+日比谷流切り返し+


「あの脇役の女の子、めちゃめちゃよかったッス! 舞台は主役だけじゃないんスね」

女 の 子・・・。
他の異性を誉める日比谷に、
瞬間、彼女の胸に軽い嫉妬が駆け抜けた。

「ふ、ふぅん。可愛かったもんねぇ〜?」
嫉妬は、言葉に刺を含ませた。

(・・・あ。やだ、私、なんか嫌な言い方・・・)

思わずあせる
しかし日比谷は、

「ですよね!?へへっ、ジブン、美人を見つけるの得意なんスよー。
だから先輩と会ったんス!」

「へ!?」

予想外の返答に思わず、ずっこけそうになる。

「あ、いえその……先輩と会ったのは・・・う、運命ってやつじゃないかって、
最近そう・・思うんス」

「・・・・・・」

う、うんめいって……ほ、ほんともう、この子は…

「・・・せ、先輩?」

「・・・ばか」



…渉くんはいつもまっすぐで、飾り気のない言葉をくれる。
例えば、さっきの私の嫉妬心からの軽い嫌味も、
にこにこしながら無意識にひょいとかわして、
予想外の言葉を、気持ちをくれる。

……私きっと、一生渉くんにはかなわないな。



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ほんとひびやんにはかないません。
カラオケでの

「どうッスか、今の曲? ジブン、少し自信があるんス」
「まだまだ、練習が必要だね」
「ハイ、わかりました!」
「ホントにわかってる?」
「先輩との付き合い、長いッスから。
満足したら、それ以上の成果はない……ってことですよね?」

ってセリフとか、スキーでの

「夜子さん! ジブンのすべり、どうッスか!?」
「もう少し練習してから来ようね」
「あ、また一緒に来てくれるんスか!? 」

とか、そう来るか!って感じの答えが返ってきてギャフン(死語)とさせられます。
そして特にジェットコースターの

「先輩。怖かったけど、風が気持ち良かったッスね」
「風の気持ちなんて知らないくせに!」(←なんじゃそりゃ・笑)
「たしかに風の気持ちは誰にもわからないッス。でも想像することはできます!
目を閉じてみて下さい。聞こえるような気がしないッスか? 風の声が」
「えーと、ねえ、日比谷くん?」
「聞こえたんスね。……よかった。
……なんの話でしたっけ?」

この会話が大好きです。あんたら面白すぎるよ…。


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