○待った甲斐 ドラフトが始まり、ロッタリービックが終わり、段々と指名が続いて いくと、ドン・ネルソンはどんどん好奇心が募っていった。 彼には、自分のスター選手だらけのチームですぐに貢献できると 思える選手がいた。 しかし問題があった。 ネルソンのチームは1巡目最後の29位指名権しかなかった。 そこまで落ちてくるかわからないために。 ☆ネルソンHC 「12位か14位で消えると思っていた」 「私がその位置にいれば、獲得していた」 だが、彼のチームの指名まで残っていた。 神の恵みか、ネルソンが無我夢中になったことはいうまでも ない。 ☆ネルソン 「幸せだった」 ダラスは指名をするのに時間をかけることはなかった。 すぐに6−7のスウィングマン、ジョシュ・ハワードの交渉権 を獲得した。 アトランティックコーストカンファレンスのプレイヤーオブイヤー。 ☆ネルソン 「私は彼にウチが君を指名できたら、スターターにしたいぐらい の気持ちがあると伝えていた」 「チームにはSFが欠けていたから、彼がそのスポットを埋める 選手だと思っていた」 しかしダラスはもう1人の経験と能力を持った選手を獲得する ことになる。 ゴールデンステイトのアントワン・ジェイミソンである。 ジェイミソンはダラスの優勝に必要な選手であった。 ジェイミソンがくれば、ハワードはベンチに行くことになるだろう。 ピンチの時だけ必要になる。 とはいえ、ハワードがそのトレードに不満がある訳ではない。 ☆ハワード 「ダラスに指名されることすら、期待してなかった」 「多くの活躍できるベテラン選手がいるチームだと思っている」 「彼らから色々学ぶことができると思う」 「ダラスが強くなればいい」 「俺は1巡目で選ばれるという自分の夢を果たすことができた」 さらに大きな夢であるスターターとしてプレーするのは難しい ように思われていた。 しかしそれは起こった。 ダラスのスターター、フィンリーが怪我で消えた。 ネルソンはすぐにハワードを登用する。 最初のスターターのレイカーズ戦、44分プレーし、17点13R のダブルダブルの活躍を果たす。 ☆ネルソン 「ジョシュがこれぐらいやれることになんの驚きもない」 「彼はウチが獲得する以前からいい選手だったからね」 「彼はアトランティックコーストカンファレンスの年間最優秀選手 なんだ」 「悪いはずがないだろう」 「素晴らしい選手だよ」 「彼の全てに好感を持っている」 ネルソンだけが彼に好感を持っていた訳ではない。 ミルウォーキーのHC、テリー・ポーターもそう感じていた。 ☆ポーター 「トップ10に入るチームで活躍できるルーキーなんて稀である」 「彼は非常に活動的で素晴らしい選手である」 「守備もよくするしね」 「欠点が見当たらないオールラウンダーである」 「いい選手になるだろうね」 同じくミルウォーキーのデモン・ジョーンズもハワードにより 強い印象を受けた。 今年のダラスの指名はビックスティールだという。 ☆ジョーンズ 「彼は今年のポールピアースだね」 「ピアースは10位指名だったが、もっと高くていい選手だった」 「ハワードは1巡目よりももっともっと高くてよかった」 「スーパースターだらけのチームで貢献している」 「彼には大きな可能性を感じるよ」 もちろんハワードもプロとして長くやっていきたい。 しかし今後についてよりも、今のダラスのために頑張りたいと いう。 ネルソンが必要とすれば、喜んでなんでもするという。 ☆ハワード 「今の重要なことは学ぶことなんだ」 「今はプレーして色々ミスを修正していくことが必要なんだ」 「今、こうやっていられることに驚きを感じるよ」 今のところ、ハワードの人生は上手くいっている。 ときどきピンチもあるだろう。 NBAのベストプレイヤー達と一緒にプレーすることで色々 苦労もあるかもしれない。 ☆ハワード 「高校生の時から見てあこがれていた選手達とプレーできるなんて 信じられない経験だよ」 「時々、自分のパンツにNBAのロゴがついているのかとか確認 してしまうくらいさ」 「本当に夢がかなったんだね」