不眠症




「ご主人…」
「なんだ? スープー」




誰の目にも明らか。



本人は痛みのせいだと、
左腕をグルグル回しながら笑うけれど。
調合された痛み止めが効かない筈がない。


だから。


もう一週間もマトモに寝てないのが、
痛みのせいだけじゃない事くらい。




誰の目にも明らか。












「眠らなくても構いませんから」
だから休んでくださいと。
自他共に認める天才道士。




「天変地異の前触れだ」
だから休めと。
気取らない若い西の王。






けど。






「心配せんでも、ここぞという時にな」
怠けさせてもらうからと。
子供のなりをした最強の軍師。








何てことないように。
何時ものように。
簡略顔でケタケタと笑うから。






ハリセンを常備してる筈の宰相の手に。












桃。












さすがに訝しんで。
見ていた周りの者まで一歩引いて。






「…倒れられては困ります」
いつもの厳しい顔のまま。
不服の中に心配する色が伺えて。




「…堂々と食えるのう」
軍師は、ほんの少しの苦笑を滲ませる。
























休憩時間。
自然と食堂に集まった者達は、
あーだこーだと頭を捻った。



「どうしたもんさね」
「いっそ殴るか?」
「気絶させんのかい…」
「いや、待ってくれ」
「楊ゼンさん…アータ意外と常識あ…」

「不本意だけど、このクソ忙しい時にあの頭脳を失う訳にはいかない」

やるならボディで。

彼の右腕が至極真面目な顔でそう言うもんだから。
提案した王ですら、引き攣り笑い。

「でも、楊ゼンの作った睡眠薬が効かないなんてねえ」
すっかり馴染んでる元工作員。
尤もな所を口に出す。
「ちゃんと飲ませてんのか?」
「ええ、僕の目の前で」
痛み止めの成分もその中に含ませてあるのだから。




う〜ん、とそれぞれ腕組み。
いい策はないものか。






―――と。








「無駄だね」








あっさりした結論。
誰だ、と皆一斉に振り向けば。




「太乙真人さま!」




いつからそこにいたのか、
窓枠に腰掛けてお茶を啜る十二仙の一人。








「太公望に睡眠薬は効かないよ」








のんびりと言われ。
どうしてだ、と詰め寄らない筈もなく。
















「健忘起すくらいの強い薬じゃないと」




彼が上山した頃からの付き合い。
痛み止めに混ぜられるようなモノでは。




「…もう効かないよ」
















『もう』




















それがどういう意味を持っているのかなんて。


















判りたくなかったと、後に誰かが呟いた。














K.K.さまのお誕生日に。ええ、亭主の誕生日ではなくK.K.さまのお誕生日に、 勿体無くも頂戴しましたお品です。
K.K.さまのお宅には静かに綺麗な師叔の温もりが真っ直ぐ感じられるお話も沢山vですが、
いちばん頂きたかったのは敢えて搦め手の感もあるこのお話でした。どうしても、好きで。
ほのかに桃の香りがするようで。
タブレットの睡眠薬の向こうに。

K.K.さま、ありがとうございました。 Happy Birthday & Sleep Soundly.
K.K.さまのサイト 無彩色国家 
photo by minosさま・PSYさま

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