物心ついたときから一緒だった。


好きなことも嫌いなことも同じだったのに。

れた瞳、れた唇

「俺、ちゃんのこと好きみたいやねん」


ある日突然、そんなことを言われた。
突然すぎて、ただ、呆気に取られるばかりだった。


「はぁ…そうなんだ」


は良い子だし、侑士だったら大事にしてくれると思う。
でも、なにかスッキリしなかった。

侑士は特にあたしの様子を気にすることもなく頬をポリポリと掻いていた。


「それで、、仲ええやろ?」

侑士は少し恥ずかしそうに言った。

「…仲を取り持って欲しいってこと?」
「…あかん?」


侑士は悲しそうな目をしてあたしをじっと見つめた。

そんな顔されて、嫌だなんて言える訳ないじゃない…。
心の中でそう呟いて、あたしはハァ、とため息を吐いた。


「しょうがないなぁ…じゃぁ明日一緒に帰りなよ。には言っといてあげるから」
「ホンマ!?おおきに、〜」

侑士は本当に嬉しそうだった。








あたしと侑士は幼なじみで、小さい頃からいつも一緒にいた。
登下校もいつも一緒だった。
たまに冷やかしの言葉を浴びせられたけど、そんなの気にしなかった。

だって侑士のこと大好きだったから。


誰よりもあたしの事理解してくれて
あたしも誰よりも侑士のこと理解していたから。

そんなことで一緒にいられなくなるなんて、馬鹿らしいと思っていた。











、あたし忍足君に告られちゃった」

2日後、がそんな事を言った。


「…え、もう!?」

いくらなんでも早すぎる。
ちゃんと考えて告白したのかなぁと、あたしは侑士が心配になった。


「それで、付き合うことにした」
「…え!?そうなの!?」

あんたも決断早いよ!と笑い飛ばしたけど、そのとき確かに胸にチクリと何か刺さったんだ。






2人の仲は上手くいっているようだった。
侑士は相変わらずよくうちに遊びにきて、のことを話に出すことはなかったけど、なんか幸せそうだなあって、そう感じた。

あたしの胸の痛みは日を増すごとに軽くなっていった。
きっと、いつも一緒だった侑士が少し遠くに行ってしまったからそれが悲しかっただけなんだろう。


そう、思った。














「ホントありえない」

ある日、がそう呟いた。


にこんな話するのも変だと思うけど… 忍足君、一緒にいてもの話しかしないんだもん」



正直、胸が高鳴った。
何でかすごく、嬉しかったんだ。

侑士の中にあたしはまだ残ってるんだ、って思った。
なのに―







ちゃんが不安がっとるみたいやで、しばらくんトコ行くんよすわ』

数日後、電話越しにそう告げられた。



胸の痛みがまた戻ってくる。

ちくり、ちくりと。



彼氏が欲しいなんて思ったことなかった。
だって侑士がいつも傍にいたから。


でもね


侑士が傍にいない今、求めてるのは他の誰かじゃなくて、侑士だったんだ。

付き合いたいとか彼氏になってほしいとかじゃない。
傍に、いて欲しい。





数ヶ月前から一人になった下校時間。
アスファルトの上に、ポトリと水滴が落ちた。

はっと顔をあげると、水滴が次々とあたしに降りかかり、あっという間に大雨になった。

折り畳み傘を探そうとして、気が付いた。
先週、侑士に貸したんだ。

びしょ濡れになって歩くなんて、小学生以来だ。


あの時も侑士と一緒だった。
びしょ濡れになって雨の中を二人で走った。
お互いの濡れた姿を見て、大笑いしながら。


水滴が、頬を伝って口に触れた。

塩辛い。
…これは、あたしのものだ。

いつの間にか両目から涙が溢れていた。


「…ふっ…く…」

溢れてくる涙を止められずに、あたしはその場に項垂れてしまった。



侑士。


侑士。



会いたいよ。
傍に来てよ。



「侑士…」
「…なんや?」

後ろから、聞こえるはずがない声がした。


ゆっくりと振り向くと、あたしの涙で歪んではいたけど、確かに、そこにいた。



「侑…」
「なーにこんなトコで座り込んでんねん。びしょ濡れになってんで」


侑士は笑ってあたしに打ちつける雨を傘で遮った。

侑士の顔が近付いて、あたしはハッとした。

「侑士、その頬…」

赤く、腫れていた。


「…ん、ああ。ちゃん、思いっきし殴るよって」


侑士は赤くなった頬を撫で、苦笑した。

そんな、と口を開こうとしたら、侑士の傘がカタンっと音を立てて落ちた。
あたしは、侑士の腕の中にいた。

驚いて目を見開くと、侑士の優しい声が耳元で聞こえた。


。ホンマに大切なもん、て、近過ぎると分からへんねんな」



また、涙が溢れた。


もう、我慢しなくてもいいよね?



あたしは声を出して泣いた。

侑士はあたしを慰めるように、何度も何度も背中を優しく叩いてくれた。

しゃっくりをあげながら、身体を離すと侑士と目が合った。


そのまま、あたしたちは唇を重ねた。


流れ込んでくる水は、雨なのか涙なのか。

どっちでも、いいよね。


あたしたちが離れていた間の寂しさは涙となって雨に洗い流されている。
ただ、それだけの事なんだから。

お題元【愛詩。 -love song-】様

転校した侑士とずっと一緒の幼馴染がいるわけがないw
というわけでゴミ箱行き
ブラウザバックでお戻りください。

テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル