chocolate kiss」

 

時計が、もう少しで19時になろうとしてる。早いなぁ〜、もうそんな時間になっちゃったんだね〜・・・・
あたしは1人、ボーッとしながらバレンタインチョコを抱えて、曽我部先生のことを待っていた。
因みに、今どこにいるのかと言うと〜、曽我部先生のお家のリビング!!なんだなぁ〜、これが。でも曽我部先生はいないよ?
じゃあ、どうしてあたしが曽我部先生の家にいるのかと言うと、答えは簡単!!ジャジャ〜ン!!この合鍵があるからなので〜っす!!
この合鍵ね、去年のクリスマスの時に、曽我部先生からもらったプレゼントなんだ〜。『いつでも家に遊びにおいで!』って頭撫でてくれたんだよね〜、エヘヘヘヘッ・・・
それ以来、あたしはこうして時々曽我部先生の家に勝手にお邪魔している。それでも、曽我部先生はそんなに驚いてないみたい。んまぁ、その為にあたしに合鍵くれたんだろうけど、もうちょっと驚いてくれたってイイじゃんね〜。
だって、もしあたしが曽我部先生の立場だったら、いくら合鍵渡したとは言っても、部外者が家の中にいるんだから驚くよ〜!!それとも、曽我部先生ってそーゆーコトに対して疎いのかな?まぁ、いいや!
そうそう、今日はバレンタインデーなんだよ!!1年前、高熱で倒れて学校休んだ時とは対照的に、今年のあたしはピンピンしてた。こうして、曽我部先生にプレゼントするチョコもちゃんと作ったしね・・・・エヘヘヘヘッ。
曽我部先生の為に作ったバレンタインチョコは、基本中の基本のハート型チョコ。中位の大きさのハート型チョコを3つ、箱詰めにしたんだ〜。
お約束的すぎる手作りチョコかもしれないけれど、曽我部先生の為に頑張って作ったよ!味は問題ない筈だし、テンパリングも頑張ったから、見た目も良い筈・・・後はただ、曽我部先生が受け取ってくれますように!!
あたしがそう祈った、その時だった。ガタガタって玄関の方から音がしたのは・・・・曽我部先生が帰ってきたんだ!
チョコの箱をクッションの下に隠してから、待ちきれずに玄関の方に駆け出すと、曽我部先生が笑顔であたしを見つめてくれた。

「やぁやぁ、ふーせーく〜ん!!ただいま。」
「お帰りなさい、せんせっ!待ってました!!」

あたしはそのまま曽我部先生に抱き着いた。ウゥッ、先生に会いたかったよ〜!!先生とこうして一緒にいたかったよ〜!!
帰ってきたばっかりで疲れてる筈なのに、曽我部先生はそんなコトを一言も言わずに、抱き着いたあたしの背中を抱き締めてくれた。

「嬉しいなぁ〜!今日も来てくれたんだね、Ms.ふーせー君!期待してもいいの?」
「えっ?」
「いやいやっ!!何でもないのだよ〜、ふーせー君!!それより、寛いでたんでしょ?冷蔵庫にポカリ入れておいたんだけど、飲んでくれてた?」
「えぇっ!?冷蔵庫なんて漁ったら、泥棒みたいじゃないですか〜!!」
「そうかい?でもね、ふーせー君!君には色々な物を盗まれてしまったから、今更冷蔵庫の物を盗られても私はちっとも後悔しないのだよ〜、ウム!!」
「ダダ、ダメですってば〜、先生!後悔して下さい!!・・・ところで、せんせぇ?あたし、先生の私物って盗んだコトないと思うんですけど・・・」
「ん?あぁ〜・・・・ホント、ふーせー君には参っちゃうよ。私の一番大事な物を盗んでくれたというのに・・・」

曽我部先生は苦笑してそう言った。えぇ〜?何なのさ〜、先生の一番大事な物って〜。思い付かないよ〜!!

「何ですか〜?せんせぇ〜。マンションの合鍵は先生がくれた物ですし・・・分からないです。」
「ウ、ウム。まぁ、いいさ!それより、ふーせー君。livingでゆっくりしないかい?君の為にポカリいれるから!」
「あ・・はい、せんせぇ。ありがとうございます・・・」

曽我部先生とあたしは自然と離れた。すると曽我部先生はそれまで着ていたロングコートを脱いでから、スーツも脱いでネクタイも取っていた。わぁ〜、ワイシャツ姿の曽我部先生がまた格好良いよ〜!!
すぐに先生はあたしの分のポカリと、先生用のコーヒーを淹れて持って来た。ウゥッ、本当はこーゆーのはあたしがしなきゃダメかな〜?でも、曽我部先生の家で?・・・あっ、でも疲れてる曽我部先生の為にお茶の一杯も淹れておかないなんて、あたし最悪じゃん!!

