ブレゼッチは鮮明に、スロベニアでの最初の練習を覚えている。 彼と他の7歳の少年たちは、ゲームの基本に関する一連の練習を おこなった。 パス、そしてシュート、リバウンド、ボックスアウトと続き、 最後にもう一度それらを繰り返す。 何日も、いや何年間もその基本練習は続けられた。 決して大人達の命令で行われるものではない。 そして子供たちは体の大きさによって区別されることはなかった。 ☆ブレゼッチ 「体の大きさなんて関係なかった」 「俺はずっとシューターだったよ」 「まぁもちろん子供の頃から大きかった訳じゃないけどね」 「大きい選手も小さい選手も関係なかったんだ」 彼や他の外国人NBA選手が示すものは、アクロバティック なレイアップや強烈なダンクよりもハイライトリールを飾る ケースが多い。 海外の選手がどんどん台頭してきていることは2002年の 世界選手権等のまばゆい実績でも明らかである。 基本面での差は、草の根レベルで現れている。 このままでは母国アメリカが追い抜かれる危険性すら 秘めているだろう。 ☆バード 「欧州人はわれわれの先を行っているよ」 「ビックマンですら外からシュートを放ってくる」 「基本練習を本当に一生懸命行う」 「ここがアメリカ人との差なんだ」 「NBAレベルになってその問題が浮き彫りになって きてしまうんだ」 「理由は、高校から即NBAに来てしまうこと、そして そういった技術練習をこなす時間がNBAにはないこと だと思う」 NBAの規則的なシーズンスケジュールは、そういった 技術開発に適してはいないといえる。 ☆バード 「私たちは14日間で10試合もこなすようなスケジュール をこなすことだってある」 「アシスタントコーチのアドバイスを聞いてそういった練習 に勤めるが、それでは十分でないことは自明である」 明確なデータはないのだが、海外の選手と国内の選手の差を みつけることは難しくない。 7フィートあるバージン諸島出身のティム・ダンカンの16フィート からのバンクショット、そしてページャ・ストヤコビッチの至る所 からの3Pもそれを物語る。 さらにフィールドゴールパーセンテージではドイツのノヴィツキー、 スロベニアのネステロビッチ、スペインのガソルがトップ10 に入った。 インディアナの報道官、クィン・バックナーは海外の人格形成期 の指導方法が、海外の国々のプレーの楽しみ方のルーツになって いると信じている。 ☆バックナー 「多くの海外の選手は、人格形成期に素晴らしい選手になれるか 否かが決定されている」 「アカデミーで強化され、その後、クラブシステムに取り込まれ、 常に技術の向上をはかることができる」 「アメリカの選手は一週間あたり2度しか練習できないのに対し、 海外の選手は5日間練習をこなすことができる」 アメリカの選手は失敗を認識したり、修正しながらゲームをこなす よりも、試合を行い、その中で上手くプレーできるかどうかを 見つけ出す方法をとる。 ☆バックナー 「草の根レベルまでも修正しなければいけない問題である」 「すでに若いレベルでそういったものがしみこんでしまうので、 NBAに来たときには修正がきかなくなってしまう」 それが多くのNBAスカウトやフロント陣が海外の選手に 興味を抱く最大の理由である。 ラリー・バードも2度の海外視察で感動を覚えた。 ☆バード 「現実に、NBAよりも優れた試合があった」 「40分(NBAは48分)の試合などの違い、そしてテレビ 放送によるタイムアウトがないなどの違いはあるが、非常に よく走る素晴らしいプレーだった」 「みんながプレーに関与し、みんなが攻守に走り回るバスケ だった」 「NBAほどタレントはいなかったけど、素晴らしくエンター テイメントに満ちたものだったよ」