○単なる決闘? 1時代、もしくは2時代前のプロバスケにおいて、喧嘩は 単なる喧嘩でしかなかった。 何度と無くリプレイされることもなく、色々な人間が その喧嘩についてコメントを述べたり、選手生命を脅か すようなペナルティーがつくこともなかった。 気にすることもなく、ゲームは続いていた。 インディアナの11月19日の事件は彼らのシーズンを 大きく変えるものになった。 スタンドに飛び込み、ファンに暴力を振るったアーテスト はシーズンアウトになった。 ジャクソンは30試合、ジャーメインは25試合・・・ 後に15試合に軽減されたが。 リーグはスタジアムのセキュリティーを再検討させ、 3Q後のアルコール販売を禁止した。 あの事件は選手、ファンを含んだアメリカ球技史上最悪 の出来事として認識された。 しかし、インディアナは34年以上前に、それに近い 事件を起こしている。 しかし、それは次の日のニュースになったが。 選手もコーチもその当時の事件を思い出す。 ☆メル・ダニエルズ(当時のセンターで事件の中心人物) 「大乱闘だった」 「延々と続いた気がするよ」 「大げさな言い方かもしれないけどね」 「俺自身どうにもならないぐらだったし」 「ただアレも人生の一部さ」 インディアナは1970年12月23日バージニア、 今のPepsi Coliseum、第2Q残り2分6秒に事件は 起きた。 ただ乱闘はABAではありふれたことであったが、いつも と次元が違った。 当時のインディアナポリススター紙には「暴動」という タイトルで5分近く乱闘は続いたと表記されている。 文の内容は「選手が選手を殴り、選手がファンを殴り、 選手が警官を殴り、ファンが選手を殴り、警官が選手を 殴った」と記載されている。 ダニエルズが相手のセンター・マイク・ミロイから受けた ファールがきっかけだったという。 ダニエルズがベンチにいたジョージ・カーターにパンチ を見舞ったと記載されている。 カーターとダニエルズが相手ベンチの前で乱闘をはじめ、 ファンがコートに乱入しはじめる。 両軍入り乱れ、ファンも警官もその輪に加わった。 その結果? カーターはテクニカルファールを受けたが、誰一人として 退場処分を受けなかった。 結局、Squires(相手チーム)が146−128で勝利 した。 カーターは32点をあげた。 ただ3人の逮捕者が出て、取調べを受け、インディアナの GMもチームから100ドルの罰金処分を受けた。 ☆ビアンチ(相手のコーチ・逮捕者) 「もし今のようなメディア報道があったら、軽犯罪で 終わりってことはなかっただろうね」 この時により、セキュリティーについて考えるべきだった のかもしれない・・・。 ABAのコミッショナーは「この手の振る舞いを決して容赦 しない」とコメントしたが。 インディアナもこのような事件がおきないように考えはしたが、 この事件によって大きな変化があったのは、試合前の放送で、 ファンにスポーツマンシップの遵守を要求することだった。 それはそれとして、そのゲームはテレビ放送がなく、 この事件の内容が放送されることはなかった。 ☆ダニエルズ 「そしてまた同じようなことが起きた」 「不運だったのかもしれない」 「プレシーズンの前にもオークランドでちょっとした事件に インディアナは巻き込まれた」 「ファンにビールをかけられるというね」 しかし、NBAはなにもしなかった。 当時のSquiresのガードであるスコットはこういう。 ☆スコット 「選手はファンとの間にシキリがあることを十分に理解していなく てはいけない」 とはいえ、スコットはこうもいう。 「ファンは選手達をヤジり倒すことに責任が生ずることがあること を理解しなくてはいけない」と。 人はどんなにデキていても、時々おかしくなってしまうこともある。 あの11月の事件は、「スポーツ界にそれが起きてしまった」ケース ともいえる。 本来、そういったものを無くすものであるはずではあるが・・・。 我々もそういった怒りに対する制御ができなくてはいけないだろう。 選手だけでなく、ファン、そしてスポーツ記者、あらゆる人々が。