○新人の儀式 それは2人のインディアナの新人にとって単なる朝に過ぎない。 時間をかけて、ジョン・エドワーズは新聞を買い、スター紙 とUSAトゥデー紙のコピーをとる。 一方でデヴィット・ハリソンはドーナッツ等を買ってくる。 コンセコでの練習前に、食べ物と新聞がロッカールームに 用意されている。 ☆ハリソン 「初日は怖かった」 「どうすればいいのかよくわからなかったからね」 「こう聞かれて、どうしてドーナッツが冷たいんだいって」 「ただただあやまったよ」 ☆エドワーズ 「ちょっとしたルーチンワークだね」 「いつもアリーナにくる前に、そのままアリーナに向かわず、 ちょっと寄り道する程度のことさ」 「みんなやってきたことだしね」 「儀式にすぎないよ」 インディアナで、こういったことは、ABA時代から色々な 形で行われている伝統である。 当時も今も、下積みの仕事の経験である。 かつては大変だった。 1971−72年シーズンのルーキー、ジョージ・マクギニス は遠征先にボールを運んだ。 ☆マクギニス 「スーツケースに、そしてあらゆるものを運んだよ」 「それも新人の儀式の一つにすぎないよ」 ミラーも新人時代の経験があり、それを楽しんでいたので、 その後の17年間の新人達にもそういったことを共有している。 ミラーは当時バーン・フレミングとジョン・ロング、チャック パーソンの身の回りを担当していた。 クリーニング、洗車、モーニングコール・・・ そしてドーナッツと新聞。 ☆ミラー 「俺以降、高いプライドを持った新人達が入ってきたよ」 「そういったプライドを壊すのも楽しみなんだ」 「ジャマール(ティンズリー)とジャミソン・ブリュワーは 大変だったね」 「でも、なんとか壊してやったよ」 リック・カーライルも経験がある。 1984年のボストンで、ベテランぞろいのチームで唯一の 新人だった。 彼はビデオカセットレコーダーを運んだ。 ☆カーライル 「箱に入っており、その分より重みを感じて、意図的に重く されているような気がしてたよ」 「ベテラン選手達は、からかうように私のことをVCR (ビデオカセットレコーダー)って呼んでた」 「ジョン・マクヘールが大好きみたいで、放送をVCRに入 れてたよ」 「まぁ、こういった儀式をしないチームもあるみたいだけど、 インディアナは歴史を知るレジーみたいな選手がいるから、 やるんだろうね」 ミラー曰く、最近の新人は素晴らしいという。 その中でフレッド・ジョーンズをあげる。 ジョーンズはそういったものはみんなが思っているほど悪い ものではないという。 ☆Fジョーンズ 「ルーキーとしてそれを受け入れ、楽しんでいるよ」 「楽しんでいれば、それに苦しんでいる時よりもベテラン達が 楽にしてくれるしね」 義務は毎年変化している。 ポピュラーなものとして、「ハッピーバースデイ」を仲間の ためにファンの前で歌うこととかがある。 それをしばしばしたのが、ジェイムス・ジョーンズであり、 NBAでプレーする限り、毎日だって構わないというほど 特権化している。 もちろんインディアナのすぺての選手がこの儀式をしている 訳ではない。 アンソニー・ジョンソンは97−98シーズンのサクラメン トでのルーキーシーズンを平穏に過ごしている。 サクラメントのベテランたちがそういったことに興味がなか ったおかげで。 ☆ジョンソン 「そういったことがなかったんで、少し羨ましくも思うけど、 大変なんだろうなとも思うよ」 フィラデルフィアでルーキーイヤーを過ごしたマイケル・カ リーは、一番速く練習を始め、遅くまで練習をすることを 要求されたので、それを同様にインディアナの新人に要求す る。 そして彼は「The Millionaire Next Door」という本と、 3オン3リーグに参加させたいと思うが、トレーニング キャンプ時に彼がいなかったことと、伝統というものも あり、そうさせなかった。 しかしただこれを今後も続けるかどうかは別だ。 実際、反逆の声もあがる。 ハリソンは既にこの伝統をなくすつもりである。 ハリソンは高校時代のフットボール部でのヒドイ経験を持つ。 彼と同級生たちは高湿のクソ熱いロッカールームの外で、 上級生が着替えるまで待たせ続けられた。 ☆ハリソン 「俺はそれを終わらせるつもりさ」 「時代だよ」 「別に上級生とかに憎しみはないし、そんなに大変なこと じゃないけど、面白くもないしね」