正門からマリア様の像まで向かう並木道の途中。
もうお祈りをされているお姉さまを発見する。
駆け寄りたいけれど、はしたないってたしなめられそうだから。
ちょっと早足に。
あ、お祈りを終えられてしまった。
それなのにまだお声をかけるには距離がある。
鞄を脇から手に提げられ。
まだ遠い。
ポニーテールが揺れて。
もう少し。
学舎に向かい歩みだされる。
あとちょっと。
そして私はマリア様の前。
ごめんなさい、マリア様、ちょっと急いでいるんです。
そそくさとすませお姉さまを探す、と。

お姉さまは見知らぬ子と話していた。
何かを渡し、離れていく生徒。
ポケットにしまわれる何か。
そのときのお姉さまの笑顔に、足が止まる。
早足はもうできなくなってしまう。
その笑顔は、その笑顔は。
わたしだけの筈の微笑みだったから。
お姉さまは昇降口に消えられた。


お姉さまを信じてる。
お姉さまがロサキネンシスのためにいろいろ為されていたということ。
もうそんなことはしないっておっしゃったけれど。
でもお姉さまは何度も、何度も。
それはわたしを助けるために。
悲しいことだけれど、だからこそ。
そんなお姉さまを信じたい。

今まとめている記事といえば。
まず学食アンケート。
メニューのどれがが好きですか?
あなたのおすすめはありますか?
リクエストはありますか?
等々。

それから学園内のデートスポット。
ミルクホールや図書館や。いくつかある庭園、並木道。
それからみんなが知らないとっておきも。
もうちょっと取材すればこの記事は完成。

そしてこれから取りかかるのは美術部の二年生。
彼女の作品は市の優秀賞を受賞し、都のコンクールに参加されるという。
その前に開かれる市の展覧会までに記事にして。
展覧会をリリアン生でいっぱいにしたい。


食堂で祐巳さんと待ち合わせ。
祐巳さんにアンケート結果を報告。
ついでに山百合会の方々の分のアンケートも回収。
実はこのアンケートは祐巳さんのアイディア。
祐巳さんは聖様のお気に入りだったというマスタードタラモサンドを存続させるため。
わざわざ辛いのを我慢して!時々買って食べているのだという。
もし遊びに来てくれたとき。
無くなっていたらさびしいだろうから、って。
少し辛いのにも慣れてきたよ、って。

話しているうちに言葉が途切れる。
祐巳さんの肩越しに、お姉さまを発見する。

食堂の隅のテーブルで。
朝のあの子と、一緒にいる。
彼女は笑っている。
お姉さまと笑っている。

あわてて祐巳さんに視線を戻す。
でも、遅い。
祐巳さんの瞳は心配そうに曇っていた。

どうかしたの?
なんでもない、じゃアンケートありがとうございました。みなさんにもよろしくお伝えください


そういって席を立つけど。
なんだか声が震えてた。
それからどこを歩いていたかわからないでいて。
気がつくとちょっと校舎から離れた、誰もいない場所にいた。
そこはわたしが見つけた、とっておき。
アンケートの入ったフォルダを胸に、ぎゅっと抱きしめて。
自分に言い聞かせる。

なんでもない。なんでもないんだ。
お姉さまを信じるんだ。

どこかで予鈴がなるまで、そう繰り返した。

美術部の二年生をインタビューしてきた部員が撮ったポートレイト。
それはお姉さまと一緒だったあの子だった。
その部員には他にどんな作品があるのか。
しして中等部、初等部の頃がどうだったか引き続き取材するようお願いし。
わたし自身も調べ始める。
それは、誰にも頼めないこと。
あの二年生が、どんな子なのかということ。
自分が情けなくなる。

美術部にいつもこもりっきりの地味な子だという。
でもポートレイトを見れば見るほど。
その瞳の奥には理性的な光を持ち。
引き締められた唇は自信に満ちている。


そんな彼女には今を含め三人の姉が。
三人。
一人目の妹のまま、自分から別の上級生にアプローチし契りを結び。
でも、二人目の姉は離れてゆき、まもなく三人目の今の姉に見初められたという。
その三人とも、薔薇様ほどではなくても、勉学部活動いずれも優秀と言って良い。
そんなお姉さま方にあこがれていた下級生達は言った。
すてきなお姉さまを得ても、すぐ別の姉に乗り換える。
泥棒猫、と。

