直前




都会の隅に黒い花が咲いていた。
「また来たんだね。ネコさん。」
隣には痛々しい姿の猫が立っていた。
「うん。ごめんね。」
「あ、嫌なわけじゃないよ。来てくれて、とても嬉しいよ。」
「そう…?」
猫な俯いて、赤くなった。
「今日は何のために来たんだい?」
「今日はね、面白い話を聞かせようと思って。」
「へぇ。聞かせてくれよ。」
「うん。」
猫は、
「男の人と、女の人の悲しい話だよ。」
語り出した。






あるところにね。ある男の人と女の人が一緒に暮らしてたんだ。
しかも、もの凄く二人は仲が良くて、結婚の話もしてたんだって。
だけど、ある時亀裂が生じた。
彼の方がね。他の女の人と一緒にいるところを、彼女が見ちゃったんだ。
それは、浮気とかじゃないらしいんだけど、彼女はそんなこと分からないから、当然怒ったんだ。
いつしか、二人は何も話さなくなったんだ。暮らす上で、必要以上。
彼女は素直に謝ってくれるのを待ってたらしいんだ。
けど、浮気なんかしてない彼は、謝ろうとしなかったんだ。
もう、二人は一緒にいても楽しくともなんともなかったみたい。
いつの日か、彼女が他の男の人と一緒にいるところを彼は見ちゃったんだ。
もちろん、「正真正銘の浮気」ってやつ。
けども、彼は気付かないフリした。もう、諦めてたんだ。
それに、『アイツのあんな笑顔見ちゃったら、しょうがないよ。』って。
それから、二人はいつも通りに暮らしてたんだって。
ある時、彼女は彼を喫茶店に呼び出したんだ。
『久しぶりに、デートしよう』ってね。
彼は何も言わず、行った。他の女の人との約束があったんだけど。
そのとき、雨が降りそうだから、彼は傘を持ってったんだ。
彼女は『昔みたいに仲良く話そう。』って言った。
彼もそれに賛成した。
二人は、本当に仲良く会話してた。昔みたいに。
でも、そんな時間は短かったけど。
『別れよう』って彼女が切り出した。
彼は『うん。』って一言だけ言って、同意した。彼も、『それ』を待ってたみたい。
二人は店を出て、『じゃあね。』って言って背中を向けて、別れた。
彼は、それから公園に行ったんだ。
ベンチに座って、しばらくは、はしゃぐ子供達を見てた。
けど、その後泣き崩れたんだ。
『まだ、僕はアイツの事好きだった、別れたくなかったんだ。』って。



「へぇ、かわいそうだね。」
黒い花が言う。
「うん。」
「あ、彼女はどうしたの?」
「彼女はね…。」



彼女はそれから、レストランに行ったんだ。
店内には、男の人が待ってた。
そして、彼女は楽しそうに食事したんだって。
彼女の薬指には、指輪がついてた。
彼は気づいてたんだ。






「今日は面白い話をありがとう。」
「どういたしまして。」
「じゃあね。」
「うん。」
猫は去っていった。
黒い花はいつまでも、猫を見送っていた。



「あまりに、早く。アイツが遠くに見えた。」






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