美獣主役?

128氏



私は昨日、邪眼の伯爵が連れてきたというローラントの王子が幽閉されている城の一室
に来ていた・・・。大事な黒の貴公子様の器となる身体だ・・・。どんなものなのか
見ておきたかった。下手に傷つけられているようなら邪眼の伯爵を詰問するつもりだった。

どうせ、すぐに殺すのだ・・・。私は本性の猫の姿のまま部屋へと入っていった。

その少年は窓辺に座り、満月をぼんやりと眺めていた。
私に気づいてもさして怯えた様子もなかった。むしろ、喜びの表情を浮かべている。
愚鈍な王子だ・・・。そう、思った。魔族を見た事がないのだろうか?

しきりに私に対して王子は話し掛けてきた。
「こんにちは」
「僕、エリオットって言うんだ。こう見えても王子様なんだよ。・・ちょっと今はボロボロだからそうは見えないけど・・えへへ♪」
「この魔物のお城の飼い猫なのかな?」
「綺麗な毛並みだね?触ってもいい?」
好き勝手にベラベラと喋る。私に対して手を差し伸べてきたのでとっさに軽く引っかいた。
私は誇り高き魔族だ・・。下賎な人間に気安く触られるのは許せなかった。

私が引っかくと、その少年はしきりに私に謝った。
「うぅ・・。ごめんね。ごめんね。君はとっても誇り高いんだね?むやみにペットみたいに扱おうとした僕が
悪いね。ほんとうにごめんね。」
と、本当に申し訳なさそうに謝っていた。

本当に愚鈍な王子だ・・・。傷つけられたのに私に謝るとは・・・。
しかし、大事な器に傷をつけてしまった・・。邪眼の伯爵に詰問するどころか、
私が逆にされそうだ・・・。

私はとりあえず、その少年の傷口を舐め、回復魔法でその引っかき傷を回復させた。

「うわぁ!舐めただけで傷が治っちゃった!すごいや!君の舌ってすごいんだね!
マナの女神像みたい・・。女神様の飼い猫なのかな?あは」

私が魔法を使った事にも気づかないとは・・・。こんな少年があの偉大な魔力を持つ
黒の貴公子様の器になり得るのかと不安を感じてしまう。・・・・愚鈍だ。


その次の日からも暇を見つけては王子の元に通うのが私の習慣となっていた。
監視役の部下達も私が来た日の方が食がすすむという。
大事な器・・・。私が来る事がどう王子に影響しているかは知らないが、食事を拒否するようになって
身体を壊されては困る・・・。明日からは毎日来るようにしよう・・・。

王子はいつも一方的に私に色々な事をさも嬉しそうに話した。

「あのね、僕の故郷はローラントって言ってね、すっごく高い山にあってね、・・・」
「リースお姉様っていってね、すっごく綺麗で強くて、優しくて、皆の信頼があってね!、・・・」
「でも・・怒るとすっごく怖いの!僕が朝のお稽古さぼろうとしたら、物凄く怒るの!お尻叩かれた事もあるんだぁ」
「ライザっていってね。何か・・落ち着いてるっていうか・・・。お姉様のお姉ちゃん・・みたいな・・えへへ♪
うまく言えないんだけど・・・・。」

国の事、友人の事、家族の事、城の者達の事・・・・。王子はそれらについて無邪気に
、そして楽しそうに話した。なかでも姉については特に嬉しそうに話した。
その王子の幸せの殆どを破壊し、殺したのは私だとは知らずに・・・。
・・・・・・・・?何故か胸にちくちくと刺さるものを感じた・・・・・・・。


毎日毎日飽きもせず王子は私が来るととたんに喜びの笑顔を向けて話し掛けてくる。
いい加減話すタネがなくならないのか?疲れないのか?飽きないのか?
私は半ば呆れ、感心してしまう。

どこまでも無邪気な笑顔・・・。どこか黒の貴公子様に似ていなくもない少年・・・。
黒の貴公子様もこのような無邪気な顔をする事があったのだろうか?
苦しくも同じ運命の子として生を受けたが、一方は予言の為にその心を
暗く閉ざされた。

今、この王子もその時の黒の貴公子様と同じ城で、同じように暗いこの部屋に
幽閉されているが・・・。この王子の心は今だ明るく輝いていた。
私の存在が、そうさせているのだろうか?

私はこの少年と黒の貴公子様を重ね、助ける事が出来なかった黒の貴公子様を
この少年を助ける事で、変える事の出来ない過去を変えている気になって自己満足しているのだろうか?

