○変えられない過去、変えられる未来 ロン・アーテストは、スターたちの輪の中から 少し距離をとろうとしていた。 やや場違いな空気を感じながら。 しかし彼の貢献はあきらかである。 ☆アーテスト 「やるべきことをしただけ」 「いつもやっていることを」 「いいことであろうが、悪いことであろうが、その 時々に自分がしようとしたことをしたんだ」 「結果は気にしないし、人々がどう思おうと関係 ないんだ」 約1年の時をへて、彼はイメージ改造の最中である。 最近、インディアナのキャプテンに選ばれた。 ☆マリオン(フェニックス) 「彼はなんでもできるから、必要な選手の一人だよね」 「守備ばかり評価されている感があるけど、攻守に渡って 貢献できる稀有な選手だよ」 「去年、みんな彼のことでジョークをいっていた」 「どんな狂ったことをするかって」 「いまや、逆に彼がそれを笑いとばしているよ」 デンバーのルーキーカーメロ・アンソニーも、プレシーズン の試合前に、ベテラン選手から警告されていた。 「アーテストには気をつけろと」 しかしまったく違う印象を受けたという。 ☆アンソニー 「彼について色々聞いていたけど、まったく違った」 「純粋なプレーヤーだった」 「色々なうわさが捻じ曲げられているのかとさえ、 思うよ」 1年前のアトランタでのオールスターに彼は参加でき なかった。 しかしその当時を思えば、出場させなくてよかった と思う人がほとんどであろう。 それはアーテストも一緒である。 ☆アーテスト 「去年、選出されなくてよかった」 「去年ならばとんでもないことをしでかしたかも しれないしね」 「今までしてきたことについて、他の人を責めるつもり はないよ」 「俺がいけないことをしたのだからね」 彼がどうして去年、感情を爆発させていたのかは、アーテスト が作りだしている一つのなぞである。 ☆ブリュワー(アーテストの弟分の) 「彼の目が物語っているよ」 「全然違うよ」 「勝つことに集中しているんだ」 「勝つためにやるべきことをやろうとしている」 アーテストの変化は、去年のシーズンの終わり頃からで ある。 ボストンでのプレーオフファーストラウンド敗退が 決まった第6戦後、彼はボール片手にコートに 向かっていった。 彼は自分のプレーを改善しようと努めた。 コンセコにはいかないようにと通達があったにも係わらず、 厳しい練習を2度に渡ってコンセコで行っていた。 ☆オニール 「去年と今年の違いを認識しているよ」 「方法こそ違えど、同じ目標に向かって戦っていた」 「非常にいい方向にいっていることがうれしい」 「彼の存在が本当にチームにとって大きなものに なっている」 「言葉ではいいあらわせられないけどね」 しかし、アーテストの改心について、まだ疑問を 抱く人間がいる。 彼の反省が一時的なものであるのではないかと。 ☆アーテスト 「過去は過去だよ」 「まぁ普通はそんなに変化しないのが常だけどね」 「時間が多くのことを変えてくれた」 「同様にみんなの心から俺の行為が頭から消えていく とは思わないけど・・・いつかわかってくれればとも 思う」 「NBAでいつまでも頑張っていきたいからね」 「もし誰かがまたそれを問題視するのであれば、 NBAコミッショナーと話してくれることを希望 するよ」