「ぬくもり」 ある冬の日の放課後。今日も来るコンクールの為に練習に勤しむ日野香穂子だったが、いつも探している人物がいた。それは・・・・ 「金澤先生・・・今日は、どこにいるのかな?」 香穂子が探している人物。それは、音楽教師の金澤紘人だった。 「えいっ!」 香穂子は出来るだけ気配を殺し、紘人の背後から、思いっきり抱き着いてみた。 「うわっとと・・・日野!?お前さん、何して・・・!」 驚く紘人の顔を見れて、香穂子はすっかり上機嫌だった。紘人はそんな香穂子を見て、嬉しいとも悲しいとも分からない溜め息をついた。 「ハァ~・・・・あのなぁ、日野。あんまり年寄りを脅かすもんじゃないぞ?俺の寿命が2年縮まっただろうが。」 突然香穂子の声のテンションが落ちたことで、紘人はどうしたのかと思わず香穂子を見つめた。香穂子は紘人に顔を見られたくないようで、横を向いたものの、抱き締めている腕に少しだけ力を込めた。 「・・もう少しだけ、こうしていさせて下さい。先生とこうしていると、温かくて、ホッと出来るので・・・・」 紘人が小さく溜め息をついたのを、香穂子は聞き漏らさなかった。2人しかいないこの屋上で、聞き漏らす訳がない。距離もこんなに近いのだし・・・・ 「・・いや、悪い意味での溜め息じゃない・・・・お前とこうしてると、俺も温かくて安心出来る。」 香穂子が笑顔を見せて更に紘人にくっつくと、紘人は香穂子の手に自分の手を重ねながらも、恥ずかしさを紛らわすかのように振る舞った。 「あー、もう。分かったから、そんなにくっつかんでくれ。」 香穂子が驚いて力を抜いたのは束の間のことだったものの、その一瞬を見逃さず、紘人は香穂子を抱き寄せたかと思うと、その薄く開かれた唇に自らの唇を重ねた。 「!っ・・・せん、せ・・・」 香穂子にそう言われて、嬉しくない訳がない。それは自分だって、香穂子の傍にいたいと思うのだから。 「毎日練習、練習で疲れてるんじゃないか?日野。まぁ・・今日位、ゆっくりしろや。」 少し肌寒い空気が2人の間を流れるが、こうしてくっついていると、そんな寒さなど微塵も感じない。 END. |
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