○レジー・ミラーのタイトルへの違ったアプローチ 2000年の夏、インディアナはチャンピオンまで あと2勝までこぎつけた・・・。 その夏、チームは分解した。 マーク・ジャクソンはFAでトロントへ、スミッツは 引退、デイル・デイビスはやせた少年だったジャーメ イン・オニールと交換でポートランドにいった。 突然、ミラーは一人ぼっちになった。 何かを達成するには2、3年かかりそうな20歳の 少年たちだけが残った。 ☆ウォルシュ 「私がレジーに何をしようとしているか伝えたとき、 彼にとって本当に辛いことだったと思う」 「なにせ多くの友人を失うことになっていたからね」 4年も経たないうちにチームはチャンピオンシップを 争えるチームに変化した。 ミラーは再建のためにここに残ることを決め、いま、 後進に道を譲り、さらに成長を促しつつある。 彼は決してプレータイムを要求しなかった。 決してシュートの本数を要求しなかった。 若い選手のプレーに文句を言わなかった。 チームメートにパスをまわすことが多くなった。 もちろん、とはいうものの、成果をあげるところでは 彼は成果をあげた。 彼のラストショットで8試合をモノにしている。 ☆ミラー 「廃れつつあるスーパースターのように、時代の流れと 戦うことだって出来たはずさ」 「でも、チームがトップにいるために、俺ががんばれば 他の選手達があとずさりしてしまう」 「人生でだんだん起きる現象にすぎないのさ」 確かにNBAではよくあることである。 ミラーは笑ってこういった。 ☆ミラー 「そうだね」 「でも、もし俺がボールをくれ、シュートを打たせて くれって泣いてたら、チームはきっと迷走してしまう」 「ジャーメインやジョナサンやアルと張り合うことだ ってきっと出来たと思う」 「でも、この世の中で変革は避けられないものなのさ」 「要はそれをどうやって受け入れていくかだと思う」 「自分のチャンスを埋めていくようなことになるかも しれなかったけど、もし彼らが急速に成長すれば、 きっとチームにタイトルを与える結果になると感じて いたんだ」 「いずれ起こることだしね」 この3年、ミラーの得点、プレータイム、シュート数は 年々減っている。 しかし統計は彼の実績を十分しめしている。 彼はオニールやアーテストに自立の道を与え、そして 若い選手達にプロというものはどういうものかを示して みせた。 自分を犠牲にしているミラーを見て、ベンダーやハリ ントンはプレータイムにケチをつけられるだろうか。 出来ないであろう。 いやすべきではない。 今年だけでなく今後も。 ☆ミラー 「2000年にチームの今後を見据えたとき、 俺は チームを離れるということを考えることができなかっ た」 「ウォルシュは非常に聡明だから、このチームをどん 底に落とすようなことはできないと思っていたからね」 「だから若い選手達や高校生のガキ達ととやっていこ うとおもったんだ」 「俺は若い連中がレースに勝つのを助けてやろうと 思ったのさ」 インディアナの選手達がレジーミラーをもう一度 ファイナルに連れて行ってあげようと話している のは、単に彼の過去の成績への尊敬だけではない。 それ以上のものが存在する。 彼らはミラーが払った大きな犠牲に対し、大きな報酬 を与えたいのである。 彼はフランチャイズの改良のために、道を譲った最初 の選手ではない。 デヴィット・ロビンソンはかつてダンカンの成長のため に道を譲った。 それが普通なのではない。 ミラーやロビンソンは例外である。 ☆ウォルシュ 「レジーとロビンソン以外に、優雅に後進に道を譲っ た選手はいないだろう」 「簡単なことではない」 「しかし私はファイナル進出後の最初のトレーニング キャンプの際に、レジーがジャーメインや他の選手に バトンを渡そうとしたがっているのを感じた」 「でも彼は少し躊躇していたけどね」 「それは凄く感じ取れたよ」 しかし、インディアナはこのままプレーオフを勝ち 進んでいくならば、彼に存在感以上のものを求める 必要がある。 彼のプレー、ベテランになった単なるレジーでなく、 スーパーレジーを必要とするだろう。 彼に尋ねた。 「もしあなたがやらなければならない状況になったら、 まだゲームを支配できるように感じていますか?」 普段スパイク・リーにするような外観で即座にこう 答えた。 「もちろん」「絶対にやれる」