よくわからない・・・。だが、私は確かにこの毎日の行為と今の王子に満足感のようなものを感じているのは
確かなようだ・・・。


いよいよ聖域へのトビラが開く時がきた。ダークキャッスルもあわただしい。
王子はしきりに心配そうな顔を浮かべてる。

「どうしたの?戦いがはじまるの?・・・いやだよぉ・・戦いは・・。なんで、みんな傷つけあうの?
魔物も人間もどうして仲良く出来ないの?・・・うぅ・・・・魔物もいっぱい死ぬのはいやだよぉ」

王子は涙を流して、うずくまっていた。今日は食事にも手をつけていない・・・。
魔族が死ぬ事に悲しみを覚える人間などはじめて見た。正直、私は驚いた。
・・・・・・なんだか王子が悲しんでいる姿を見ているといたたまれない気持ちになった。
あの時以来一度も王子には触れさせてはいなかったが、私は自分から王子にすりより、
そのうずくまっている王子の耳を舐め、顔をあげた王子の顔を舐めた。

「えぐっ・・・えへへ、ありがとう。優しいんだね。えへへ。ごめんね、みっともないところ見せちゃったね。
えへ。」

王子は私の喉を優しく軽く撫でた。私は笑顔のだした王子を見て安心して、振り返り、部屋から出た。

・・・・・安心した?私が王子の笑顔を見て喜んでいた?・・・・・・・

私はハッとし、その事を思い出すと心の中で苦笑した。

気を取り戻し、私はナバールへと移動した。





聖域での戦いは見事に我々の勝利に終わった。小賢しいドラゴン共も、導師共ももはやいない。
聖域で、王子の姉に会った。しきりに弟の事を心配しているようだ。
軽く小競り合いになったが、不覚にも一撃を軽く手に受けてしまった。これが人の執念
というやつなのだろうか?

とにかく勝ったとはいえ私も少し疲れた。ダークキャッスルで少し回復せねばならない。
そう思いダークキャッスルに戻り、自分の部屋に行こうと思ったが、何故か私の足は
王子のいる部屋に向かっていた。

部屋に入りると、王子が気づいて、いつもの屈託のない笑顔で近づいてくる。
だが、途端にその王子の形相が変わった。
「どうしたの!汚れているし、ところどころ切り傷みたいなのもあるし!誰かに虐められたの!?
誰なの!ひどいや!・・・・・・特にここなんて」

といい、王子はひときわ大きな手の傷を見つけて言った。まさかその傷をつけたのが自分の姉だとは
思わないだろう。

「ひどい・・・なんで・・・こんな・・事に・・・。うぅ・・・。」

王子は私に寄りかかり涙しているようだった。又、何かが私の胸にちくちくと刺さる。
だが、その時、王子の身体が光り始め、私と王子を包み始めた

(!!?これは・・魔力!?)

みるみるうちに私の傷は回復していき、あっという間に傷口も体力も回復していた。
王子はそのまま私によりかかり気を失うように眠ってしまった。


私は人の姿になり、王子を抱えてベッドまで運んだ。

(さっきのは間違いなく、魔力だった・・・。しかも、呪文の詠唱もなかった・・。
魔力のみで回復させたというのだろうか?)

私は、驚きつつもやはり運命の子であると再確認した。黒の貴公子様の器としてもこれならば
安心だ・・・。

そこで私はハッとした・・。そうだ・・この子はもうすぐ死ぬのだった。いや、別に忘れていたわけではないが、
あえてその言葉を思うと何か気分が重くなる気がした・・。何故だ。
黒の貴公子様の器として何も問題ないとわかったのになぜ気分が重くなるのだろう?
・・・・・・・何だか面白くない・・・・。

私はそのまま自室へと戻った。



各地で神獣が復活し、予定通りに奴らはそれらを撃破しているようだ・・・。予定通りとはいえ
大したものだ。もう、間もなくやつらもここにくるだろう・・・・。

この王子との別れも近いな・・・・・。私は最近この王子の心配ばかりしている・・。



邪眼の伯爵にここ最近の私のこういう気持ちについて話してみた。やつは
「大事な器なのだ。心配して何がおかしい?おまえの忠誠心のあらわれではないか」と言っていた。
確かにそうなのだが・・・。
私もはじめはそうだと思っていた・・・。だが・・・やはり、何か違う・・・・。

私は・・・・一体どうしてしまったというのだろうか?