「はい、ふーせー君!お待たせ〜。」
「あ・・先生。すみません・・・」
「ん?どうして謝るの?ふーせー君。」
「だって、あたし。先生が疲れてるの知ってるのに、用意の手伝いもせずに・・・」
「そんなことないよ、ふーせー君!ここは私の家で君はお客さんなんだから、気にしないで!それに、ふーせー君。君がここで待っててくれたということは・・・・その、何だ。つまり・・・」

あ、先生の顔ちょっとだけ赤い。ウゥッ、何か先生が顔赤くしてると、あたしも恥ずかしくなってきちゃう・・・・さっきあたしがクッションに隠したチョコは、あたしのすぐ後ろにあるんだけど・・・・

「・・せんせ。今日、バレンタインですよね・・・」
「ウ、ウム!そうなのだよ〜・・・・ごめんね、ふーせー君。私がこんな風に取り乱したら、君も混乱しちゃうかもしれないけれど・・・初めて、なんだ。valentine dayに、好きな女性と過ごすのって・・・」
「ええぇぇっ!?ウッソ〜!!本当ですか〜!?」

だってだって、先生はオジさんの一歩手前だよ!?それなのに『初めて』って・・・曽我部先生、明らかにモテモテなのに、信じられない・・・・!!
それに、曽我部先生の奇麗な英語発音がこんな所でも聞けるのがちょっと嬉しい。あたし、やっぱり先生大好きなんだなぁ〜って自覚する瞬間・・・

「本当さ!valentine dayは、こんなにも心が弾むものなのだね・・・・君がいてくれるだけで嬉しいよ、ふーせー君。来てくれてありがとう・・・・」
「そっ、そんな、せんせっ!あの、これ!せんせぇの為に作ってきました・・・・」

そりゃあ、あたしだって先生と一緒にいるだけで嬉しくなっちゃうけどさ!やっぱ、チョコを欠かしちゃダメじゃん?あたしは渡すなら今しかないと思って、クッションに隠してたチョコを出して曽我部先生の前に差し出した。
先生は驚いてたけど、すぐに笑顔を浮かべて、あたしのチョコを受け取ってくれたよ!

「ふーせー君・・・ありがとう、ありがとう!!君の手作りチョコだなんて、最高に嬉しいよ!あぁ・・ふーせー君、もう我慢出来ない。大好きだ・・・!!」
「わぁっ!せ、せんせぇ!?」

あ、あたし、先生がこんなにはしゃいでるの初めて見たよ!!先生でも抱き着くことってあるんだね〜・・・
いつでも曽我部先生は格好良くって、優しくって、とっても大人だけど・・・ちょっとだけ、曽我部先生を子供っぽく感じちゃった。先生って、こんな一面もあったんだなぁ〜・・・・

「あぁっ、ごめん!!驚かせちゃったね、ふーせー君!全く、私も大人気ないね・・・・でも、大好きな子からもらえるchocolateが、こんなに嬉しいものだと思わなくて・・・」
「そ、そうなんですか・・・・でも、先生ってとってもモテそうですけど・・・」
「うぅ〜ん・・・・悲しいことにね、私は今まで好きな子からはチョコがもらえなかったんだ・・・・その代わり、別の子からチョコをもらってばかりで・・・男友達には『贅沢な悩みだ〜』なんて、よく怒られてたよ。」

アハハハハハ。確かに、それは贅沢な悩みかも・・・・
でも。そうすると曽我部先生って、モテモテだったけど、好きな人には振り向いてもらえなかったってコト?うわ〜、それはそれで大変かも・・・・

「そうですね・・・でも、せんせ?今まであたし以外の人と付き合ったコトないとか言いませんよね〜?」
「ウム、そうだね〜。」
「じゃあ、その・・前の彼女さんとかからは、バレンタインにチョコもらえなかったんですか?」

ウゥッ、何か胸がチクチクする〜。あたし、超嫉妬してる・・・・曽我部先生の、昔の彼女さんたちに。
今まで怖くて聞いたコトなかったけど、やっぱり曽我部先生はモテモテだから、あたし以外にも付き合ったコトある人が沢山いそう。でもそうだとしたら、どうしてバレンタインにチョコもらえなかったのか気になるよね〜・・・・

