ウォルシュやダニエルズがジョークで「変人」と呼ぶ選手 がいる。 ジェフ・フォスターだ。 一見、そんな風には見えない。 しかし、それを示す証拠はある。 高校時代にサッカーもしていたフォスターは、接戦での終 盤に味方ゴール側で、突然相手の選手に突進し、殴りか かり、ファールをしかけた。 いうまでもないことだが、父親の教えるチームでバスケを していたフォスターは、バスケ同様、時間を止めるために ファールをしかけたのである。 (サッカーでは、ファールをしても時間は止まらない) ☆フォスター 「時間が止まるもんだと思って飛びかかった」 「でも、(相手に飛びかかったのは)少し感情的になってた こともあるよ」 「だから、あんまり自分が変な奴だとは感じたことないよ」 ================ 変かどうかはともかくとして、フォスターはインディアナに 欠かせない要素を持った人間である。 ☆アイザイア 「彼は接着剤みたいなもんなんだ」 「チームの全てをつなぎとめられる人間なんだよ」 「リバウンドも取れるし、スクリーンも上手く作れ、 もっともオフェンシブな選手だよ」 フォスターが優れるものは類稀なる身体能力である。 6?11、240ポンドの体にも関わらず、フリースローラインか ら飛び、ダンクを決められるほどだ。 足もチームで1、2を争うスピードで、フットワークも軽快だ。 しかし、より優れるものは、彼の試合に対する態度である。 ☆フォスター 「いつも勝たなくちゃいけない」 「たとえそれが華麗でなくても、勝つためなら構わない」 「勝つのに、華麗さはいらないんだ」 ================ フォスターの経歴もプレー同様、決して華麗なものでない。 父も母もプロ選手ではあったが、フォスターは高校3年まで補 欠だった。 2年生だったにも関わらず、2年生チームでなく、1年生チーム のレギュラーとしてプレーさせ、また父であり、コーチであった ステファン・フォスターは、息子に点を取ることを諦めさせ、リバ ウンドを取ることに専念させた。 そして3年になり、フォスターはチームのレギュラーとなり、6?9 まで伸びた身長を武器に、その地域のリバウンド王となった。 しかし、有名大学からのオファーはまったくなかった。 他のテキサス州の大学を考えていたフォスターだったが、違う高 校のコーチの紹介で、サウスウェストテキサス大に奨学金で進む ことができた。 大学1年目こそ、3,2点、4,6Rといった内容だったが、2年目か ら大きな変化があった。 フォスターは、いつもエリア・ホブリーという20代半ばの海軍経験 4年を持つチームメートとマッチアップ練習をしていた。 身長こそ6−5しかない選手だったが、250ポンドとフォスターより もはるかにガタイのいい人間である。 ☆フォスター 「いつも彼との対戦では後ずさりするしかなかった」 「それをきっかけに段々とウェイトをつけ、彼に対抗できるようにな った」 「そして、どんどんよくなっていったんだ」 ☆ステファン・フォスター(父) 「当初、大学のコーチがジェフが消えている時間が多いといってい た」 「確かに、時々消えていることが多かった」 「しかしホブリーに勝てるようになってから、彼は誰かがスイッチを いれたかのように違う人間になっていたんだ」 フォスターは大学3年次にカンファレンスのリバウンド王になり、大 学4年次には、全米3位のリバウンドを獲得した。 フォスターのアグレッシブさは、いつのまにかNBAドラフトの1巡目 ピック候補になるまでに、彼を押し上げていた。 しかし、フォスターはリバウンドにこだわらせた過去があるために オフェンスのバランス作りの面で荒さが残る。 リバウンドに集中するあまり、逆にチームの攻撃に悪影響を与えて しまうのだ。 これから彼がすべきことは、相手ディフェンダーをひきつけ、チーム メートがペネトレイトしやすいような環境を作ることである。 ☆フォスター 「俺がうまくスペースを作れば、チームの仲間の助けになるとわか った」 「リバウンドも、こだわりすぎなくとも、タイミングさえあればオフェン スリバウンドはとれるはずなんだ」