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オーケストラ雑文

オーケストラ(管弦楽法関連が主)について日頃感じていること。


チャイコフスキーのいじわる
フルートの神秘(2003.8.31)

フルートの神秘

オーケストラの楽器にはどれにも心地よい音(音域)というものが存在する。そして異なった楽器の心地よい音を同時に出すと、少しオーケストラに詳しくない人は、その両音が実際1オクターブ違う音であったとしても、同じオクターブであると誤解している可能性がある。心地よさとはそれだけの力を持つ。

フルートは比較的高めの音を心地よい音とする。これを低く使う。具体的には最低音のC音から上に1オクターブの間くらい。これが神秘的な雰囲気を出すのである。そりゃオーボエだってクラリネットだってファゴットだって低く使うことはある。でも神秘的とまではいかぬ。

以下、チャイコフスキー組曲「白鳥の湖」ワルツより。

ヴァイオリン2部+ヴィオラ、更にフルートが同オクターブで主旋律。これが神秘!! フルートの低音のパワーに加え、なんか涙が出てきそうなこの旋律の持ち味も大きい。弦楽器につぶされてフルートは聞こえないからどうでもいいとか言っている人はオケ聞かなくていいです。

まあいくら文章で神秘神秘書いたって分かるわけないが、とにかくフルートの低音はオケでは価値が高いものであると考える(謎。まあその音色をきけば分かるはず。

ちなみにここの弦楽器「sol G」とは全部G(ゲー)線で弾けという意味。G線はヴァイオリンの中で最も低い音域を担当する線。sol Gとあれば、そこにある音が高かろうが低かろうが、全部その低い音域用の弦で弾けということ。書くだけかいてしまえば、高い音域で高い音を弾くのは「心地よい音」。この「sol G」のように、低い音域で高い音を弾くのは、フルートの低音と同じく、その楽器のもつ本来の音域から少しはずれた高さの音を奏することになり、これもちょっと「神秘的な音」ということになってくる。

なにを言いたいか伝わるだろうか……?


フルートが低音で使われている例(現代曲系を除く)

いくらでも挙がる。モーツァルト系は滅多に使っていない。時代が新しくなるほど例は増える。に特に注目したい。

  • ドヴォルザーク交響曲第9番「新世界より」1楽章のソロ3箇所(149〜、312〜、370〜)

    これは傑作。これほどフルート低音独奏が多く使われることも珍しい。ちなみに後の2箇所は第二奏者指定となっていることにも注目。

  • ドヴォルザーク交響曲第8番1楽章273

    ソロではない、2本指定、トリルに近い、面倒くさい、ほとんど聞こえない。でもなかなか巧妙。神秘的なものは期待できないが。

  • シューベルト交響曲第8番「未完成」1楽章63281

    これはあまりうまい使い方ではない。仕方なく低くしたという印象。

  • ベートーヴェン交響曲第9番「合唱」4楽章627642

    約半分のヴィオラ奏者と同じ音・オクターブで主旋律。神秘的で傑作。しかもテンポ遅いため長時間聴ける。早い時代のベートーヴェンはこのような使い方はしたことがなく、この時代のベートーヴェンでも珍しい。レア物。

  • メンデルスゾーン交響曲第3番「スコットランド」2楽章33

    オーボエと同じ音・オクターブで、神秘的というよりは音色美。

  • チャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」4楽章冒頭

    旋律ではない。ファゴットと同じ音・オクターブというところが恐ろしい。

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