気持ちのよい風が吹く。
冷たくも暖かくもない風が頬を撫でていく。
この場所が好きだった。
何も考えたくない時、落ち込んだ時に、
川の手前のこの美しい原っぱに寝そべるだけで楽になれた。
「はぁ・・・」
あたしは息をついてそこにごろんと寝そべった。
「ため息吐くと、幸せが逃げますぜ」
声に反応して起き上がってみてみると、そこには貴方がいた。
温かさをくれた
「沖田さん。また来たんですか。人のお気に入りの場所に」
「そんな言い方しねェでくだせェ。俺もゆっくりしたい時くらいあるんでィ」
「いつも、ゆっくりしてるじゃないですか」
沖田は最後の言葉に少しニヤリとして、の隣に腰掛けた。
「そうそうゆっくりなんて出来ませんぜ。俺ァ、病で毎日苦しんでるんでさァ」
「病?…沖田さんでも病気になるんですか」
「ひでェ言い草。最近ココんトコがピキーンッてするんでさァ」
そう言って沖田は自分の胸をとんとんと指差した。
は心配そうに沖田の顔を覗き込んだ。
「大丈夫、なんですか?」
「大丈夫じゃない。恋の病で死にそう」
「……………あっ、そーですか」
がさらりと反応すると沖田はニタリと笑う。
「そんな反応して良いんですかィ?」
「…駄目なんですか?」
沖田は再び、何とも言えない笑みを漏らす。
「アンタが構わないなら、俺ァ別に良いんですぜ?…じゃぁ俺はちょっくら寝させてもらいますんで」
「どうぞ………って何してるんですか!!!」
は膝に迫ってくる沖田の頭をぐいぐいと押し戻した。
「いいじゃないですかィ、減るもんじゃないし。俺に冷たくした罰でさァ」
沖田はそのまま強引にの膝に頭を乗せた。
「どういう理由ですかそれェ!?もう…!少しだけですからね」
そう言って貸してあげた膝。
アイマスクをしないで寝る貴方なんて初めて見たけど、
寝顔が可愛くてつい見惚れてしまった事なんて秘密。
まぁ、貴方の事だから気付いていたのかもしれないけど。