由乃は寄りかかるのではなく自立して支え合う姉妹になりたいと言った。
 それは正しい。
 しかし私には残酷な言葉だった。

 淡い柄の長めのフレアースカートとTシャツ。
 最初はブラウスとも思ったがやっぱり透けないようなものにする。
 そのシャツの前をしわにならぬようたくし上げる。ブラは付けていない。
 これからのことを思い既に堅くなっている乳首。
 でももっと膨らませるために胸を揉みしだき、膨らんで上を向いてきた乳房の突端をなお強くしこり上げる。
 そうしてグミの様になった乳首に靴下止めを塗り込めシャツを戻して指で形を整えると、乳首はそのままの位置と大きさでTシャツの上に形作られる。
 スカートをたくし上げショーツをずり下げ左右の足をぬく。
 その度素足とお尻に柔らかい裏地が触れ心地よく感じる。
 ショーツの汚れを見ないように丸めてランドリーボックスに放る。
 机の引き出しを開け、そのなかの小箱から絡まった白いゴム紐を取り出す。
 でもそれはしまわれた場所には似つかわしくないもの。
 両手で広げると紐にちょっとレースが着いただけのスキャンティ。
 それを身につけようとしてふと姿見をみる。
 下着をはく、というよりゴムで遊んでいるような仕草。
 しかし遊んでいるのは幼女でなく、高等部に通う、少年のような身体の私。
 一旦下ろしたスカートを姿見の前でもう一度をたくし上げてみる。
 レースは恥毛の茂みをほんの少しだけ隠すだけで、股布などはない。
 紐が陰部と尻に食い込む。きっと歩くうちにもっと擦れもっと食い込むだろう。
 スカートの形を手のひらで整え、シャツの上にサマーニットをはおる。
 お姉さまとの約束の時間に間に合うよう家を出る。
 由乃は定期検診で既に外出し、出会うことはない。


 姿勢を正しながら歩く。
 そうしないと乳首の突起が合わせから覗いたりニットの上に突起が浮かんでしまう。
 しかし本当はその姿勢では同時にスキャンティが強く擦れてしまう。
 借りていた雑誌をいれたバッグとリクエストのお菓子とをわざと左右に持つ。
 普段はき慣れないフレアスカートとスキャンティはちょっとした風でも気になる。
 でもこれはすべてお姉さまのおっしゃられたまま。

 お姉さまのお宅に着いた。
 呼び鈴を数回押し、ドアに鍵がかかっていないことを確認して玄関から上がる。
 これはお姉さま以外、誰もいないという合図。
 鍵を閉め、お姉さまの部屋へ向かう。
 ドアをいけるとソファー替わりにベットに腰掛けながらお姉さまが待っている。
「いらっしゃい」
 私は返事をしない。する必要がない。する時間も惜しい。
 もうこれ以上自分を偽り隠しつづけることを我慢できない。
 ドアを締める間も惜しい。
「由乃がすぐ側にいるんです。ちっちゃくて、かわいくて、良い匂いがします」
「くりくりとした瞳で私をみるんです。そしておねだりされるんです、私の身体が欲しいっておねだりされるんです」
「断れないんです、だって私は由乃のものだから」
 立っていられなくなり膝をつく。
「由乃は下着をみせてって言うんです。でも、由乃は最初からわたしには恥ずかしい下着しか許していないのにそんなこと言うんです」
「わたしがもじもじしてるとやさしくほほえんでくれて、わたしを安心させてくれるんです」
「わたしはゆっくりとスカートをたくし上げると由乃はその中を覗き込もうとするんです。また恥ずかしくなるけどでももう手が止められないんです」
「由乃ちゃんに全部みてもらうんです。わたしの恥ずかしい陰毛も剥き出しのお尻もみんなみてもらうんです」
 スカートの中へ右手を入れ指で自分を慰めはじめる。
 左手もだんだん乳首へと延びそっと刺激を与えはじめる。


「由乃ちゃんは、よしのちゃんはそんなわたしをかわいいよ、っていってくれるんです」
「そしてたっぷりとくちづけをくれて、わたしはよしのちゃんのくちびるがやわらかいのがすごくうれしくて」
「だからぼうっとなってしまってわたしにおなにーみせてっていわれたらすなおにはじめてしまうんです」
「はらばいになってひざをたててあたまよりたかくなるようにおしりをもちあげるんです」
「そうしておなにーしちゃうんです。ゆびでぐりぐりしちゃうんです。こすっちゃうんです。よしのちゃんのいわれたとおりにするんです」
「でもだめなんです。わたしはもっときもちよくなるほうほうをしってるんです。だからよしのちゃんにおねがいするんです」
「きすさせてって、きすさせてっておねがいするんです。
「そうしたらよしのちゃんはやさしいからゆかにこすりつけたわたしのかおにそっとつまさきをおしつけてくれるんです」
 私の言葉と同じような姿勢で同じように指を動かす私。
 そして私の言葉と同じようにお姉さまはつま先を差し出してくださる。
 私はそのおみ足に貪るようにキスと愛撫をはじめる。
「よしのちゃんはあしもちいちゃくてかわいくて、そのあしにきすしながらだとおなにーもすごくきもちいいんです」
「でもよしのちゃんはぐいぐいつまさきをおしつけてくるんです。だからあしのゆびもなめてあげるんです。ゆびのあいだもなめてあげるんです」
「わたしのおくちのなかにでいりするゆびでわたしもこうふんして、こうふんして、あ、うぁ、うぁ、うぅ」
 指の動きをとめないでうつぶせから仰向けになる。
 胸ははだけ乳首をつねる指に力がはいる。
 陰核から陰唇をこする早さが増す。
「かおふんで!ぐりぐりして!よしのちゃんすき!すき!よしのちゃんだけ、よしのちゃんだけ!もっと!もっとぉぉっぉっ!」


 由乃は私にもっと女の子らしくすればという。
 髪を伸ばせとか普段もスカートを履けとか。
 だがそれは男の子のような私を否定してくれる言葉ではない。

 寄りかかるのではなく自立して支え合う姉妹になりたい。
 でもそれは私にも強くあれ、ということだ。
 由乃をエスコートする自分が好きだ。
 剣道に打ち込む自分も好きだ。
 でもただのひとりの女の子になって、由乃と一緒にいて、由乃のこと以外何もない存在になりたい。
 由乃に私の全てを愛されて私も由乃に甘えるだけ甘えたい。
 由乃にとろけたい。
 守りたい。守られたい。甘えて欲しい、甘えたい。抱きしめたい、抱きしめられたい。
 でも由乃の健康。私の容姿。
 そしてたった一年早く生まれてしまったことがそれを許してくれない。

 今は、お姉さまにすがるしかない。
 誰にも、由乃にすら気付かれなかったこの気持ちを看破し。
 それでも全て受け止めてくださったお姉さまに。

 まだ息の荒い私を優しく見守られるお姉さま。
 私にはその慈愛に満ちた眼差しが、マリア様に重なってやまない。

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