「とりあえず、男部屋からてめぇは毛布もってこい。床じゃあ背中が痛くて堪んねえからよ。あああ、ブツは仕舞ってからいけ!!そんな醜悪なモン出したまんま歩くんじゃねえ!!!」

 言われて倉庫を出ようとしたゾロの後頭部に、サンジの革靴が、かたっぽだけ飛んできた。
 かつーんとした痛みにムッとなった。
 文句を言おうと振り向き、ゾロはまたもや盛大な鼻血を噴出しそうになった。
 股間が爆発しそうに跳ね上がる。
「ん?早くしろよ、クソ剣士?」
 黒いジャケットからタバコを引き抜き、にんまり笑ったサンジは。

 下半身は丸裸。ストライプシャツの前ボタンも全部はだけた、とんでもない姿で床に御座かいていた。うっすらとした金色の茂みの陰が卑猥だ。しかも・・・・勃ちかかっている。

 ゾロの目が釘付けになっている先を知り、サンジはゆっくり片膝を立てて見せる。
「おら、どうするんだ。スルんだろーが」
「お・・・・おう・・・」
 どうせなら、たった今直ぐにお願いしたいんですが・・・・
 危うく下手に出そうになるのをグッと堪え。ゾロはもんの凄い勢いで倉庫を出た。
 派手な動作でドアを開くいた数秒後には、両手に毛布を抱えて戻ってきた。非常識な速さである。肩で息をしている男を見上げ、サンジは呆れた溜息をついた。
 そんなにヤリたいのか。男部屋のハッチを開く音がしたかどうかも覚えていない。
「おまえ、すげえな、大丈夫かよ」
「ちっとも、大丈夫じゃねえよっ!」
 喚くゾロにサンジが笑う。
 笑って手を差し伸べて、
「おら、来いよ」

 犬かなんかを呼ぶみたいに、実に簡単にそういった。


 □□□□□□□□□□


 ゾロの動きに合わせ、しがみついたサンジの腰が卑猥に動く。
 喘ぎ声を抑えるつもりなんて無いので、下半身直撃なエロ声は、くちゅくちゅと結合部から漏れる水音と重なってとっても淫靡だ。
「うっ・・あ・・・あぁ・・・もっ・・と・・・もっと、だ・・・ッ」
「すげっ・・・イイ・・・」
 縋るサンジに煽られて、ゾロは腰を更に突き入れる。途端、膝の上で白い背中がびくっびくっと引きつれた。
 肩に捕まる指が筋肉に食い込んでくる。
 あれから、サンジは実に乗り気充分に、ゾロになにかとレクチャーをしていた。
 そのレクチャーの全部が、実は自分の性感帯をバラしている行為だとも気付かず、ゾロは逆に反応がいいサンジの場所をしっかり覚え込み。
 いつの間にやら形勢が、『サンジがゾロをリードする』から『ゾロがサンジをいいようにしている』に変わっていた。
 さんざっぱらゾロに喘がされ、何度、気をやったかわからない。
 押し入れられたペニスは、かなり太くて固く、これまでの男経験でもトップクラスに入る。
 しかも、ゾロは恐ろしく覚えがいい生徒だったので。
 実際のところ、サンジはかなりイイ目を見せてもらっていた。
 感じるところも一発で探り当てられ、もう後ろで動かれるだけで快感に頭がぶっ飛ぶ。
「出・・・出るッ・・・ゾロっ・・・・」
「も少し・・・待て・・・・・・・・・・」
「はやく・・早くしろ・・・っ!!・・・て、めぇ・・・おせえっ・・・んっああああっ!」
 サンジとしては気持ちよくイきたいのに、肝心のゾロはまだらしい。ずれたタイミングにサンジが切れる。なにせ、サンジが2回イク間に、ゾロは一回しかイかない。つまるところ、サンジがどんなに満足しても、ゾロが満足しないもんだから、絶頂の直後にまた絶頂を見せられるわけだ。
 こんなセックスばかりは経験がない。いくら口で文句を言っても、劣勢であるに変わりない。
 しかし、いくら組み敷かれていようと、サンジはサンジだ。強気な根性が萎えるはずがない。
 がっと噛み付こうとしたら、速攻で射精寸前まで膨れ上がっていたペニスの根元がごっつい指に捕まった。反射的に背中が反り返る。
「ちき、しょっ・・おぉぉぉッ・・・!」
 噛めなかったのが悔しい。思う反対側では、猛烈な快感に悲鳴を上げて全身がヨがっていた。
 脳天がぶっ飛びそうに痛い快楽が体中に溜め込まれ苦しい。
 身体の中を擦りあげるブッ太いモンは固くて熱くて、そこから蕩けてしまいそうだ。
 それでも、ゾロにガンガン掘られるのは気持ちイイ。
 
