▽姫初め▽
「ご主人様、明けましておめでとうございます」
「似合うな、着物…」
真紅に蝶やら御所車といったレトロな柄の散る振袖は、確かにリュカの色白の肌によく合っていた。
「ありがとうございます」
はにかむ笑顔も愛らしく、ゲイルは思わずといった感じでその細い身体に抱きついた。
「ひゃ…っ!ご主人さま?!」
「赤はお前によく似合う…が…」
膝の辺りから手を入れて帯で抑えられた裾を割る。
「や…んっ」
そのまま、教えた通り、下着を身につけていないリュカの一番弱い所に指をやれば途端もれる甘い声。
ぎゅうとしがみついたリュカから立ち上る、ふわりと鼻腔をくすぐる甘い匂い。ゲイルが誕生日に贈った香水の香り。
「お前に一番似合うのは白だ」
腕の中囲い込んだリュカの耳にそう囁けば、潤んだ目がゲイルを見上げてきた。
「げいる…さま…」
「もう濡らしているのか?」
くい、と動かせば、さっきよりも格段に滑るようになった指に合わせるようにゆらめく腰。
「あ…申し訳ありませんっ」
ゲイルの胸に手をついて離れようとするのを許さず、主人の立場を利用してやろうと、
「なら…そうだな、自分で脱ぐんだ」
と、命令した。
「…はい…」
脱げ、と言った瞬間ぴくりと震えたリュカが可愛くてたまらない。脱がすのも楽しいが、本人にさせるのもまた楽しい。こういったことにあまり積極的でないリュカだからこそ、こうして羞恥を煽るのも一興なのだ。
そっとゲイルから離れて立ち上がったリュカは、おずおずと帯に手をかけ、重い振袖を脱ぎ、長襦袢となった。
赤く色づいた乳房の頂点が透けて見え、それだけでも十分に良い眺めだ。
だが、それは口に出さず、躊躇しているカミューにそうした、と目線で問う。
俯いたリュカだが、決心したように最後の襦袢を脱ぎ落とした。
「可愛いな、リュカ…」
手招きすれば素直にやってくるカミューを立たせたまま、内ももの柔らかいところを舐め上げる。
「んっ…」
肝心のところには触れずに弾力のある腿の肉だけを甘噛みしていると、ガクガクと足が震え出した。
「やぁっ…」
「どうした?」
確信犯の笑みを浮かべて馬鹿丁寧に聞けば、リュカがへたりこむようにしてゲイルに縋りついてきた。
「意地悪っ…」
半泣きのリュカを宥めるために、身体に当たる二つの膨らみを悪戯するのを後回しにして、すべらかなさわり心地の背を辿り、背骨の消失点を思わせぶりにさらに辿って、さっき入口しか触れなかったリュカの秘所にたどり着く。
「んっ」
探るように人差し指をあてがえばそこはくちゃりと濡れた音と共に何の抵抗も無く飲み込んだ。
「どうだ?」
「あっ…ゲイル…っ」
首に縋りついて膝を立て、獣の恰好で腰を突き出すその眺めはなんとも卑猥だ。そんな恰好でキスをねだられれば答えるしかない。
舌も呼吸も奪い合うキスを交わしながら、物欲しげに蠢くそこを抜き差しする速度を速める。
「…っっ」
絡めた舌の強張りぐあいで、リュカが軽く達したのが解る。窒息しそうな長さ拘束していた唇をようやく離し、
空いている方の手で手の中におさまる胸をもみしだく。
「あっ…ああっ…ゲイルっ」
「俺より先にイくのは反則だろう?」
「や…ぁ…」
お仕置がわりに中を探る指を一気にに二本増やせば、さらに甘い声があがる。
「もう、溢れてる…。淫乱だな、お前」
「いやっ…言わな…で…っ」
かぶりを振るリュカだが、そうして言葉で煽れば元から高い感度が過敏といっていいほどに高まる。
鎖骨を指でたどるだけでもう、達する寸前の恍惚とした表情になるくらいだ。
「カミュー…」
ぞくりと腰に響くゲイルの声が要求するものを悟り、リュカは男の前立てをくつろげて何もしなくても臨戦態勢の分身に手を添えた。
「違う…」
こっち、と指が唇をたどり、舌をなでる。
「は…い…」
たいして大きくないリュカの口が標準よりかなり大きいゲイルのものを飲み込んでいく様は興奮以外の何物でもなく、余計にゲイル自身を成長させ、リュカを圧迫することになる。
だが、喉の粘膜にこすれることすら快感になるのか、リュカはそれをしゃぶることをやめない。
だが、流石に苦しくなったのか、口の届かないところには舌を這わせ、猫がミルクを飲むときのようにぴちゃぴちゃと音を立てて舐めた。
「もういい。…おいで、リュカ」
顎に手をかけて止めさせると、不承不承といった感じで行為をやめた。
ゲイルが体勢を変えないのを見、リュカは素直にゲイルに跨った。ゲイルの足の外側に足を置き、ゆっくりと腰を落としてくる。
快感に歓喜の雫をこぼす蕾の様子までじっくりと見ていられるこの体位がゲイルは好きだった。
リュカの身体を支えながら、己が欲望が柔らかく熱い内壁に徐々に包み込まれていく。
「ひあ…っ…大きっ…」
自重のせいでいつも以上にゲイルを飲み込んだリュカが喘ぐ。落ち着くのを待って、
「動くぞ…」
といえば、否定など返ってくるはずもなく…。
「あんっ…っ…ああっ」
リュカが気絶するまで―もとい、ゲイルが満足するまで―思う存分その白い身体が隠し持つ熱い秘肉を貪った。
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