奴らが遂に神獣を7匹倒したらしい。奴らは古の都ペダンに向かったと
先ほど、部下から連絡があった。我々の目的達成が近づけば近づくほどに
日に日に私の王子を目の前にした時の胸の痛みと苦しさが激しくなってくる。一体・・私は・・・。

今日も猫の姿で王子のもとへとやって来た。王子のいつもの止まらない話が一段落すると、
王子は横になる私に身体を預けてきた。

「君の身体・・・・柔らかくって暖かい・・気持ちいいや・・・」
王子は本当に気持ちよさそうに、私の身体に身を預けて言った。まるで、そのまま眠ってしまいそうだ。

今は王子とこうして身を触れ合う事に喜びと安心感を覚えている・・・。悪くない・・・。
「悪くない・・か・・・。私は・・・」思わず、ひとりごちてしまった。
王子の顔をひと舐めすると、王子はくすぐったそうにコロコロと笑った。
そうだ・・この笑顔だ・・・。この目と・・笑顔に・・私の心は・・・。・・・・・・・・私は・・・一体・・・・。

そのうち、王子は私に顔をうずくめながらいつの間にか眠ってしまった・・。

私は人の姿になり、王子をベッドへと運び、その横に腰掛けると、王子の寝顔を見つめていた。
そして、王子の前髪を優しくかきあげた。
「むにゃ・・・もう、食べれないよぉ・・えへ・・むにゃ」
寝言をいう王子をみて美獣はくすりと笑った。

この時、美獣は気づいていただろうか?窓から差し込む月光にうっすらと照らされた自分の顔が
まるで女神のように優しくなっていた事に・・・・・。


美獣はエリオットに顔を近づけると垂れるその美しい長い髪をかきあげながら、そっとエリオットのおでこに
キスをした。

おかしな事をしている・・・。それはわかっている・・・。ただ・・・ただ・・・なぜかこうしたいのだ・・・。

エリオットはそのまま優しい口付けを頬に2、3度した後唇にそっと触れるようなキスをした。
そのまま首筋へと唇を滑らし、王子の服のボタンにその白く美しい手をかけて、王子の女の子のような
白く綺麗な胸へと手を滑らした。細く美しいその手で優しく胸を撫でながら、唇は首筋から胸へと
キスをしながら移していく・・・。優しく・・いとおしむように。

「んん・・・ん」

エリオットが小さくうめいて、その華奢で小さな身体をよじらせた。美獣は、王子上着を脱がすのを
途中で止め、今度は両手を王子の頬にあてて、口に濃厚なキスをした。
舌をエリオットの口の中に入れて、貪るようにキスをする美獣。

「!?んんん!!?」
エリオットが目をさますと、何が起こっているのかまだ分からないのだろう。驚いて逃げようと、身を動かしたが、
美獣はエリオットの細い両腕を掴み、逃がさない。

「はぁはぁ・・な・・なになに!?」
「静かにしなさい・・・。大丈夫・・私はあなたの味方よ?」
しかし、エリオットの震えは止まらない。そこで美獣はエリオットを安心させるためにこう言った
「私は・・・私の名前はイザベラ。いつもわたしのペットの猫がお世話になっているわね」
「?お姉ちゃん・・はあの子の飼主なの?」
「そうよ」
・・・・・エリオットは信じられなかった・・。あの猫は明らかにペットといった感じではなかったからだ・・。
「そ・・その飼主さんがどうして・・僕に・・・こんな(// //)・・・・・・!?」
途中でエリオットの言葉は遮られた。美獣がエリオットの唇をもう一度奪ったからだ。
唇を離した後、エリオットは言葉を叫ぼうとしたが、できなかった。美獣と目があってしまったからだ。
その顔はどこまでも美しく・・そして優しい目だった。・・・エリオットはその女性の視線に心を射抜かれた。


「!?・・・んん!」(// //)

顔をほのかに赤らめ放心するエリオットをよそに、美獣は左手をエリオットの腹沿いになぞらせてズボンの中へと
手を入れた。

「ふふふ。可愛い声ね・・・」
美獣はそう言うとエリオットのズボンを器用に下げて、その毛も生えていない、皮を被った幼いそれをいとおしそうに
眺め、そして、ズボンを脱がした左手でやさしく触れ、軽く握った。

「いや・・やだやだよぉ!!」
逃げようとするエリオットを右手で肩を掴んで逃がさない。そしてそのまま口にキスをして、そのまま服がはだけたままの
エリオットの上半身をベッドに押し倒した

「んふ!・・はぁ・・大丈夫・・お姉さんに任せなさい?それとも信じられない?」
美獣はそういうと、仰向けになっているエリオの顔に自分の顔を近づけて優しく言った。
ふいにエリオットは下に視線をやると、美獣の豊かなまでの胸が目に入り、真っ赤になって慌てて目をそらした。
しかし、美獣がエリオットのそんな行動を見逃さなかった。

