プロローグ
運命の日から、三年前。梅雨の時期、人気のない公園。そこに『奴ら』がいた。
「ついてないなぁ。今日に限って雨か。天気予報より嘘つきなものは、この時代に現存してないわね。」
『奴ら』の親玉の女性が嘆く。その女性は宇宙服のようなものを身につけており、場に合わぬ、いわば滑稽かと思わ
れる服装とはそぐわない美しい顔が、ヘルメットを覗けば窺える。
「その通りです。マスター。今日も一段とお綺麗で。」
『奴ら』の隊員の短身の男が言う。その男も宇宙服らしきものを身につけていて、場に合わぬ、いわば滑稽かと思わ
れる服装と同じように説明のしようのない、ミラクルな顔立ちがヘルメットを覗けば窺える。
「まあ、いいわ。作戦決行よ。少々苦戦を強いるかもしれないけど、頑張るのよ。お前達!」
女性が威勢良く右腕を天に掲げたと同時に、闇と同化していた短身の男の集団が、静かに姿を現した。その集団も
やはり、宇宙服らしきものを身につけていて、顔立ちは…説明不要だ。
「行けっ!我らの未来のためにっ!」
「オオッ!」
集団は四方八方に飛び散っていった。そして、女性も不敵な笑顔を浮かべ、闇に溶けていった。
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