○驚くべき指名による完璧な成功 歴史は、インディアナがインディアナ大学のアル フォードでなく、レジー・ミラーを指名したことが 正しかったことを物語っている。 木曜日の夜、レジーミラーが最終戦にみなにサヨ ナラの手を振った後、「もう一年」の大合唱が起 こった。 18年前は、みなブーイングを飛ばし、殺人予告 すらあったのに・・。 結婚生活が安定してくると、困難だった結婚式の ことを簡単に忘れてしまうものだが、とにもかくに も、1987年6月22日時点では、ミラーとフ ァンの間に、長期に渡る安定した関係はありそう もなく思えた。 当時GMだったドニー・ウォルシュがドラフトで 「インディアナはUCLAのレジーミラーを指名 する」と発表したときに、マーケットスクウェア アリーナの5000人のファンはブーイングでその 指名に応えた。 その前年、GMとして始めての指名でチャック・パーソンを指名したとき、同様の反応を受けたウォ ルシュにとってはなんのショックもなかった。 ブーイングをしたパーソンがその年の新人王を 獲得したという事実は、地元の英雄スティーブ・ アルフォードを指名してほしいというファンに とって重要ではなかった。 1983年のインディアナスター紙のミスター バスケットに選ばれ、インディアナ大学のNCAA チャンピオンシップ獲得の立役者となり、オール アメリカンに選ばれていた。 彼の人気はピークに達しており、もう1人のスコ アラーを必要としていたチームに完璧にフィット すると考えられていた。 ウォルシュとジャックラムジーHCはドラフト前に チームはアルフォードはチームの計画にフィットし ていないと声明を出していたが、ファン達の望みは 強いものだった。 ウォルシュは、殺人予告を受けたので、ドラフト 会議で、警備員が周りについた。 一方でインディアナはミラーに興味を示している そぶりすら示さず、ミラーもそれを感じなかつた。 ミラーはプレドラフトミーティングに行ったとき、 チームは少し冷遇だったことを思い出す。 ラムジーHCとも話ができず、スカウト部長の メル・ダニエルズは指名に反対だったため、かなり 失礼な対応だったという。 ウォルシュですらも、特に興味を示してくれなか ったという。 ☆ミラー 「ただ会って、挨拶した程度だったね」 インディアナスター紙のドラフトプレビューでは カルフォルニア大学のPGケヴィン・ジョンソン、 インディアナ大学のスティーブ・アルフォード、 セント・ジョーンズ大学PGマーク・ジャクソン、 セントラル・アーカンサスのSGスコッティー・ ピペン、そしてレジー・ミラーだった。 もしもガードを選ぶとしたら。 パーソンをSGにして、SFを獲るという考えも あったようだ。 しかし、ウォルシュはラムジーと共通した一つの 認識があった。 彼はケヴィン・ジョンソンが11位まで落ちてくる ことを期待していた。 もしそうならないのであれば、レジーミラーで行くと。 もしレジー・ミラーもダメならマーク・ジャクソン。 実際のところ、レジー・ミラー指名が現実的なもの だとラムジーは思っていた。 ☆ラムジー 「我々にはシュート力のあるSGの若い選手が 必要だった」 「ミラーの指名がベストであろうと思っていた」 ミラーは一方で16位指名でフィラデルフィアに 指名されると思っていたし、そう希望していた。 フィラデルフィアのSF、チャールズ・バークリー と、チームのオーナー、ハワード・キャッツとプ レドラフトミーティングの際に夕食を共にしてい た。 さらにキャッツの息子と狩猟も楽しんでいた。 ミラーはインディアナに行くことを反対されな かったが、インディアナに指名されたときの彼の 反応は異なった印象を捉えていた。 カルフォルニアの彼の家族のリヴィングルームで 待ち構えていたテレビクルーは、彼らの困惑した 空気を捉えていた。 シカゴがホーレス・グラントを10位指名で獲得 した際、プロデューサーからインディアナが次に ミラーを指名するかもしれないというコメントを 発していた。 その1、2分もしないうちにウォルシュから指名 のコールがあった。 どう反応していいかわからないミラーは姉のシェ リルの方を見た。 シェリルはただ「驚いたようにしなさい」と。 ミラーの演技はとてもじゃないがオスカーに選ば れるうようなものではなかった。 しかしそれは仕方なかったのかもしれない。 インディアナがあまりに興味を示していなかった ので、その指名に彼は本当に混乱していた。 ☆ミラー 「全く考えていなかった」 「とにかく驚き、困惑していた」 ただ彼1人ではなかった。 インディアナのファンも彼の名前を聞くと予想して いなかったので驚き、ざわめきは長いこと続いた。 UCLAのスター選手は、カリーム・アブドゥール ・ジャバーに次いで2位の得点記録を引っさげ、 クリッパーズの4位指名も予想されていた。 クリッパーズはジョージタウン大学のレジー・ ウィリアムス(SG)を獲得し、その後、数年 「レジー間違い」と揶揄された。 一方で、アルフォードは26位指名まで順位を 落とし、2巡目でダラスに指名され、怒り震えた。 ☆アルフォード 「なぜレジーミラーを指名したのか理解できない」 「彼はフォワードだし、チームはフォワードを 必要としていないだろう」 「この指名を見返してやる」 実際、UCLAで、ミラーはSFとしてプレーして いた。 NBAスカウト達は彼にSGの才があると見ていた。 ただ地元のアナリスト、特にスター紙のコラムニ スト達がウォルシュの決定を支持し、ファンの気 持ちは段々和らいでいった。 スター紙は賛否両論のファンの手紙を載せたりも した。 ただそれでも多くのファンはしばらく失望していた が。 アルフォードは結局4年のNBAキャリアで、ダ ラス、ゴールデンステイトを渡り歩き、平均4.4 点をあげ、その後、大学のコーチとして16年の キャリア、ここ6年アイオワ大学のコーチをして いる。 アルフォードの人気は今尚揺らいでいないが、当時 の指名を批判する者はもういない。 レジーとアルフォードはしばらく話などをしてい ない。 もし時間があれば、彼らが色々な話をする機会が あるだろう。 いうまでもなく、あの18年前の午後の話がリンク してくるはずである。 ☆アルフォード 「私もインディアナ出身だし、彼もまた18年の キャリアをインディアナで過ごしてくれた」 「そのことはみながインディアナのバスケット ボールについて認識しているだろう」 「みな地元のタレントを守ろうとしてくれた」 「しかし結果として、インディアナ、そしてファ ンにとって素晴らしい結果になったということさ」 ○レジー・ミラーの前に指名された10人の選手達 1位 デヴィット・ロビンソン(サンアントニオ) 14シーズンプレーし、殿堂入り濃厚。 2位 アーロン・ギリアム(フェニックス) 13シーズンで平均13.7点。 3位 デニス・ホプソン(ニュージャージー) 5シーズンで平均11点。 4位 レジー・ウィリアムズ(クリッパーズ) 10シーズンで平均12.5点 5位 スコッティー・ピペン(シアトル) 17シーズンプレーし、殿堂入り濃厚 6位 ケニー・スミス(サクラメント) 10シーズンで平均12.7点 7位 ケヴィン・ジョンソン(クリーブランド) 17シーズンで平均18点 8位 オルデン・ポリニス(シカゴ) 15シーズンで平均7.8点 9位 デリック・マッキー(シアトル) 15シーズンで平均11点 インディアナで8シーズンプレー。 10位 ホーレス・グラント(シカゴ) 17シーズンプレーし、平均11点