祐巳とみきが向かうのは小さな社。
普通に授業が行われているはずの平日。
二人は学園を遠く離れた山梨の山中を歩いている。
振り返ればまだ木々の間から二人で乗ってきた車が見える。
国道の何もない路肩に停めてここまで昇ってきたのだ。
毎年のことだが、祐巳にとって今年は特に憂鬱だ。
「お母さん、今年は取りやめるってことはできないよね」
「体調、悪いの?」
「そんなことはないけれど」
「巳年じゃないからそんなに畏まらなくても。生理とかは大丈夫なんでしょ」
ちょっと前に終わったところって何度も言ってるのに。
でも初潮を迎えまだ周期が不順な頃の年は。
初等部なのに産婦人科でピルを処方してもらったりもした。
みきはごめんねと何度も謝って、それでも服用を続けさせた。
あのときは気持ち悪くて苦しかったなぁ、とぼんやり思い出す。
無言でもう少し山道を登ると今年も同じ光景が二人を迎えた。
小さな社。しかし外観も中も綺麗に掃除されている。
それはこの日のためだけでなく普段からきちんと管理されている証。
岩壁からわき出す清水が手水の代り。
手を洗い口を濯ぎ少しばかりの雫を頭と身体に飛ばして濡らす。
髪とコートでころころと光を浴びた水滴が転がる。
そうして身を清めてから社に入る。
社に入り二人は全ての着衣を脱ぐ。
「あ、ロザリオをかけたままだった」
大丈夫かなと母の方へふりむくと、すぐ側の母の白い肌に驚く。
「大丈夫。それより今年もリボンをはずすの忘れているわよ」
薄暗い社、幼い裸体に寄り添うやわらかな大人のそれ。
祐巳の髪はおろされてゆく。
既に儀式を施した装束に着替える。
真っ白な衣に緋色の袴。
糊は利かせていないがよく火のしされている。
街中の神社で正月にみるようなものよりもっと質素な印象を受ける。
そうして二人は祭壇に向かい正座する。
それは小さな社にしても余りに簡素な祭壇。
なにせ白木の台の上に神鏡と神楽鈴があるだけ。
みきはその鈴を手にし後ろに下がる。
強く、弱く。強く、弱く。小気味よく鳴らし始める。
そのうちに鈴の音に日本語であるようでないようなつぶやきが混ざり始める。
祝部の家だけに伝わる祝詞。
口伝ではあるが毎年聞かされているうち祐巳も途中までは覚えてしまっている。
いつの間にか祐巳の体温が上がり肌が総毛立っている。
身体が火照りだし、祭事の始まりを知る。
膝を開き、袴の脇から手を股間へと差し込む。
膣口に指が届く前に粘液が溢れている感触が伝わる。
その粘液を人差し指、中指、薬指で掬って陰核に塗り込めながら身体を後ろに倒してゆく。
視界にはないが頭上斜め上からみきの祝詞が聞こえる。
母の見ている前でと思いながらも我慢できず、包皮と陰核をこすり始める。
神を乙女に降ろしその身体を奉納する。自涜ではない。
毎年この時期に繰り返される神事はこうして始まる。
母から語られたことはないがおそらく赤ん坊の時からなんだろう。
少なくとも物心ついた頃にはもうこうしていた。
幼い頃は母に背中から抱きしめられながら、母の指で。
その頃は繰り返される祝詞がなんだか恐ろしくて、でもものすごく気持ちよくて。
そのうち自意識が成立し出す頃に祝部の役目を教わり。
一人で、自分の指でするようになった。
いつの間にか仰向けだった姿勢はうつぶせになっていた。
頬は床に着け、涎で汚れている。
尻を持ち上げ、両手は袴の中に。
右手の指で陰核を擦りながら左手の指で膣口を弄ぶ。
膣口の指を激しく動かすたび、袴越しなのにびちゃびちゃと音をたてる。
その音は、毎年のことなんだ、と開き直るには恥ずかしすぎる。
粘液の量と濃さを増しているようだ。
みきの声も震えがちになる。
祝詞はみきの身体にも耐え難い影響を与えている。
みきももう袴にまで愛液が浸みてくるほど濡れている。
祐巳が生まれるまではみきが巫であったし今では男との愉悦も知っている。
しかし詠唱を止めるわけにもいかないし、処女以外が身体を奉納するわけにはいかない。
我が子の狂乱を前に自らの中の淫蛇を必死で押さえ込む。
これは、マズイ。
意識を失いそうなほどの快楽の中で祐巳は動揺を覚える。
予感はしていた、だからこそ今年は不安だった、それでも。
いつもは神に身を任せ、母の前であることすら忘れて、ひたすら悦楽に浸る。
それはぽっかりと白く何もない無限大の空間のような快楽。
白い光が穴という穴全て、毛穴に至るまで入り込み満たされてゆくような感覚。
しかし今年は・・・どうしても祥子という具体的な対象が現れてしまうのだ。
白い光のようなものがいつのまにか祥子の姿にすり変わってしまう。
このままでは神事はどうなってしまうのか、祐巳には予想も付かない。
焦りの中で指使いが激しさを増してしまう。嬌声が大きくなる。
指をもっと沈めてしまいそうにそうになる。
そんなにしてもなお、祥子の存在がふくれあがってゆく。
マズイ、マズイ、マズイ!
今までになかった快感と未体験の恐怖が同時に押し寄せてくる。
ダメだ、ちゃんと神様が降りてこられないよぉっ!
!
みきの裂帛。
同時に祐巳は甲高い声と共に絶頂を迎え、意識は白い世界に飛んだ。
祐巳が意識を取り戻すと涙と鼻水が止まらなくてぐずぐずになっていた。
失禁してしまい袴が愛液と小水でぐしゃぐしゃだった。
まだ股間に火照りがあるのを感じながら半身を起こす。
みきは神鏡を手に祐巳を守るように寄り添っていた。
「そうだ!お母さん!」
「大丈夫。強い力がかかる巳年だったらダメだったかもしれないけれど」
「・・・よかった、、どうなるかと思った、、」
「御神鏡が常世の国との間のブレーカーになってくれたから。ほら見て」
神鏡の曇りを示す。
何かをかたどっているように見える。
「この影、祐巳の部屋に飾ってあるお姉様の姿に似てない?」
「そそそそそんなことない、ない!」
必死で否定する祐巳から視線をはずし、みきはもう一度神鏡の曇りを見て思う。
来年のためになにかしなきゃいけないかしら。
それにしても。
親子って、、好みも似てくるのかしら。
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