 イけない苦しさに暴れる体は、あっさりゾロに捕まって、ぎゅうぎゅう背中から押さえられた。おかげで中にあるゾロのペニスが、もっと奥まで届くのを感じて全身が歓喜に戦慄いた。
「だ・・・めだっ・・・俺、も・・・ゾロっ・・・・!!」
「堪えろっ・・・」
「んんっ・・・・あ・・・・クソッ、やろぉ・・・っ!あああっ!!あほっ・・・・はや・・くっ・・!」
 罵倒しても、腰が動くのが止められない。
 頭の中は快楽ばっかりしかなくて。
 射精できなくても何度も何度も絶頂の波だけは繰り返してる。いわゆる、イきっぱなしだ。
 コレが苦しいやら、辛いやら気持ちいいやら、癖になるやら・・・・もっとしておいてほしいやら・・
 いや。延々と続いていてほしい。
 息も切れてる端っこで、ちょこっとでも思うサンジは、すっかりアホ丸出しである。
「イイッ!!ゾロ・・・すげ・・・・・・・・シテくれ、よッ・・・」
「こう、か」
 はあはあ息を乱しながら、ゾロはそれでも乗りに乗るサンジにご満悦だ。
 全身をぶるぶる震わせるほどセックスに浸るサンジの喘ぎに気をよくして、強請られた場所をぐりぐり念入りにペニスで擦る。そうしたらゾロも更に気持ちよかった。
 セックスではサンジの要求を聞いてやるほうが気持ちよさも数倍になるのをゾロは知っている。
「あっ・・・・あああーーっ!!」
 こりゃもう船中満遍なく響いているだろう。だが気にしない。
 なにせ、こんなに嵌るセックスなんてしたことがない。
 互いに正気だったら怖くなるほどの、ものすごい快楽が腹の中から凄まじい勢いで逆流している。もう叫んでいるのか、喘いでいるのか分からない勢いで。

 ケモノが咆哮するのと変わらない唸りを上げるゾロを抱き締め、揺さぶられた。
 ガンガン腰が容赦なく突きまくられ、前立腺がごりごり擦られる。
 引き絞るサンジの後孔がペニスの根元を締め上げ、柔らかに包み込む腸壁の淫らさが癖になりそうなくらい気持ちいい。
 もう限界突破だ・・・・

 気が狂う寸前なセックスの端で思ったとき、やっとペニスが開放される。どっと流れる血流と、それよりも熱い本流が一気に外へと迸った。
「サンジッ・・・!!」
「うっぁアアアアアアアッ!!!」
 やっと絶頂がやってきたゾロと一緒に、強烈に気持ちイイ波に乗って。サンジは意識も一緒に飛ばしてイった。頭の中は真っ白で、途切れた意識と一緒に身体まで落ちる。
「お、おいっ!!!ちょっと待て!!!」
 白い全身をひくひくエロく蠢かせたまんま、落ちるサンジに焦ったのはゾロだ。
 慌てて腕を引っ張り、肩を捕まえしたゾロによって、どうやら床との激突は免れる。
 肩で支える金髪頭がぐらんぐらんしている。
 腕にも力がなく、床に無造作に落ちているというのに。ぐにゃんぐにゃんの身体だけは、思い出したようにびくんびくん動く。それがまた堪らない。
 本人に自覚がない反応は、嫌でもゾロに次の刺激を呼び起こす。

