事の始まりは、マダム・レッドのお小言。
毎日毎日遊び呆けてる(って訳でもないのよ自分的には)私に痺れを切らしたらしい。
も少しはシエルを見習いなさい。とか何とか言われて
その時は、あぁまたか。って適当に流してたんだけど。

その数十分後には屋敷に家庭教師のマダム達が次から次にやって来た。


じ、実力行使ってやつです、か・・・?











チョコレィトキス











「つ、疲れた・・・」

ぐったり、机に突っ伏す。
外がほんのり薄暗くなってきた今、漸く三人目の家庭教師が帰ってくれた。

「こんなもの弾けたからって何の役に立つって言うのよ・・・」

傍らに置かれた今まで殆ど触ったことなかったヴァイオリンを眺めて溜息を吐く。
ちなみに二人目はピアノ、一人目はダンスの家庭教師で。
それぞれびっちり二時間ずつのレッスンを私に叩き込んで帰っていった。
おかげで普段こんなに使われることの無い私の頭(自分で言うのも何だけど)は疲労困憊。

うわぁ、どうしよう。
音符のおたまじゃくしがワルツを踊ってるのが見える・・・





「あらあら。随分とお疲れみたいね?」

不意に聞こえてきた声に顔を上げれば
ドアのところに何時の間にかグレルが立っていた。

「・・・見ればわかるでしょ。」
「そんな怖い顔しないの。いいもの持ってきてあげたんだから。」
「いいもの?」

ホラ、と見せてくれたのは小さな箱に綺麗に並んだいかにも高級そうなチョコレート。
キラキラして宝石みたい。

「どうしたのこれ。」
「家庭教師のマダムがお土産にって置いていったわ。」
「ふーん。」

どのマダムかわかんないけど気が利くじゃない。
ありがたく頂きましょう、と私が手を伸ばそうとしたら
それより早くグレルの手がチョコを一粒摘んで

「・・・何?」

私の顔の前に差し出した。

「あーん、して?」
「は?いいよ自分で食べるから。」
「何よ、せっかくアタシがお疲れのの為を思ってしてあげてるのに。」

その好意を無駄にする気?だなんて、じとり、睨まれては何も言えず。
渋々口をあけた。のに。


「相変わらず単純ねぇ、。」

摘まれたチョコが放り込まれたのは私の口じゃなくて、グレルの口の中。

・・・だから、こーゆーベタな落ちが読めたから嫌だったのよ。


「・・・グレル。」
「あら、怒っちゃった?」
「私今すっっっごく疲れてるの。だから―」

甘い物には、貪欲よ。

「?!」

机に足をかけて、向い側のグレルを捕まえる。
私の突然の行動に少し驚いた様子だったけどそんなのは気にもせず
殆ど飛び付くような勢いで、甘い香りのする唇を奪ってやった。

甘い甘い、チョコ味の、キス。


思う存分味わって、離れる。


「やっぱり疲れてる時には甘い物が一番よね、グレル?」
「・・・元気になったかしら?」
「とっても。」
「それはよかったわ。」

私が落ちないようにちゃんと抱き抱えてくれてたグレルはそのまま軽々と私を持ち上げて床に降ろすと
じゃあまだ大丈夫ね。と、もう一度触れるだけのキスをくれた。


・・・ん?
ちょっと待った、今『まだ』って言った?

「ホントはもう今すぐのこと襲っちゃいたいくらいなんだけどぉ。」
「え、嘘。まさか・・・」
「そ。家庭教師のマダムがもう一人お待ちよ。」

愕然とする私の背中をポンと叩いて、早く行きなさいと促すグレル。

お、鬼だわ・・・マダムも、そのマダムを止めてくれないグレルも!

でも、脱走を試みたところでどうせあっさり捕まるんだろうし
マダム・レッドの機嫌を損ねて更に厳しいレッスンをさせられたりしたら堪ったもんじゃない。
今は大人しく従うしかないわね・・・


「・・・そのチョコ、残しといてよ。」

一応釘を刺してから部屋を出ようとすれば

。」
「んー?」
「全部終わったら、アタシがチョコなんかよりずーっと甘いご褒美アゲル。」

だから頑張りなさい。なんて、グレルは手をひらひら振りながら
何とも妖しげな笑みを浮かべて言った。



・・・あぁ、胸焼けしそうだわ。



END.






―――――
リアルに仕事でクタクタになって甘い物が食べたくなった時にした妄想の賜物です(うわぁ)
たまには積極的なヒロインさんもいいかなぁ、と。



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