まるひえもーしょん!

―枕下のヒミツ―

光は謙也の部屋に着くなり、「しんど」と言ってベッドに転がった。



「えー、えろほん漁りするんじゃなかったの?」
「エロ本なんて一言も言うてませんけどね」


光は寝ころんだまま冷ややかな目でこちらを見てきた。

む、むっかつく〜!!
言ってないだけでそういう意図だろうに!


「謙也さんは小細工とかせえへんやろから、常套にベッドの下とか枕下とかに隠しとるんちゃいますか」
「ベッド下、ねえ」


私はそう相槌を打ちながら、エロ本よりもアルバムの方が面白そうだなとか考えつつ本棚を指でなぞっていた。
謙也の本棚には少年漫画がずらっと並んでいる。
その横にはモーターバイクなどの雑誌に続き、スピードアクション系のDVDが乱雑に詰め込まれていた。

謙也らしさが滲み出ていて、思わずくすりと笑うと、後ろから光の声が聞こえてきた。



「…うわ、ホンマにあった」
「えっうそ」


光をみると、枕下から一冊の本を掴んでずるずると引き摺り出しているところだった。
私はベッドに飛び乗り、光の横にうつ伏せになってドキドキしながらその本を見つめた。



「……………」
「……………」
「え、なに、これ」


私の呟きに光は無言でぺらぺらとページを捲る。



ぺらり

「………………」
「………………」


ぺらり

「…………………」
「…………………」


ぺらり

「………………………」
「…………………ぶっ」



ついに我慢できずに光が噴き出した。


「あ、ありえへん…ッ」

わなわなと肩を震わせて、ベッドの上でお腹を抱え丸まっている。
私は光に代わって次のページをぱらぱらと眺めていた。


「ある意味エロ本よりヤバイよねえ、これ」


ぽつりと呟くと、ドタドタと音が聞こえて部屋の扉がバン!と開けられた。
同時に謙也のテンパッた声が部屋に響く。



「きょ、姉弟でそんなん、許さへんっちゅー話や!」
「…はあ?」
「…あれ」


謙也はきょとんとして私と光を見た。



「何しとん」
「こっちの台詞なんだけど…」



光はまだ笑ってる。
今なら箸が転がっても笑いそうな勢いだ。


「け、謙也さん、ほんま、ありえんやろ…ッ」


プルプルと身体を震わせて、光は私が手にする本を指さす。
謙也は私の手に握られたそれが何かを認識すると、見る見るうちに顔を赤くした。



「かっかっ、返さんかいドアホ!!」
「わっ」


あっという間に取り上げられた本。
その表紙には、丸っこい字で可愛らしく、こんなタイトルが付いていた。








『イグアナのきもち』




光はその光景を見て、また声を押し殺して大爆笑していた。












「はぁ…一生分笑った気ィしますわ」


数分後、やっと落ち着いた光はベッドから身を起こし、そのまま座り直す。



「つか、どんだけキモイんすか謙也さん」
「やかましわ!」



私がけらけらと笑うと、光が何かに気づいて枕元に手を伸ばした。



「せんぱいの髪の毛落ちとる」
「わ、ほんとだ、ごめん」



光からそれを受け取りそのままゴミ箱に捨てると、光はそれをじっと見つめ、謙也に問いかけた。



「謙也さんの彼女、今日のこん会のこと知っとるんすか」
「いや、言うてへんけど」



謙也が首を傾げると、光は更に続ける。



「…俺らはともかく、先輩がおったんバレたらマズいんちゃいます?さっきみたいな髪の毛とか、終わった後ちゃんと掃除した方がええっすよ」
「お、おん…分かった、気ぃ付けるわ」



謙也は目を丸くして光を見ていた。
たぶん、考えてることは私と一緒だと思う。



「なーに光、妙に詳しいね。そんな経験あるんだ?」



いつも生意気な光を少しからかってやるつもりで意地悪く笑いながら光を見る。
しかし、光は慌てるどころか顔色一つ変えず、



「そら、先輩よりは経験豊富やと思いますよ。やってせんぱい処」
「だまろうかー!」



悔しいことに、結局またいつものパターンで終わった。

***
「ちゅーか謙也さん、いっつもこの本で抜いとるんや…」
「うわぁ…謙也、そうなんだ…」
「アホかあああ!こんなんで興奮するか!」


謙也が空気ですみませ…ん!
後でちゃんといっぱい、出せるといいな。

ブラウザバックプリーズ。

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