

スピカが顔を赤くしてそう言うと、レグルスは余裕の微笑を浮かべてみせた。
どうしてレグルスはこんなに余裕があって格好良く、加えて色っぽいのだろうか。更にレグルスからは、高貴な雰囲気さえ感じ取れる。
初めてレグルスを見た時から普通の人ではないと思っていたが・・・・・そういえば。今日バザーに繰り出した時、1つ気になる出来事があった。
それは、トマトやキャベツなどを置いている野菜屋に足を運んだ時のことだった。

 

「おや?あなた様は確か・・・・」
「ん・・・・?」
「えぇっ!?ちょ、ちょっと待って。あたしの目が正しければ、レグルス様じゃないのかい!?」

野菜屋のおかみさんが、レグルスを一目見てそう言ったのだ。

「えっ?」
「・・レグルス、様・・・・?」
「フフッ・・これは驚いたね。私が姫の親衛隊長だってことを知っているのかな?」
「いや〜、違うよ〜!確か、レグルス様はここから遠く離れた・・・・」
「あぁ、それより聞きたいんだけど、ここの野菜はとても新鮮だね。どこから仕入れたものなのかな?」

 

それからはおかみさんが得意になって商品のことを話し出した為、この話はそれで終了になってしまったのだが・・・・この時、スピカはミザールと見つめ合って互いに「?」マークを浮かべていた。
レグルスにしては、珍しい行動だった。常に女性を重んじるレディーファーストのレグルスが、話の軸を折るようなことをしたのだから。
思い出すとどうしても気になってしまって、スピカは尋ねてみることにした。

「あの、レグルスさん。」
「ん?どうしたんだい?スピカ。」
「あの・・・今日、野菜屋さんに行った時、おかみさんがレグルスさんのこと、『レグルス様』って仰ってましたよね?あれって・・・・」
「あぁ、誰かと勘違いしたんじゃないかい?」
「えっ?」

スピカが驚くと、レグルスはいつもの余裕の微笑を浮かべた。

「おまえが気にすることじゃないさ。それより、スピカ・・・今日はこのまま、おまえを抱いて寝てもいいかな?」
「えぇっ!?レグルスさん、待って下さい!私、まだ心の準備が・・・!」
「フフッ、そうか。それなら、今はまだしないよ。」

レグルスは常にスピカを優しく扱ってくれる。それはレグルスの人柄なのだろうが、こんなに尽くされると嬉しい分、心に穴が空いてしまう。
そう、どうしても考えてしまうのは目に見えぬ婚約者のことだ。レグルスの優しさに触れる度、スピカの心は嬉しくなると同時に悲しくもなった。
スピカが悲しそうな顔をしていると、レグルスがすぐにスピカを気遣った。

「スピカ、どうしたんだい?今にも泣きそうな顔をして・・・・」
「レグルスさん。私・・・レグルスさんのこと、好きです・・・!大好きです・・・・」
「あぁ・・スピカ。私も、おまえが大好きだよ。」
「レグルスさん・・・・!」

レグルスはスピカの顎をクイッと持ち上げて、そのまま唇を重ねた。スピカを悲しみから守るように、優しく、強く・・・・
レグルスと触れ合うことで、スピカの中から悲しみが消えていった。今はただ、無性にレグルスのことを感じていたくて、スピカはレグルスを強く抱き締めた。
それに応えるように、レグルスもスピカを強く抱き締めながら、ドレスをそっと脱がしていった。スピカの頬や項などに一通りキスをしたレグルスは、スピカの露になった胸にそっと唇を落とす。

「あっ・・・!」
「フフッ・・感じるかい?」
「は、はい。感じ、ます・・・ひゃあんっ!」

ドレスのないスピカが身にまとっているのは、下半身の薄い下着のみである。
スピカは可愛いだけではなく、大人としてその体は成熟されており、何とも言えない艶やかさがあった。
そんなスピカを見るだけで、レグルスはいつもドキドキしていた。常に余裕がありそうに見えるレグルスだが、スピカの前ではただの男でしかないのだ。

