○幸運 1人ずつ、ドラフトボードが埋まっていく。 段々とインディアナのフロントスタッフも落ち着きを欠いていった。 まずトロントラプターズが7位指名で堅実にチャーリー・ヴィラヌエバを指名。 レイカーズは高校生センター、シャック2世候補バイナムを指名。 予想以上に少し高い13位指名でショーン・メイをシャーロットが指名。 NBAチームはモックドラフトサイトをあざ笑うかのように指名を続けた。 モックドラフトサイトで噂されたフランシスコ・ガルシアを指名するといわれる 17位指名の番がとうとうやってきた。 彼らはボードを見て、愕然とした。 ダニー・グランジャーがまだ指名されていなかった。 インディアナポリスでのワークアウトで存在感を示したグランジャー。 カーライルは、6月上旬のワークアウトでグランジャーを見て、バードに「彼を 獲れる可能性はあるのかい?」と尋ねた。 そしてバードも現実的に「たぶんありえないだろう」と答えた。 バードはグランジャーが17位になる可能性は殆どないと思っていたので、 インディアナポリスまでワークアウトに来てもらったことを彼に謝罪した。 あらゆるモックドラフトサイトで彼はトップ10指名候補に挙げられ、トップ5 というサイトすらもあった。 カーライルは5位指名権があれば、グランジャーを指名しただろうという。 しかし、ヴィラヌエバ、バイナム、メイといった予想以上に高い評価を受けた選手 達の指名が続くごとにインディアナフロントはドンドン期待に胸を膨らませた。 ☆バード 「息を殺して、次こそグランジャーなんじゃないかと思っていたよ」 しかし、グランジャーが16位までに指名されることはなかった。 グランジャーを指名することに誰も異を唱えなかった。 ☆バード 「まさか彼がこんなとこまで・・・」 誰もがそのことを信じることができなかった。 ESPNのドラフト担当チャド・フォードは、インディアナペイサーズがドラフトで ビッグスティールをしたと書いた。 では、なぜグランジャーはここまで・・・? 一つ可能性がある。 彼は3年生のシーズン後に肩の手術をしている。 その後、このドラフトの6ヶ月前にも怪我をしている。 怪我がちな選手という評価なのだろうか? それはあるかもしれない。 でなければ、ここまで落ちてこなかっただろう。 バードはグランジャーを指名できると感じた時、1998年のドラフトを思い出したという。 トップ5で指名されるといわれたポール・ピアースは10位指名まで落ちてきた。 グランジャーはインディアナに必要な多くのものを供給できるだろう。 SGに層を。 SFでロン・アーテストのリザーブ。 PFでジャーメインのリザーブ。 彼の存在はバードにさまざまな動きを柔軟にさせるだろう。 ☆バード 「まだなにもしていないが、したいことがいくつかあるんだ」 「2つのポジションを固めることが出来たので、いろいろな策を講じることが できるね」 グランジャーの加入で、インディアナの豊富な人材の中でさらなる人材が加入した だけでなく、チームに安定をもたらすだろう。 いい時はとことんいいが、突然崩れるチームでもある。 アーテスト、ジャクソン、ティンズリーは面白い組み合わせだが、いつも安定して いる訳ではない。 グランジャーはフォークリフトの修理工をしている父親とともにインディアナポリスに 来るだろう。 グランジャーが選ばれたとき、ESPNのアナリストのグレグ・アントニーはスコッティー ピッペンの名前を使用したが、カーライルは過去の選手と比較するつもりはない。 ピペンではないかもしれないが、ピペンのような力強さ、そしてプリンスをパワフルにした タイプともいわれる。 カーライルはグランジャーのポジションについて尋ねられ、こう答えた。 「コートの上さ」 今回のことは1パーセントの可能性だった。 起こるべきことでなかったのかもしれない。 しかし、起きてしまった。 信じられないような不幸な事件の後、インディアナはいまだかつてない成功ドラフト かもしれない。 結果は少したってからまとう。