テキサス・ポートアーサーのコンクリートの中 で、ジャクソンは家族と友人と支えあって成長 してきた。 理由はなんにしろ、争いが起きる時、単純明快 なものだった。 たとえば、ジャクソンが高校生の時、チームメー トのアイザック・ワシントンと5マイル離れた 見知らぬ場所で試合をしていたときのことである。 次の試合要求が受け入れられなかったため、 口論が始まる。 ワシントンは地元のファンに囲まれてしまった。 ジャクソンはすぐにその輪に飛び込み乱闘に 参加した。 結局、ジャクソン達は擦り傷だらけで 地元に戻ることになるが、プライド だけは守られた。 また誰かにジャクソンの叔父が銃で打たれたこと もあったが、その時、叔母は、ライトバンに飛び 乗り、ライフルをもって打った男を捜しにいった ほどだ。 ポートアーサーというところは、かなり多くの トラブルがある町であることはいうまでもない だろう。 「そこで俺のメンタリティーは成長したんだ」 「俺の友人も同じさ」 「どこかに行く時はいつも一緒さ」 「もし友達になにかあれば、どんな時だって 俺はいくよ」 とジャクソンはいう。 昨シーズンのアーテストがスタンドの客と乱闘 した時にジャクソンが飛び込んだ理由もここで 説明がつくだろう。 ジャクソンはチームメートを守るつもりだった。 しかし、大騒動になり、コップがアーテストに 投げつけられ、アーテストがスタンドに入り、 ファンが殺到するのを見て、ジャクソンも 飛び込み、パンチを放ってしまう。 それにより、30試合の出場停止という結果に なり、コメンテーターで彼を「凶悪犯」のよう に扱うものも少なくなかった ワシントンもアーテストもジャクソンにとって は親友であり、なんの違いもない。 ☆ジャクソン 「誰かがいけば、俺たちみんないくよ」 「親友になんかあれば、家族のように扱うつもりさ」 目に見えないところでジャクソンの矛盾の詳細を 示すものもある。 彼は非常に感情的で、闘争的であるが、一方で、 柔順で正直な人間でもある。 ファンは試合においても彼の二つの側面をみる ことができる。 ある日に30点あげたと思えば、審判のファール コールにキレたり、終盤の重要な時間にベンチに 下げられて、カーライルと口論することもある。 と思えば、そんな試合後に笑いながら仲間や報道 陣とジョークをいっていたりもする。 ☆ポラード 「彼は誰とでも上手くやってるよ」 「それだけは間違いないね」 「ジャクソンを嫌っている奴なんてこのチーム にはいないよ」 「波はある奴だけど、みんな同じように思って いるはずさ」 「感情的な男で、突然間違ったことをしちゃう けど、なんの問題もないよ」 ジャクソンは母子家庭に育った。 弟ドニーと姉ビアンカとともに。 母親は女手一つで深夜の製油所での仕事で子供 達を養った。 ジャクソンは、実の父とはほとんど接触がなかった。 3歳の時からいた継父は強盗と麻薬で、13歳 の時に逮捕され、13年間牢獄生活を送っていた。 ジャクソンは継父の釈放のために、仮釈放観察 委員会に手紙を送り、家族に迎えたが、彼はすぐに 麻薬に陥り、所在がわからなくなった。 ジャクソンは酒やタバコ、授業をサボることも しばしばあり、何度か喧嘩の微罪で牢屋にも入った。 ポートアーサーの悪い影響を受けつつ、夜もあまり 眠れない日々があった。 日々夢の中に悪魔が出てきて、うなされて起きる ことがしばしばだったという。 そしてついに、とあるメッセージを受け取る。 ☆ジャクソン 「神が俺に話しかけてきたんだ」 「こんな生活から抜け出すんだって」 「聖書にも書いてある『母と父を尊敬すれば、 人生はより意義あるものになる』と」 「一旦俺がそうすれば、よりよい人生を始める ことができ、悪夢から解放される」っていうんだ。」 ○家族計画 ジャクソンは家族の結束をより高めることをしばしば 行ってきた。 ポートアーサーに母のために家を建て、ビアンカは 彼らが育った家に住んでいる。 高校の時に売り払っていたが、ジャクソンは感傷的な 理由で購入し、家族でその家を残しておこうと思って いる。 彼の腕に彫られた「3200」というのは、ストリー トアドレスである。 また祖母のためにも家を購入している。 ハリケーン・リタに襲われた時は2台の飛行機をチャ ーターし、30人にも渡る親族をインディアナまで 運んだ。 親族で彼の自宅の6部屋はいっぱいになり、自分を 育ててくれた人々に感謝の意を示した。 ポートアーサーにいた頃から必ず教会に通っている 彼らにとって、教会はなくてはならないものだった。 地下にセットを用意し、祖母が説教を行い、甥も姪も みなで聖書を読み、よりリアリティーを出すために、 ジャクソンはスーツを着た。 ☆ジャクソン 「素晴らしい試みだったよ」 「教会は必要なものだからね」 ただジャクソンの友人愛は少しいきすぎな点もある。 昨年まで9人の友人を住まわせていたが、母親に促されて、 従兄弟のマーロンだけにした。 ☆ジュディエッテ(母親) 「いつも友人といたがるの」 「でも、人は自分で生きていかなくてはならない」 「ジャクソン自体の部屋すらなくなっていたぐらい なんだから」 ジャクソンには6人の子供がいる。 3人の母親に1人の継子もいる。 3人はテキサスに住み、2人と1人の継子はフィ アンセとともにアトランタで暮らし、1人は ロンドンに暮らしている。 そして最近、ステファンJrが産まれた。 ジャクソンは最後の子供だというが・・・ ☆ジャクソン 「俺が引退する時にはたくさんしなくちゃいけ ないことがあるだろうね」 婚約者のメリッサと昨夏にヒューストンで 結婚式を挙げる予定だったが、親戚と友人が あまりに多すぎたり、様々な理由でキャンセルに なった。 ☆ジャクソン 「4,5日メシが喉を通らなかった」 「2人とも傷ついていた」 「もっと専門的にやるべきだった」 「もっと互いに信用してやるべきだった」 この夏、結婚する予定だ。 今度はより少ない友人と親戚で行う予定だ。 結婚式の大小はともかく、結婚後は一緒にいる予定である。