「そうだね〜・・・・丁度、この時期は1人の時が多くて。たまたまなんだろうけどね・・・・いつも、年が明けてからフラれてたのだよ〜。」
「ええぇぇっ!?先生がフラれちゃうの〜!?」
「そうだとも!!christmasに告白されて付き合うだろう?その後一緒にいて、初詣とかに行った後、外見と中身が違いすぎて、gapに耐えられないとか、何とか・・・」

うわ〜っ、そっか〜・・・・あたしは元々先生の性格や言動をよく分かってたからそんなコトなかったけど、確かに外見だけ見たら、曽我部先生ってオーバーリアクションとかするようには見えないもんね・・・・
きっと先生は格好良いから、性格もクールな俳優さんっぽい想像をしちゃうんだろうなぁ〜。でも、あたしは先生の明るくて元気で、ちょっと面白くて優しい所が大好きなんだよ?
実を言うと、あたしも最初は先生のルックスが格好良くって好きになったんだけど、先生を好きになった一番の理由は、あたしが悩んだ時や落ち込んだ時に、優しく励ましてくれたからなんだ・・・・
勉強で落ちこぼれてても、曽我部先生は常にフォローしてくれて、部活してるあたしのコトも考えてくれたし・・・・何でそーゆー曽我部先生の良い所に、皆気付かないのかな〜?
あ、でも気付いてたら気付いてたで、あたしが今こうして曽我部先生と一緒にいられないからいっか!

「そうなんですか〜・・・・でも、あたしはそんな先生が大好きです。だって、先生だけだもん!あたしのコト、ちゃんと理解してくれるのって・・・」
「ふーせー君・・・ありがとう。私も、君が大好きだよ・・・」

やっぱり、先生の腕の中って最高に居心地が良いなぁ〜。温かいし、先生のコトずっと感じてられるもんね・・・・
しばらく、あたしと先生は何も言わずに抱き合ってたんだけど・・・・ふと先生と目が合ったことで、一緒に笑い合った。それから、先生とキス・・・・ウゥッ。あたし、幸せすぎてどうしよう・・・・
こうして、先生と抱き合ってキスしてる時って、すっごくドキドキする。先生の唇、大きくて優しくて・・・もっと、先生とこうしてたいよ・・・・
先生とゆっくり唇を離してから、あたしと先生はまた見つめ合った。ウゥッ、曽我部先生格好良すぎ。あたし、何も考えられなくなっちゃうよ〜・・・

「せんせ・・・」
「ふーせー君・・・本当にありがとう。今日は、最高のvalentine dayだね・・・」
「はい、せんせ・・・・ところで、せんせぇ?チョコ、食べてくれないの?」
「えっ?あぁっ、ごめんね!ふーせー君!!そうだよね、すぐに食べないといけないよね!!開けてもいい?」
「はい、どうぞ!」

それからすぐに、曽我部先生は丁寧に箱を開けてくれた。そして中には、私が頑張って作ったハート型の3つのチョコ・・・先生、これ見てどう思うかな〜?

「わぁっ・・greatだね!ふーせー君。食べてもいい?」
「はい、是非!・・・どう、ですか?」

曽我部先生がチョコを1つ口にしたんだけど・・・どうかな?先生、『美味しい』って言ってくれるかな?
気になってずっと曽我部先生を見つめてると、曽我部先生は笑顔であたしの頭を優しく撫でてくれた。

「ウム!非常に美味しいよ、ふーせー君!!程よく甘くて、チョコの固さも丁度良い!!もっと色んな人に君のことを自慢したいね!」
「せっ、せんせぇ〜、そんな。恥ずかしいです・・・」
「何を言う!ふーせー君!!私も、ずっと君の傍にいられるように、もっと努力しないとね・・・」
「えぇっ!?先生が努力したら、あたしどうすればイイんですか〜!!もっと頑張らないと・・・」
「いやいや、君はそのままで大丈夫さ!!・・・ねぇ、ふーせー君。私がどうして君を好きになったか、まだ言ってなかったよね。」