「ふふ。胸が見たいのね?」美獣はそう言うとエリオットをまたいだ格好のまま服を脱ぎ、下着姿になった。
その見事なまでにくびれたボディラインとそれに似つかわしくない、その大きな胸と尻は
嫌と言うほどに『女』を強調していた。どんな男でもこの身体を見て男のオスを刺激されない者はいないだろう。
しかも、肌は透き通るように白く、その肌と身体に、見事なまでのつやのある綺麗な長髪をまとわせていた。

「ふ・・服を早く着てよぉ・・。(// //)」
「ふふ・・うそ・・。本当は触りたいんでしょ?・・そういえば・・あなた、お母さんがいなかったんですものね?
いいのよ・・・。ほら・・・。」

美獣はその黒い下着に包まれた豊かな胸をエリオットの前に差し出した。エリオットは顔を赤らめ、とろんとした目で
それを見つめると、そっと自分の手をその胸にあてた。


「ふふ・・触れるだけでいいの?それじゃ、柔らかいかどうかもわからないでしょ?ほら、揉んでみて・・・ん!」
美獣が言葉を言い終える前にエリオットは美獣の胸を両手で片方の胸を揉んでいた。
しかし美獣の嬌声に驚いて慌てて手を離す。
「ふふ・・大丈夫よ・・気持ちよかっただけ、ほら、もっと・・あぁ・・ん
ふふふ・・あん・・小さくて可愛い手ね」
美獣は揉み続けるエリオットの手に自分の手を重ねた。
エリオットはさらに揉み、そして、時折、下着の上からその頂きをつんつんと刺激し、その頂きがあるであろう場所を
中心的に愛撫した。
「んん、も・・もう、乳首が好きなの?」
美獣はそう言うと、エリオットの顔をそっと両手で抱くと自分の胸の谷間に埋めさせた。

「えっ!?」
「ふふ・・・大丈夫よ?柔らかいでしょ?」

そして相変わらずとろんとした目で顔を胸の谷間に埋めて、その胸を揉もうとしたが、美獣はそのエリオットの両手を掴むと、
自分の背中にまわさせた。
「ほら、ここにホックがあるでしょう?とって・・・。そしたら、ブラが外れて全てが見れるわ」
「あ…あ…」
そう言われて、エリオットは両手をもぞもぞと動かして、ホックを外そうとするがなかなか外す事ができない。
美獣は胸の谷間に頭を埋め、必死になってホックを外そうとしているエリオットの頭をかき抱き、その髪を撫でていた。
(ふふふ、必死ね・・・。可愛い・・・)
やっとホックが外れると、美獣はエリオットの頭を自分から離れさせた。

「ふふふ、偉いわね。良く出来たわ。じゃ、ご褒美ね・・・」
「ごほうび……」

外れたブラが落ちないように、美獣は自分胸の下で腕組をする形をとっていた。しかし、そのポーズはただでさえ
大きな乳房を更に強調させる事となり、落ちかけたブラの横からその大きな胸がはみ出していた。


エリオットはその美しい肢体がおりなす芸術に完全に見とれ、心を奪われていた。

「ふふふ、さぁ…エリオットの大好きなおっぱいをあげるわね…」
エリオットはごくりと喉を鳴らして、その両腕が離されて、胸がこぼれるのを待った。だが、
「やっぱり、だぁめ」
「そんなぁ…ってあ!(// //)」
エリオットは途端に落胆の顔と声を見せた自分に気づき顔を更に紅潮させた。
「ふふふ……見たいんなら、『僕はお姉さんのおっぱいが見たい』って言って。そしたら、見せるだけじゃなく、
いくらでも触らせたあげるわ。」
「そ……そんな…僕・・さっきから…一体・・」
「ほら」
美獣は両腕を相変わらず交差させたポーズのままエリオットに近づき、見えかけている胸をエリオットの顔に近づけた。
「ん?どうしたの?見たくないの?」
上目遣いで優しくエリオットの目を見て言う
「ぼ…僕は…(// //)(もじもじ)」
「僕は?」
「僕は…その、『僕はお姉ちゃんのおっぱいが、その・・・。見たい』よぉ!(// //)」
「ふふふ、良く出来たわ。さ、どうぞ」
そう言うと、美獣は両腕の交差を外し、その大きくも見事な胸がはちきれんばかりにこぼれた。
その乳房は大きいながらも全く垂れておらず、綺麗な形を保ち、乳首は小さく、綺麗な桜色をしていた。
「あああ、ああ…」
エリオットはその胸をみた途端に、急にむずむずと自分の股間を押さえて身をよじり始めた。
「ほら、どうしたの?触って、キスしてもいいのよ?」
そういうと美獣はエリオットの左手を自分の右の乳首にあて、顔を胸へと抱き寄せた。