お姉さまを、盗られる?
学園一のトラブルメーカー、こんな人を支えられるのは自分だけと思っていた。
でも本当は紅薔薇様の陰になり必死で頑張ってこられて。
それを隠し通してこられて。
そんなお姉さまが愛しくて、愛しくて。
もっともっと好きになって。

でも先日の中間試験で、首席をとられて。
お姉さまの本当の姿が少しだけれど皆も気付かれて。
そんなお姉さまに興味を持ち。
彼女の食指が、動いたの、なら。

イヤだ。
目を閉じると浮かぶヴィジョン。
イヤだ。
彼女は笑っている。
お姉さまと笑っている。
イヤだ。イヤだ。
わたし。
あの子に嫉妬してる、、、。


ワープロに向かう。
彼女の記事を書く。
彼女の優秀賞と今までの作品と。
それまでの活躍。
そして今のお姉さまがどんな良い影響を与えたかを。
そのお姉さまとどんなに仲がよいかを書き殴る。
デートスポットの記事も完成させる。
とっておきの場所もしっかり書き加える。
あなたには良いお姉さまがいる。
もうお似合いのお姉さまがいる。
すてきな場所も教えてあげる。
だから、だから。
いつまでもお幸せに。
だから、だから。
お姉さまを盗らないで。
わたしのお姉さまを盗らないで。

ちょっといつもと感じが違う紙面になる。
まとまっているけど、なにかいびつだ。
いびつなわたしが作った、いびつなかわらばん。
他の部員はいつものように完成を喜んでいる。
このかわらばんに込められた意図に誰も気付かない。
そうだ、誰も気付かない。
お姉さまだって。
お姉さまにだって気付かれっこない。

そのとき部室のドアが開いて。
お姉さまが現れる。


ごきげんよう〜
今日、版下完成よね〜読ませて、読ませて〜

一年生が渡した版下に目を通されるお姉さま。
その様子を見ないように、見ないように。
でも、目を背けようとしても、うまくできない。
だから視界に入ったお姉さまの表情が。
突然曇った瞬間も見えてしまった。

お姉さまは困っておられた。
目は悲しそうに。切なそうに。
そのお姿は逆にわたしのこころを苛ただせる。
なぜですか、どうしてですかお姉さま。

そしてお姉さまはおっしゃられた。

真美、この号はこのまま出せないわ。修正して欲しいところが、、、
イヤです!編集長は私です、このまま出します

わたしはつい、声を荒げてしまい。
お姉さまは驚かれながらも、わたしの表情を読まれている。
すべて見透かされそうなお姉さまのまなざしに負けまいとするわたし。
そしてお姉さまはわたしの堅い意志を知る。

編集長、では部長として。ここからこの号は私が編集し直します
!!


そしてわたしに。
真剣な口調で。

真美、あなたに話さなければならないことがあるわ。外へ出ましょう

遂に、来た。
負けない、絶対、彼女に負けない。

しばらくの歩みの後、着いたそこは、おきにいりの場所。
お姉さまも知っていたんだ、、、
こんなかたちで来たくはなかったけれど。
でもこの場所なら、わたしは戦える。
きっと戦える。

わたしのほうを振り返ったお姉さま。
わたしは制服の上からロザリオを握りしめる。
お姉さまから授かったロザリオ。
力を、わたしに力を。

返しません!絶対に返しません!誰にも、渡しません!

