因縁のこの試合、選手が1人観客席に飛び込んだ。 2度も。 オーバーンヒルズで飛び込んだのとは違う内容だ。 飛び込んだ選手はアントニオ・マクダイス。 そして彼が飛び込んだ理由は1人の女性だった。 2Q、ルーズボールを追ったマクダイスはグラウンドレベル で見ていたリンダ・テイラーにぶつかった。 ☆マクダイス 「数秒後に俺はフリースローラインに立っていたが、 鼻や口から血を流している彼女の姿が見えた」 「なんとか衝突するのを避けようとしていたので、大丈夫 だと思った」 「肘が当たったのかと思った」 すぐにタイムアウトが取られ、マクダイスは観客席に向かっ た。 マクダイスは「大丈夫? 本当に本当にごめんなさい」と いい、彼女の顔を押さえた。 心配そうに見るマクダイスを見て、テイラーは笑いながら こういった。 ☆テイラー 「あなたは私に借りを作ったのよ」 マクダイスがコートに戻った時、そばの観客は温かい拍手を 送った。 あの事件のようにそんな大きな出来事ではなかったが、 クリスマスに行われたこの試合、そしてシャックvsコービー の遺恨試合を含めて、この瞬間が最高のものであったといえる。 あの事件に巻き込まれ、多くの選手がサスペンションや 年俸の一部以上のものを失った。 ファンは彼らのことをチームのために頑張る選手というより も、あの事件の選手として見るだろう。 ジャーメインもテレビで見た俺を、本当の俺だと思う人が たくさんいるだろうという。 公の認識はオニールのような選手にとって小さい問題では ない。 オニールはあの事件の被疑者としてよりも、女の子の小さな 夢を果たしてあげた人間、多くの慈善事業を行う人間として の自分を見て欲しい。 NBAとインディアナ、デトロイトが必要としていたものを 土曜日に我々は証言できるだろう。 醜い争いがない素晴らしい試合。 確かにブーイングはあった。 しかしブーイングはごくありふれたものである。 インディアナはそれ以上にクリスマスの日にアルコールを 売らなかったり、素晴らしいセキュリティーといったものを 示すことができた。 そしてこの試合は終わった。 この試合でデトロイトとの闘争はついに終わった。 この数週間、コーチ・ラリー・ブラウンはコーチという立場 を超え、謝罪していた。 彼の謝罪はインディアナのどの人間よりもより多くの場所で 聞かれた。 試合後も少なからず、ブラウンとしては当たり前の言葉が聞 かれた。 ☆ブラウン 「今までこういった経験がなかったが、私の最大の希望は 今回の事件でみんなが学ぶことである」 「観客も、選手も、今回のようにやるべき振る舞いをして くれた」 「できれば、人々が今回の出来事を今後絶対起こしてはなら ない不運な出来事であると理解してほしい」 しかしインディアナにとっては終わらない。 すくなからず、シーズンが終わるまでは。 アーテストを失い、ジャクソンもまだ戻れない。 ジャーメインもどうなるかは不明だ。 ニューヨークではジャーメインはベンチスタートになる。 まだカーライルの頭痛の種は消えない。 ☆カーライル 「試合が無事終わってくれてよかったよ」