◎「求められる者」 インディアナは今シーズン、トリプルオーバータイム でヒューストンに敗れた試合があった。 その試合、ローズは61分出場39点11R9A。 ボックススコアだけみれば十分な内容だった。 しかし、実際には大して点を獲っていないに等しかった。 あまりにシュートを打ちすぎていたから・・・。 試合後、ロッカールームは、ドアが空きっぱなしで、外 からも見える状態だった。 ローズはコーチやチームメートに囲まれ、注意されていた。 ローズは他の選手よりも14本多くシュートを打っていた。 チームとしてでなく、個人としてプレーしていることを非難された。 PGとしてリーダーシップを欠いているとも言われた。 ローズは負けた不満、そして非難された憤りをあらわにしてこう いった。 「今日の敗因は俺にあるのかもね」 その後、ローズはロッカールームを離れ、誰にいうでもなく、こう 叫んだ。 「このチームには俺のような選手が必要なんだ!」 数日経ち、ローズはその頃の選手と変わっていた。 それに伴いチームも変わった。 ☆アイザイア 「彼はみんなから、きついお灸を据えられたからね」 アイザイアはみんなの前でローズにメッセージを送った。 ローズには他の選手を生かすと多彩性を見せて欲しいと。 PGをしているときは、点を獲るだけではダメなんだと。 ☆パーキンス 「ジェイレンは、あんな風にみんなの前で非難されたこと はなかったんだろうね」 「負けたときに、『俺は25点獲ったからいいんだ』なんて いっちゃいけないんだ」 「アイザイアは、ジェイレンに、まだインディアナはレジーの チームであるけど、いつかジェイレンのチームになるだろう ことを伝えたかったんだろうね」 「ジェイレンを尊敬している選手はちゃんといるんだから、 ジェイレンはみんなをうまく使っていかなくちゃいけない」 ローズのスタッツを見ると、その成果が如実に現れている。 ヒューストン戦までの52試合、約18本のシュートに5、7A だったが、その後、15、5本、7Aとスタッツが変化した。 ☆アイザイア 「彼は全く別の選手になった」 「プレースタイルだけでなく、チームの率い方も変わったよ」 さらにおかしなことも起きている。 シュート数は減ったが、シーズン平均20、5点、5Rはキャリ アハイ、平均6Aは、デンバーでの2年目のシーズンだ。 ローズのように、平均20点5A5Rといったオールラウンドな 成績を残したのは、1974−75年のABAMVPプレーヤー George McGinnisぐらいである。(インディアナにおいて) 彼の成績の向上とともに、チームは改善した。 ヒューストン・デンバーと負けた後、14−5とすさまじい勢い でプレーオフを勝ち取った。 この調子でローズがやってくれるならば、フィラデルフィア戦 でのアップセットだってありうる。 ☆ミラー 「うちが上にいくには、彼次第なのさ」 「ジェイレンが75%はボールを保持しているからね」 「点同様に、パスの配給、そしてリーダーシップを取らないと いけない」 ローズも十分わかっているはずだ。 そしてまた、ローズは、一つだけインディアナ最高記録を打ち出した。 プレータイムだ。 平均40、9分。 ビリー・ナイトが76−77シーズンに記録した39、9分を 抜いた。 これもローズの多才ぶりがこの記録を打ち立てる要因に なったのかもしれない。 ☆ローズ 「みんなが(そんなに出るのは)エゴだっていうから、あまり 獲りたくなかったんだけどね」 「みんなには感謝している」 「みんな俺を後押ししてくれるんだ」 「信頼関係を築いて、みんなとやっていくのは凄くいいことだ と思うよ」 そのきっかけを築いたアイザイア。 本人は、ローズが忠告を受け入れたことだけでなく、プレー もよくなったことに対して、喜びを表現した。 ☆アイザイア 「ジェイレンは当然のことをしているまでさ」 「私はジェイレンによりよいリーダーになって欲しかったし、 自分の力、そしてみんなをよりよくして欲しい」 「20点獲れる選手なんてどこにでもいるけど、他の選手 まで生かせる選手はそうはいない」 「それは彼に与えられた才能なんだよ」