お姉さまはまた驚かれた。
一瞬の躊躇。でも、それだけでお姉さまにはわかってしまう。
その後、目を伏せ。
ゆっくりと、やさしく。
わたしに話し始めた。


私ってどうしても、あなたに心配をかけてしまうのね
あなたが思っているようなことはないわ
スールを解消することも、ロザリオを返してもらうことも。
まして別の誰かにそのロザリオをかけるなんて
彼女とはそんな関係じゃない

美術部の二年生の、良くない噂を聞いたのね
姉を渡り歩く、泥棒猫、とか
でも本当はね、最初の姉だった人は酷く嫉妬深かったのよ
何かと拘束しようとして、友人との時間も、作品に打ち込むべき時間も全て取り上げようとして
それで逃げ出して、別の上級生に助けを求めた
でも、最初の姉の執拗さにその二人目の姉も耐えられなくなってしまって
だけど、敢て三人目の姉になった今のお姉さまはね、私のことを知っていたのよ
わたしは最初の姉に、逆に鼻をつかんで引っ張り回しそうな妹をあてがってね
そして今のお姉さまの見守るなかであの子はすばらしい作品を作り上げることができた
自分のために火中の栗を拾ってくれたお姉さまのためにね

あ、え、、、でも、でも、記事の修正って、、

それは、この場所のことがかかれていたから

そういってお姉様は一面を見渡す。
ここは温室。
ロサキネンシスがつぼみのころ、バレンタイン企画でカードを隠された場所。


この場所はね。薔薇様やつぼみやその妹たちが悲しいとき、つらいときのための場所なの
祐巳さんも何度となくここを訪ねている
もちろん、山百合会の人でない涙も、沢山知っている場所なの
ここは騒がしくはしたくない、大切な場所なの

お姉さまのやるせないお顔。
そう、きっとお姉さまもこの場所で、幾度も、、

そのときのお礼にって彼女にもらったの、こんなものまでできるなんて手先が器用よね

そういってポケットからブローチを出された。
それはカメオになっていて、その図柄は少女の顔で。
それは私だった。

これはわたしにって。そしてこれはさっきもらったばかりのあなたの分

お姉さまの微笑みの彫られたカメオを受け取る。
お互いの両手の中にお互いの微笑み。
見上げればそこにもお互いの微笑み。
あのときのお姉さまの微笑みでさえ、本当はわたしに向けられていたのだった。


わたしは罰を受けている。
お姉さまはただの早とちりだからと言われるけれど。
わたしはお姉さまを疑った自分を許せなくて。
だから罰をせがんだ。
校舎からマリア様の像までの並木道。
そのベンチ。
お姉さまは座り、わたしは脇で立ったまま。


ごきげんよう
ごきげんよう

祐巳さんと、蔦子さんが帰ろうと通りかかる。
蔦子さんの姿に、思わず緊張する。

どうしたの、
え、なに、なんのことかしら
となりが空いているのに立ったままだから。スールなんだからさ
エヘン、でも私は編集長より偉い部長だから
そんなものですか、あれ?
え、なに、なんのことかしら
、、さっきと同じこと言ってるよ。ほらいつもの前髪のピン、一本無くなってるよ
えっ、あ、ほんとだ、あ、どこで落としたんだろ、あ、
前髪だから落ちたらすぐ気がつきそうだけど

そんな会話の間、蔦子さんはじっとわたしを見ていた。
ほんの少しだけれど、肩と膝と、声が震えているわたしを。
そして前髪のピンの話になったときにやっと視線をはずした。

もう一度、ごきげんよう、の挨拶を交わして。
祐巳さんと蔦子さんはマリア様の元へ向かう。
蔦子さんだけ、ちょっとだけ私に振り返って。
ちょっと微笑んで。
そして祐巳さんを追いかけていった。


顔が真っ赤になる。

バレた、かしら
、、絶対バレてます
見破った蔦子さんもすごいけれど、祐巳さんも鋭いわね
はい、祐巳さんの言葉でちょっと、、しゃがみこみそうになりました
写真を撮らなかったのはせめての情け、かしら

ピン。
前髪のピン。私のトレードマーク。
それはショーツをつけていない私の突起をはさんでいる。
痛みのなかのむずがゆさ。
きっとぷっくりとふくれあがっているだろう赤い突起に今、わたしは支配されている。

