スキだって言ってくれるのは嬉しい。
でも、眉一つ動かさずにそんなこと言われるのってなんかちょっと。
……ムカつく?
告白
気まぐれでふらりとあたしの家にやってきて、
特に何をするでもなく、
そしてまたふらりと出て行く、その男は。
全くと言っていいほど可愛げが無い。
「ねェ、総悟。何しにウチに来たの?」
アイマスクをしてソファに横になっている総悟に、あたしは声を掛けた。
「さんに会いに来たんでさァ」
口だけをむにゃむにゃ動かしながらそう答える総悟。
「じゃぁ何でひたすら寝てるの」
「さんからにじみ出るエキスが心地良くて、眠くなるんでィ」
「イヤ、そんなもん出てないから」
あたしはそう言って総悟の頬をきゅっと抓った。
「ひててて」
相変わらず眠そうに反応をする総悟。
「総悟は、あたしの事どう思ってるの?」
総悟は一瞬動きを止め、そして言った。
「好きですぜ?」
それでもまだ、目を見せずに。
総悟は口だけを動かして、そう答える。
「・・・嘘つき」
あたしが総悟の頬から手を放すと、総悟は離れようとするその手をぐっと掴んだ。
「どうしてそう思うんでェ?」
「……」
・・・手を出してこないから、なんて言えるはずもなく。
あたしは唇を固く結んだ。
総悟はあたしの手を掴んだまま、アイマスクを上げ、ニヤリと笑った。
「アンタは本当に分かりやすい人だ」
そう言って唇が奪われた。
あたしは驚いて、ただ眼を見開いて総悟を見つめた。
顔を離して総悟が耳元でゆっくりと囁く。
「そんな顔で、惑わさないでくだせェ。俺ァ、どうしようもない位に、さんが好きなんでィ」
顔が近すぎて表情は分からないけど。
その言葉を言った貴方が、いつもより照れているといい。
あたしをそんなに強く抱きしめるのは、その表情を見られたくないからだと、いい。