あ・・そういえば。先生、あたしがそのことを聞いても、いつも上手くごまかしてたような気がする・・・・でも、どうして今になってそんなこと・・・

「はい。あの、教えてくれるんですか?」
「ウム!もう、答えは出ているのだけどね・・・・修学旅行の時に言ったよね?私は一生懸命に頑張る、真っ直ぐな女性が好きだと・・・」
「はい・・・・」
「・・君は、正にそうだよね。部活や勉強はもちろん、こういうお菓子作りにも一生懸命で・・・・そんな君が悩んだ時や、大きな壁に直面した時、すぐに私に相談してくれたことが嬉しかった・・・・『悔しい』『出来ない』って言いながらも真面目に頑張る君を見て、心から応援したいと思ったよ。そんな君を見ている内に、恋に変わっていった・・・・ねぇ、ふーせー君。私は今まで、君の役に立ってた?君の為に、少しでも道を切り開いてあげられたかな?」
「先生・・・はい、もちろんですよ!先生が相談に乗って、あたしのコト一杯励ましてくれたから・・・だからあたし、頑張れたんです!」
「そうか・・・ありがとう、ふーせー君!君の役に立てて良かった・・・」
「そんな、先生!あたしの方こそ、先生にお世話になりっぱなしですみません!!こーゆーバレンタインの時にしか返せないですけど、それでもあたし、先生が大好きです!」

あたし、嬉しすぎ!!先生が、今までそんなコト思いながらあたしのコト見ててくれたんだなぁって思うと、すっごく感動する。どうしよう・・・嬉しすぎて、何も考えられないよ〜!!

「ふーせー君・・・ありがとう。このまま、君を放したくない・・・・!」
「!せんせぇ・・・・」

先生は、いつになく強くあたしのことを抱き締めてくれた。どうしよう、曽我部先生にこんなに強く抱き締められたら、何だかドキドキしちゃうよ〜!!
抱き合いながら先生とあたしは見つめ合った。ウゥッ、先生ってばホントに格好良すぎ!!その優しい笑顔は反則だよ〜!!

「・・・ねぇ、ふーせー君。もう1つは私が食べるけど、最後のチョコは2人で一緒に食べないかい?」
「はい、せんせ!チョコ切りますか?」
「いやいや!heartを切るなんて、そんなことは出来ないのだよ!!だから、こう、だね・・・・」

先生はそう言うと、チョコを口に入れてから、クイクイッとあたしのことを手招きしてきた。
あたしが不思議に思って曽我部先生の方に顔を近付けた途端、曽我部先生の柔らかい唇があたしの唇に触れてきて・・・・更に、少しだけ開いてたあたしの口の中に、甘い物が流れ込んできたんだけど・・・わぁっ!これ、あたしが作ったチョコだよね!?先生と一緒に、食べてる・・・!?
キャーーーッ!!ま、待って〜!!どど、どうしよう!!チョコが甘すぎて、普段のキスよりドキドキしちゃう!!

「ん・・ん〜・・・っ・・ん・・!」
「・・っ・・ん・・・」

ウゥッ。あたし、先生の唇や舌をすごく感じちゃってる。それに、チョコが!!チョコが甘すぎて、脳内がとろけちゃいそうだよ〜!!

「ん〜・・っ・・!・・ん・・・!」
「ふーせー君・・・そんな声を出したら、私が我慢出来ないのだけど・・・いいの?」
「ウゥッ。誰のせいですか、誰の!!」
「ワハハハハハ〜ッ!!真っ赤だね、ふーせー君!よしよし。とっても可愛いよ・・・」
「先生、ごまかなさいで下さい!!ウゥッ、まだ口の中が甘いよ〜・・・」
「ワハハハハ〜。君のchocolateは本当に甘くて美味しいね!ふーせー君と一緒に食べると、尚更だ。」
「もう、先生ったら・・・」
「・・そんな顔をしないで、ふーせー君!私は、君と一緒に食べることが出来て嬉しかったよ。何より、君が作ってくれたチョコだからね・・・こんなに心が癒されるチョコは、ふーせー君以外に作れないさ!」
「せんせぇ・・・あの、ありがとうございます。せんせぇに気に入ってもらえて、良かったです!」
「当然さ、ふーせー君!それじゃあ、もう1回kissしようか?」
「はい、せんせ・・・」

まだチョコの甘みが残った状態で、先生とキス。ウゥッ、先生とキスすると、余計に甘く感じちゃうよ〜!!
あたし、すごくドキドキしてる。チョコが甘いから?うぅん、それだけじゃない。バレンタインデーに、大好きな先生にちゃんとチョコを渡せて、キスも出来たから・・・・
去年のバレンタインは最悪だったけど、今年は最高にハッピーになって良かった!あたしはこれからも、ずっと曽我部先生と一緒だよ?ずっと、大好き。曽我部先生・・・・・

 

 

END.


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