もう充分よ、もう取ってもいいのよ
、、いえ、まだです、、お姉さまの部屋ではずしていただくまで、このままで、、、

お姉さまのカメオを握りしめていれば、耐えられますから、、


結局ピンはお姉さまに外してもらえなかった。
それは駅で落ちてしまったから。
その瞬間、肩がふるえて、声が漏れて、お姉さまに気づかれてしまった。
お姉さまは唇を引いて拾ったピンをポケットにしまいながら。
知らんぷりしてた私に声を掛け呼びとめられる。
そして駅の混雑の中、返すわ、といいながら取り出されたのは。
ピンでなく、わたしのショーツ。
それは折り畳まれてはいたけれど、ハンカチにはない織りのコットンで。
どうしても下着にしか見えない生地で。
それをわたしに自然に差し出される。
それが自分でせがみながら罰を果たせなかった、わたしへのお仕置き。
ドキドキを隠しながらわたしもできるだけ自然に受け取るようにして。
待っているから、といわれてトイレで再び身につける。
制服のプリーツをたくし上げると。
いやらしい臭いがたちこめる。
わたしの内ももは白くかさついている。
それは溢れた蜜が膝下まで垂れないように。
両ももをすり合わせながら歩いて来たから。
拭き取ろうとして、やっぱりやめる。
こんなになるほど好きだって。
お姉さまにみてもらうため。


今日のお姉さまのお部屋はちょっと空気が違う。
いつもだったらすぐ抱きつかれて、すりすり、すりすりとされるお姉さま。
でも今日は、学習机の椅子にすわられたままで。
わたしもお姉さまのお言葉をベットの横で立ったまま待つ。
お姉さまはちょっと困り顔されていたけれど、そのうち。
椅子から立たれてわたしの前に。
そしてひとことだけ。

あなたのクリトリスを吸わせて欲しいの

下着姿でベットに横たわって目を閉じる。
お姉さまも制服を脱がれてベットの上。
お姉さまに向かって膝を開く。

お股や内ももが、
すごいことになっているのがみられちゃう、、

そんな内ももにお姉さまはやさしいキス。
膝から、ぎりぎりのところまで、たくさん。
あ、くんくん、って。
わたしの臭いをお姉さまが、、、。


お姉さまはわたしのショーツの、いちばん汚れてるところにお顔を埋められている。
そして深い呼吸に合わせてその場所に感じる、お姉さまの熱い息吹。
わかっていても、望んでいても。
やっぱりとても恥ずかしい。
恥ずかしいのにお姉さまは。
クリトリスを吸わせて、って繰り返される。
頬ずりされキスされついばまれ。
その言葉を繰り返される。
あぁどうしよう。
やっぱり。
そうするしか。

いつもはお姉さまが、脱がせて下さるけれど。
今日はわたしが自分から。
腰に手を回し、おしりを持ち上げ。
指を背中のゴムに引っかけて。
つるんっと。
あそこはどうしようもないけれど。
おしりの奥もみられたかしら。
そのまま膝までずらして。
右足から、そっとはずして。
そして左足を。
恥ずかしくて片足ずつ脱いだけれど。
そのほうが足を開いたりして、もっと見えちゃうことに気づく。
そうして両ひざをかかえて。
お姉さま、、、どうぞ。


でも。
お姉さまは周りを愛撫されるだけ、言葉を繰り返されるだけ。
でも。
そんな、どうしよう。
足をもっと高く上げて。
おずおずと、両手を。
人差し指を、クリトリスに。
左右に開いて。
ちゃんと見えるように。
ちょこんと覗いてるはず。
お願いします。

