○ベイビーシャックと呼ばないで 残り6秒。 ジュニア欧州選手権SF。 ギリシアはソフォクリス・スコルトサニティスの2本のフリースロー に試合の結果をゆだねることになった。 誰も2本とも決めることを期待していなかった。 しかし彼は決めた。 彼はシャックではなかった・・・彼はシャックが好きになりたく なかったから。 結局、ミシガン州の1年生エラゼム・ローベックのブザービーター でスロベニアに負けた。 ソフォクリスは怒り、椅子を壊し、何度も壁をたたきつけた。 彼ほどのフィジカルコンディションを備えた欧州選手を思い出すの は難しいであろう。 しかしただの野獣ではない。 ボールを上手く扱え、それを証明できる。 ○どのように始まったか。 ソフォクリスは一般的なギリシア人の少年とは違った。 ソフォクリスはカメルーン生まれでカメルーン人の母親を持つ。 父はギリシアのエンジニアでソフォクリスが2歳のときに、 カメルーンの政治情勢が不安になったために、ギリシアに戻って きた。 ソフォクリスはギリシアの小さな町で育ち、比較的早い段階で 地元のチームに加入した。 そしてAEK・PEOK・イラクリスの3大チームから興味を 示されるようになった。 そしてイラクリスと契約を結び、この世代の最高の選手と呼ばれる ようになっていった。 彼は特に成熟しているという訳ではないが、賢い選手である。 ☆ソフォクリス 「全てが本当に大変だ」 「欧州最高のジュニアの1人であることを証明しなくてはならない からね」 「僕の目標はチームが勝っていても負けていても、チームをひっぱ っていくこと」 「たとえ僕のことを人がどう話そうとね」 ソフォクリスは15歳でギリシアリーグに参加した最年少選手で あったがゆえに、多くのバスケファンの注目の的である。 ☆ソフォクリス 「コーチにすぐにプレーさせるつもりだといわれた」 「俺も準備できていたけどね」 試合後、コーチ・エリアス・アルメニスはソフォクリスは2004 年の五輪にソフォクリスがプレーするだろうとコメントした。 ○完全なコンビネーション アフリカのバスケが欧州のような知識によるものでなく、身体能力 を生かしたものであるので、なかなか発展はしない。 しかしソフォクリスはその2つを兼ね備える。 ☆ソフォクリス 「みんなが僕はアフリカ人の身体と欧州の頭脳を持つ選手だと いう」 「僕が完璧なコンビネーションを持っているのかはわかんない けどね」 「まぁコーチに聞いてみてよ」 実際、彼は基礎面は既に学んでいる。 ソフォクリスはダブルチームにくれば、周りの選手にいいパスを 出せる。 無理はしないし、リングを背にしてのプレーもできる。 いいポジションにあれば、ダンクにもいく。 ☆ソフォクリス 「バスケは非常にフィジカルなゲームだと思うが、もっとも重要 なのは頭なんだ」 「チェスのようなゲームといえるね」 「敵より早く的確な行動をしなくてはいけないスポーツだよ」 ○シャックに好感はない 元同僚のトニー・ファーマーは彼にベイビーシャックというあだ名 をつけた。 しかしソフォクリスはその名前が好きではない。 ☆ソフォクリス 「シャックは素晴らしい選手だけど、彼は基本的にフィジカルな 選手である」 「彼が素晴らしいアシストを出したのを見たことがない」 「僕はティムダンカンが好きだね」 「でも、僕の憧れはデヴィット・ロビンソンやパトリック・ユー イング、そしてなによりもアキーム・オラジュワン・・・」 「彼のフットワーク、メンタリティー・・・」 「ベイビーシャックという名前を出さずに僕の話をしてほしいね」 ○未来 欧州人選手がNBAに行くのは数年前に比べればずっと楽になった。 多くのスカウトがすでにソフォクリスに興味を抱き、彼の身長に 疑念を抱いているが、本人はNBAでプレーしたいという気持ちが 大きい。 ☆ソフォクリス 「欧州のトップ選手になりたいけど、やっぱりNBAでやりたい」 「僕ぐらいの年齢の子はみんなそう思っている」 「一生懸命やらなくちゃいけないし、運も必要だと思うけどね」 ソフォクリスは奇しくも憧れの選手達とプレーすることはないだろう。 しかし、彼の他の憧れの選手とプレーする機会は得られるはずだ。 ☆ソフォクリス 「ガソル、パーカー、ノヴィツキー・・・」 「彼らみんな色々できる」 「でも、ページャだね」 「NBAについて彼と話したけど、彼は僕がNBAでプレーすること は素晴らしい経験になるといってくれた」 ソフォクリスについて語るとき、モックドラフトサイトにおいて、 2004年のトップ5で消える選手といわれている。 それについて彼に語ると笑顔でこう答えた。 ☆ソフォクリス 「そのサイトは知らないけど、素晴らしい扱いだね」 「5位以内で指名されたら、本当にうれしいよ」 「でも、15位とか17位でもかまわない」 「本当に5位以内とか評価されてるのかい?」 「うれしいな」 ソフォクリスのプレーを見たことがある人は彼の闘争心を理解 している。 その闘争心を生かしていけば、彼はどんどん高いレベルにいく だろう。 ☆ソフォクリス 「いつも一番になりたいんだ」 「僕とアメリカ人の子供の違いはあるだろうけど、僕がちゃんと やれば、プレーを見ている人が印象に残るようなプレーができる と思っている」 すでに見た我々は印象に残っている。 NBAでインパクトを残すにはかなり頑張る必要があるが、彼は それをできる選手であろう。