みんなスミッツが好きだった。 無駄なファールは多いし、リバウンドも獲れないし、プレーも軟弱だった けど。 ファンも選手もコーチも、私達も。 でも、よく新聞で"Reek'' Smitsと書かれてたし、私もニックス戦の彼の 低調ぶりをみて、"Brick Mits'' なんていう嘲笑をした。 「あれは最低だったよ、たとえ貴方でもね」 スミッツは後に私にこういっていた。 しかし、スミッツは私のぶしつけな質問にも答えつづけてくれる真摯な男 である。 彼は、今年のファイナルで負けた原因といわれた。 彼のフックシュートがチームを助けられなかったが故に。 いま思い出してみると、私達はスミッツが出来ることに理解を示す前に、 出来ないことに対してばかり目をむけていたんだろう。 スミッツはいいやつだ。 しかし、みんなが思っている以上にプライドのある選手だった。 それが思うようなプレーを出来ない彼を引退に突き動かしたのだろう。 確かにスミッツには弱点が多かったが、レジー同様にインディアナに居続 けてくれ、私達に多くのエキサイティングな瞬間を与えてくれた。 いま、彼はいなくなってしまったが、私の中では、彼がいたときよりも、 彼の価値を高める引退になると感じている・・。