銀河英雄伝説

<原作>田中芳樹/<画>道原かつみ
徳間書店 全11巻

 いろいろな意味で教訓になりそうな漫画


日本のSF小説の中でもかなり有名な作品を漫画化したもの。漫画を手がけているのは道原かつみである。田中芳樹の原作を忠実に再現したものというよりも、彼女のオリジナルの部分が目立つ。それはいいんだけれども、結果としてはこの漫画、失敗に終わってしまった。

ある完成した作品に対して、自分のアレンジを施すことは、別段非難されるべきだとは思わない。原作の好きな人から多少嫌われても、新たな読者が獲得できて、原作とはまた違ったところで勝負できればよいんだから。でも、残念ながら、この漫画は中途半端なオリジナリティが目立ってしまう。ルビンスカヤを女性として描いたり、一つ一つのアイディアはそれぞれ面白いし、特に序盤はわりと話としてもまとまっていると思う。膨大な小説の中から、切るべきところは切り、長くするところは長くしてある。連載当初は、道原かつみも相当意気込んで描いていたのではないだろうか。

しかし、掲載誌の少年キャプテン増刊(当時店頭で見かけたことすらなかった)がつぶれ、女性系の漫画誌に移ってから駄目になってしまった。もともと道原かつみという人は、ハードSFなどを主に描いてきた人らしいのだが、掲載誌が移動後はストーリー重視からキャラクター重視に切り替えてしまったように見える。原作自体、そのきらいが無かったとも言えないが、もろに女性受けを狙ったものになってしまったのである。

さらに悪いことに、彼女のやる気が萎えてしまったのか、徐々に原作のダイジェスト版と化してしまった。もうこうなると救いようが無い。結局、道原かつみの銀英伝は、10年ほども連載を続けていながら原作を全て漫画化することが出来ずに、第一部完という形で終わることとなったのだった。

個人的には、道原かつみの描くヤン=ウェンリーはとても好きなのだが、掲載誌のカラーに翻弄された。女性誌が連載の媒体として絶対に駄目だとは思わないが、それでも最低限の節度は守るべきだったと思う。もっと、違う部分で楽しめる内容をもった原作だったんだから。合掌。
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Copyright (C) 2001.4.17 Iwashi Hachiman

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