でも。
え、まだなんですか。
人差し指を上に引き上げるように。
包皮が伸ばされ。
クリトリスが剥き出しになる。

でも。
あああ、まだ。
中指も使って。
陰唇を開く。
鮮やかな朱の花びらが。
開いているはず。

でも。
恥ずかしい、恥ずかしいけれど。
薬指で膣口を。
ぱっくりと。
花芯が覗くように。
処女の証まで見えるように。


でも。
あぁみんな、みんな。
みんな見せなくちゃいけないの。
小指でおしりを割って。
窄まりのよじれまで晒す。

そして始めてお姉さまはわたしの身体を汚した蜜の跡を舐め取り始められる。
内ももを這いずり回る舌がわたしを清めてくださる。
そして、舌が包皮とクリトリスの間に入る。
その間だけを左右に何度も何度も。
わたしは押し殺そうとして引きつった声を漏らす。
そう、押さえるつもりはないはずなのに。
次は表面を上下に。
クリトリスの下から包皮の間を行ったり来たり、舌で上下にころがすように。
そして左右の動きに戻り。
また上下。そして左右、上下。
その動きを繰り返されるうちに。
わたしは耐えられず途切れ途切れの声でお姉さまにおねだりをしてしまう。
その直線的な動きだけではもう、もう。
だから、ぐるぐるして、ぐるぐるして、って。


お姉さまは優しいからちゃんと答えてくれる。
舌はつけ根で円軌道を描く。
クリトリスはぐるぐるころがされる。
ぐるぐる押しつけられる。
高い声が抑えられない、息が切れるまで止まらない。
いえ、回転が。
右回り、左回りが変わるごとに、ひぃって声が出てしまって。
頭の中が真っ白になるたびに、指がはずれてしまいそうになる。
でもそれだけは、必死に耐える。
だってわたしはお姉さまの思うままに。
わたしはお姉さまの思うままに。
思うままに。

そして、クリトリス全体が暖かくなる。
身体の力が抜けそうになる。
今までガチガチにりきんでいて。
身体中がだるい。


でも、衝撃が来る。
凄い力で吸われはじめる。
ぃぃいいいいぃいいいぃぃいぃぃぃぃ!って。
もう声が止められなくて。
ふくれちゃうよぉって何度も口走ってしまって。
吸い続けるのは大変らしく、お姉さまは何度も息継ぎをなされて。
その間、自分が変なこと言ってるって思うのに。
また吸われはじめると、同じようにしてしまう。
でも、そのうち、何もわからなくなる。
本当に真っ白になる。
それは何度も強く吸われふくれあがったクリトリスを。
同時にぐるぐる舐め回し始められたから。
そして、ずーと、ずーと。
そうしていただいたから。

意識が戻って。
まだ指で自分を晒し続けていることに驚く。
そんな姿勢のまま、激しく息をするわたしをお姉さまは見守っておられた。
そして会陰部から膣口にたまったわたしの蜜をべろりと舌ですくい。
また声を漏らしたわたしを見ながら、ごくりと飲み干された。


指をはずしても、まだ少し開いたままのような気がする。
両ひざを降ろしても力が入らない。
まだ足はMの字のまま。
はしたない、だらしない、みっともない、いやらしい、、、、、
そんな言葉が頭の中を走り回ってる。
お姉さま、こんなわたしを見てください。
お姉さま、お許しいただけますか?

そんな言葉を、いつのまにか。
また口に出していたらしく。
もちろん、もう許しているわ、って。
優しく頬を撫でてくださって。
胸が熱くなって。
目頭が熱くなって
すてきな余韻をかみしめるように感じて。


M市の展覧会は例年にない盛況ぶりだった。
リリアンの生徒たちが興味を持ってくれて父兄を連れだって訪れてくれたから。
わたしも報告と御礼を兼ねた記事を書くべく会場にきた。
隣りにお姉さまがおられるのはこれがデートだからではない。
そう、これはデートではなくてあくまで取材であって、そして、、、。

あ、彼女がいた、そして隣にはお姉さまも。
お姉さまのお力添えへの御礼。
お揃いのカメオの御礼。
沢山のお客さまを招いてくれた記事への御礼。
そして幸せな姉妹の笑顔の御礼。
一杯の笑顔と感謝と。

会場を先に歩くお姉さまを見ながら考える。

だから。
だからお姉さまは、足を洗えないんだなぁ、、、。

口に出したつもりは無かったけれど、お姉さまは急に私の方に振り返り。
そして、微笑まれた。


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