「・・おまえの肌は、いつも白くて美しいね。こうすると、ほら・・・痕がくっきり残るよ。」

レグルスはそう言って、スピカの胸の谷間に強く吸い付き、「チュッ」と音を立てた。たちまち赤いレグルスの付けた痕が刻まれる。

「あぁっ・・はぁ、ん・・っ・・・!あぁ・・っ・・!」
「スピカ・・・・」

優しく、甘く自分の名前を呼ぶレグルスに、スピカは甘えるばかりだった。レグルスが自分の体のあちこちにキスしてくれる1つ1つが嬉しくて、つい声を上げてしまう。

「あぁん・・・あぁ・・っ・・あぁっ!」
「おまえは私のものだよ?スピカ・・・誰にも、渡さないよ・・・・」

レグルスはそう言うと、スピカの胸にあるピンク色の突起部分にチュッと口付ける。それと同時に、スピカは体をビクンと反応させた。

「あぁっ!ダ、ダメ・・・・!」
「フフッ・・感じすぎるかい?それじゃあ、こっちはどうかな?」

レグルスはそう言って、スピカを覆っている唯一の部分にそっと指を触れた。すぐにスピカのそこは下着を濡らし、レグルスの指をも濡らしてしまう。

「ああぁっ!」
「おや?もう、こんなに濡れてしまっているね・・・・私と、そんなにしたかった?スピカ。」

レグルスがスピカの耳元で甘くそう囁いただけで、スピカはビクンと感じた。レグルスのしてくれること全てが快楽につながっていく。
一体、自分の体はどうしてしまったのだろうか?と思う位、レグルスを感じたくて仕方なかった。スピカは改めてレグルスを抱き締めて、コクコクと頷いた。

「はい、レグルスさん・・・・!」
「フフッ・・嬉しいよ。私も、おまえとしたかった・・・」
「レグルスさん・・・!あぁっ!ああぁっ!う・・ん・・っ・・!はぁんっ!」
「よく濡れてるね・・・もう、入れてもいいかい?」
「はい・・レグルス、さん・・・っ・・!」

何とか気持ち良さに負けじとスピカが返事をすると、レグルスはすぐに自分の服を脱ぎ捨ててスピカの中へと入っていった。
レグルスの大きいそれをまともに感じるだけで、スピカの中に甘い快楽が走る。

「あぁっ・・・レグルス、さん・・・!」
「スピカ・・・っ・・まずいね。おまえへの気持ちが強すぎて、これだけでもう絶えてしまいそうだよ・・・・」
「えぇっ!?レグルスさん!?」
「フフッ、大丈夫。おまえのことを、ちゃんと満たしてからにするよ・・・・」

レグルスはそう言って、スピカの頬に軽くキスをしてから、スピカを抱き締めて腰を動かした。
レグルスが腰を動かすだけで、どうしてこんなにも気持ち良くなってしまうのだろうか?レグルスが速く動く度に、それは強くなっていった。

「ああぁっ!あぁん・・あぁっ!ああぁ・・っ・・!ああぁん!」
「っ・・はぁ・・・スピ、カ・・・」
「あぁっ!ああぁっ・・・う・・ん・・・!ああぁっ!き、気持ち、良いです・・・・!」
「あぁ・・・私も、気持ち良いよ。スピカ・・・・おまえの中が、どんどんきつくなっていって・・・く・・っ・・・」

レグルスも同じ気持ち良さを感じている。それだけでスピカは嬉しくて、天にも舞い上がりそうだ。

「ん・・っ・・!ああぁっ!レグルス、さん・・・・!」
「・・!・・っ・・スピカ・・・・!」
「ああぁっ!やっ・・・そんなに、速くしたら・・・ダメェ・・ッ・・!!ああぁっ!ああぁん!」

レグルスが更に腰を動かす速度を速くしてきたことで、スピカは思わずレグルスを強く抱き締めた。レグルスもまた、スピカを強く抱き締めたことで2人の密着度が更に高まる。

「スピカ・・・はぁ・・っ・・一緒に、イこう。ね・・・?」
「あっ・・ああぁっ!も、もう、私・・・!ああぁっ!ダメッ!ああぁっ・・!イッちゃう・・・!!」
「スピカ・・・・!・・んっ・・・!」
「あぁ・・っ・・!ああぁぁっ!あああぁぁっっ!!」

スピカの中で何かがスパークしたように感じたのと、レグルスが白濁した液を出したのは同時のことだった。
しばらくは互いに呼吸をするだけで精一杯だったが、やがて最初に落ち着いたレグルスが全て処理を終えると、スピカの唇に自分の唇を重ねた。
今度は舌を絡ませないごく普通のキスだったが、それだけでレグルスもスピカも心が満たされた。

「スピカ。愛しているよ・・・・」
「はい。私も・・・レグルスさんのことを、愛しています・・・・」

いつもそう言っても、この気持ちを言葉にするにはまだ足りなかった。だが、きっとこれが一番近い言葉なのだろう。
今日は、本当に思い出深い1日になった。バザーで楽しんだ後は、レグルスにこうして抱き締めてもらえるのだから。
またレグルスとミザールの3人で・・・いや、今度はアルビレオも一緒に4人でバザーに行ってみたいなぁ、とスピカは思いながら、レグルスの腕に抱かれて眠りに就いたのだった。

 

END.


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