 このまんまヤッちまってもいいかな。

 考えること2秒。
 そんなもん考えるだけ無駄で。
 よいしょと呟いたゾロは、サンジを床へ寝転がしながら、今度はゆっくり柔らかな身体を犯し始めた。

 サンジの中は気持ちよかった。まだ意識が戻りきっていない所為で、身体はぐんにゃりしているくせに、ゾロが腰を動かせば、ペニスだけが嬉しそうに頭を振って答えている。
 明かりといえばセコイ窓や壁の隙間から入る月明かりだけしかない。だが抜群に夜目が利くゾロにはサンジの身体がはっきり見える。白い胸やら腹、頬まで飛ばした精液に濡れていた。ぬらりと光る肌が卑猥で、それもまたイイ。
 なんだかものすごく興奮してきて、ゾロは小休止で蠢かしていた下半身に、もりもり力が溜め込まれるのが実感できた。鼻息が荒くなってくる。
 だがじきに、柔らかな腸壁が頼りなくペニスを押し包んでいるのが、物足りなくて。セックスの最中であっても凶暴な目つきをする男の反応がないのがつまらない。
「おい、サンジ」
 突っ込んだまんま、白い頬をはたく。ゆらりと頭が揺れた。
 寄せた鼻先に皮膚の薄い首筋が露になった。
「サンジ、起きろ。朝だぞ」
「・・・・・・・ぅ・・・・あ・・・・ああ?」
 眉間に皺を寄せて、うっすら蒼い眼が現れる。
「ゾロ・・・・?ハッ・ァア・・・あっあっあ・・・お、おまえっ」
 いきなり意識が覚醒したところに、バンバンにいきり立ったゾロの腰が入ってきた。ごりごり中で弱い場所が擦られ、ちょっと状況の混乱から醒めない。
「起こせ・・・・よっ・・・・・クソ馬鹿野郎ッ!」
「けどよ、テメエ気持ちよく寝てたんだろ。いいじゃねえか」
「良いわけねえだろうが、ぼけっ!!!朝飯作るんだよっ、俺は!!」
「ああ、ありゃウソだ」
「てめ・・・・っぁ・・・あ・・・」
 喘ぐサンジの頭突きが鼻っ柱にテクニカルヒットした。眩暈がする。
 下半身は密着して、ゆらゆらゆらゆら揺られているのに。口と反抗心だけは素晴らしい。
 すごい、さすがサンジだ。
 どんなになってもサンジは媚びない。ゾロを射抜くぎらつく蒼い眼は、半端な刀より鋭く尖り力がある。
 白い腕が伸ばされたが、ゾロは敢えてその手を振り払おうとはしなかった。直後には、向こうッ気が強いサンジに首を絞められると分かっていても。ゾロはサンジのやりたいようにさせた。
 果たしてゾロの覚悟とは違い、ぐいと料理人の手が後ろ首を掴み、片腕は胸元から顎先へと移動していく。
 荒れた指がゾロの唇を探り、凄惨な光を帯びた蒼い目が、ひたりと当てられる。
「な・・・・ゾロ」
「んだよ。」
 てっきり、“コックにアホな嘘なんざ吐くもんじゃねえ”と噛み付かれるのかと思ったが。
 ゾロを見上げる男の目元も口元も、やけに艶っぽく誘っていた。
「チョッパーの薬、あったらさ」
 意味ありげな目元が憎々しい。
 そろりと動く指は速攻で喰らいたい。
 ふっとサンジが鼻先で笑った。やわらく優しい笑みを含む吐息がゾロに掛かる。
「俺も、飲めたのに・・・・な」
「呑んでどうする」

「そうしたら・・・俺だってお前だって・・・・・・もっと楽しめた」
 ゾロの送り込むパルスが足りないと。言外に言いながらも、サンジの声に余裕はない。
 直にゾロがほしくて欲しくて、たまらなくなってくる。
 それならば、今の状態はゾロにとって好都合だ。それでもサンジは言う。
「も一回、イかせてくれよ」

「今度は、お前も一緒に飲め」
「んー、口移しなら考えてやるぜ」
 どこまで本気か分からないが。楽しそうにサンジが言うので、まあいいかとゾロは受け流した。
 そして、上に乗ってる男の腰を両手で支え、ゆっくりと捏ねるように回していく。
 えらくエロっぽい息を吐き出して、サンジの身体が綺麗に仰け反った。目の前に開く白い首筋が扇情的で、笑みが漏れた。
 散々な一日だったが。
 まあ、こんな楽しみがあったのだからいいんじゃないのか。
 喘ぐサンジと視線がかち合い、ゾロは見せ付けるために舌を伸ばして肌を舐める。体温が上がった白い腕が頭をきつく抱え込んだ。

 ゾロの人生何回目かの誕生日。
 それは、GM号名物の野獣コンビが誕生した記念すべき夜である。
 目覚めた獣達の性欲は、まだまだ延々・・・尽きることが無かった。



end









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