◎「未来のスーパーデュオ・ハリントン&ベンダー」 ジョナサン・ベンダーとアル・ハリントンに、ヘッドコーチ ラリーバードはチームの未来を見ている。 もしかすると、リーグの未来を見ているかもしれない。 フェリックスとオスカー、ヒューストンとスプリ−ウェル、 クラウスとジョーダン・・・。 今、インディアナペイサーズには実に興味深い成長株が2人 いる。 18歳のジョナサン・ベンダーと19歳のアル・ハリントンだ。 インディアナは2人のティーンエージャーにチームの未来を託している。 ☆ラリー・バード 「今シーズン、来シーズンには目が出てこないかもしれない」 「しかし、彼らはいつかチームの強力な武器になる日がやっ てくるだろう」 「彼らはリーグの新しいデュオになれるチャンスがあるはずだ」 「タイプが異なる選手だから、そういうのは少しおかしな気も するけどね」 ミシシッピー州の人口1万2000人の町からやってきたベンダー は、おとなしくて、シャイな少年だ。 一方、ニューヨークの郊外で育ったハリントンは、生意気で虚勢 のはった少年でまったくタイプが異なる。 ☆バード 「しかし、コートに出ると共に将来性を感じさせる選手だよ」 「自分たちの能力をちゃんと伸ばせば、共に素晴らしい選手に なるだろう」 インディアナはジョナサン・ベンダーを獲得するために大きな賭けを した。 高校クラスの選手のために主力のアントニオ・デイビスを売り渡した。 目先のことでなく、チームの未来を見据えた行動だった。 ☆ハリントン 「俺がそれを聞いたとき、俺とジョナサンはしばらく一緒にやっていか なくちゃいけないと思ったね」 「俺も全然NBAは長くないけど、ジョナサンよりは経験がある」 「今まで学んだことを彼と分かち合おうと思った」 「なんでも教えてやろうと思ったよ」 「2人にプラスになるように・・・」 「だから、コーチが俺に『2人の関係はチームの未来にとって重要だぞ』 なんていう必要はこれっぽっちもないのさ」 「そんなこといわなくてもわかっているからね」 ☆ベンダー 「初めてあったのは、ハワイでのビックマンキャンプの時」 「それ以来、いつも僕は彼に色々なことを聞いてばっか だから、アルはうんざりしているだろうね」 〓〓〓〓〓〓〓〓〓 バードは、ハリントンの未来を疑問視していた。 バードの、とある一言がハリントンに火をつけた。 ☆ハリントン 「バードはベストシェイプで来るように望んでいたから、『ベス トシェイプで戻ってくる』とバードに言ったよ」 「そして『バードほどのプレーはできないだろうけど、もっと 使ってくれ』っていったんだ」 ハリントンの成長は多くの苦しみから生まれた。 ルーキーシーズン、彼は平均たった8分に終わり、プレー オフロースターからも外された。 ☆ハリントン 「NBAでいきなり挫折を味わったよ」 「シーズン終盤はいいプレーできていると思ってたし、プレー オフには出られるもんだと思ってた・・・」 「夏中、練習にあけくれ、プレーオフに出られない理由を考えた」 「そしたら、エネルギッシュなプレーができるようになったんだ」 2年目のシーズン、ハリントンは4試合で、ルーキーシーズンの 合計得点45を上回る56点を挙げた。 その活躍は、いつもポーカーフェイスを崩さないバードの笑顔を 誘った。 ☆バード 「アルは、プロになったね」 「去年までは、高校生のように走りまわっていただけなのにね」 「私は、『彼にCBAでプレーした方がいいんじゃないか』ともいって いたんだけどね 〓〓〓〓〓〓〓〓〓 ベンダーは、ハリントンなどの助言や会話をありがたく感じている。 高校卒のルーキーの考えることは、NBAで長年やってきた選手と 全く異なるからだ。 ☆ベンダー 「いつも僕は、バスケは楽しいものだと思ってプレーしてた」 「アルや他のみんなは、僕にバスケはビジネスだと教えてくれた」 「バスケはビジネスだとは理解したけど、それでもいつも笑顔で プレーできればいいなと思うんだ」 ☆ベンダー 「みんな、アルと僕は未来を担う選手だという」 「でも、僕は『その未来は今だよ』っていってるんだ」 「僕は今年、サイドラインに座っている僕らを想像できないんだ」 「僕はチームが目指すことに貢献できると思っているよ」 ベンダーの計画は、トレーニングキャンプ中の手首骨折でダメに なってしまうが・・・。 ☆バード 「ジョナサンは大きいし、優れた能力がある」 「経験さえついて、ハリントンのように努力すれば、優れた選手 になるだろう」 しかし、厳しい練習が彼のシャイぶりを治すことは出来ないだろう。 彼は類稀な才能とうらはらにちょっぴりシャイな一面を持つ。 無名の高校から来た彼は、サマーキャンプも地元にしたほどだ。 しかし、それなりの自信はもってNBAにやってきた。 ☆ベンダー 「できることはわかっているよ」 「他の人々は僕がNBAに上がるのは時期尚早だと思って いた」 「でも、僕はそんなことないと思った」 「僕ができることはわかっているんだ」 「僕はそれを今示さなくてはならない。 〓〓〓〓〓〓〓〓〓 将来を担う2人といわれているが、2人は性格だけでなく、プレー タイプも異なる選手だ。 ☆バード 「アルはローポストプレーヤーだが、点が取れるように一生 懸命シュート練習をしている」 「シュート力はジョナサンの魅力だ」 「あのサイズで、あれだけのシュート力をもった選手を見たこ とがない」 ☆ハリントン 「俺達は互いにうまく補いあえるんだよ」 「ジョナサンのシュートレンジの広さが相手のディフェンスを リングの下から遠ざけるだろ?」 「そうすると、俺が働く場所が広がるんだ」 ☆ベンダー 「そうなるといいね」 「なんどかアルとプレーしているけど、彼の存在が守備陣を ひきつけるから、シューターにとってはありがたいんだよ」 ラリー・バードもそれを期待しているだろう。 終わり