エリオットは左手で、乳首を愛撫しはじめた。ぷっくらした乳首を触り、撫で、そして時に摘んだ。
「あん・・んん!!そ・・そう!上手よ、はぁん!あぁん!ふぅん」

「んん!エリオット…さ、胸にキスして。吸っていいのよ?お母さんだって思っていいのよ?」
「あ……」
エリオットはたまらず、その胸の頂きにを口に含んだ。
「あぁ!…そ…そう・・吸って?…ああん!」


ちゅうちゅうと音をたてて吸うエリオットの後ろ頭を抱き、快楽から嬌声をあげつづける美獣
「あぁ…片方ばかりじゃなくて、こっちも…あぁ!!ん!」
「あぁ…ん(ちゅうちゅう)」
エリオットは美獣を逆に押し倒し、片方の乳房を吸い、もう片方の胸を手で愛撫した。

美獣は自分の両手を頭の上で交差させて、全くの無抵抗を装った。その格好は吸われている胸を
強調し、さながら両手を縛られているかのような形になった。
はたから見ると、年端もいかない少年が絶世の美女をベッドの上で縛り付けて、犯しているようにも見える。

「あぁ・・・んん!!…エリオット…」
「お姉ちゃん…き・・キス…んん」
お互いを貪るようにキスをしたあと、美獣両手を頭の上に交差させたまま両足を少し開いた。

「エリオット…私の足の付け根を見て」
「えっ?…うん……わっ!すごい濡れてる…」
「ここが女の人の大切な所よ?ここから、子供が生まれるの…。ね?触ってみ…んん!」

エリオットは早速そこを撫で、そして吸った
「そんな、いき…なり…あぁぁぁああん!」
胸を愛撫していた時以上に、大きな声をだす美獣にエリオットは更にその突起を舐めたり、指を中に
入れたりした。
「あぁぁああ!いい!…初めて…なの…に…結構…グロテスク…じゃない・・の?んん!」
「(チュバ)全然…そんな事ないよぉ…すっごく…綺麗だと思うけど…」
「もう…子供のくせに…どこで・・そんな…あん!あぁ!!」

美獣は快楽から首を振り乱し、時に秘所を愛撫し続けるエリオットの頭を掴んだ。


「ハァ・ハァ…エリオット…そろそろ…」
「えっ?なぁに?」
「あのね、あなたのおちんちんをね、私の濡れているここにいれるの…」
「えっ?・・そ・・そしたら、どうなるの?」
「とっても気持ちよくなるのよ。さぁ」

(ちゅ)
そういうと、美獣はじっとりと汗ばみ、紅潮する肢体を起き上がらせて、エリオットに
一度優しくキスをした後、エリオットを仰向けに寝かせ、その上に跨った。

「おねえちゃん…何だか怖いよぉ…」
「大丈夫…安心して…」

美獣はそう言うと、エリオットの毛が生えていない男根を握り、位置を確認すると、
そろそろと腰を下ろしていった

ヌプッ

「ん!んん!わかる?エリオット?あなたの…が…あん!私の中に入っていくのが・・あぁ」
「うん…何だか…あったかくて…あぁ」

ヌププヌプ
「あぁ…ふふ・・女の子みたいな声あげちゃって可愛いわよ?エリオット…あん!ダメ!あぁ!!」
「お姉ちゃん!き・・・気持ちよくって何だか…変だよぉ」
「だ・・ダメ…あぁ!」

エリオットは挿入の途中で、その気持ちよさから、本能的に腰をいきなり突き上げて
一気に美獣の膣内の奥へと挿入し、何度も腰を動かした。
美獣は突然の予期せぬエリオットの動きから一気に感じてしまった。


エリオットはそのまま上半身をおこして小さな身体を美獣に密着させて、その細い
華奢な腕を美獣の背中にまわすと座位の態勢をとった。
そして一心不乱にわけもわからず腰を動かした。

美獣はそんなエリオットの姿を一瞥すると、一瞬優しく微笑み、エリオットの頭をかき抱いた。
「あぁ!あん!、エリオット。もっと…もっと…あぁん!ん!」
「お姉ちゃん…気持ちいいよぉ…こんなのって・・ハァ」
「いいのよ!何も考えなく・・ていい…のよ!あぁ!あん!エリオット!おっぱいも・・あん!あん!」
「うん!あぁ(チュパ)」

エリオットは座位で激しく動かしながら美獣の豊かな胸の頂きにキスをし、口の中で転がした。
「そう!んん!あぁ!エリオット私、そろそろ」
「な…何か来るよぉ!!お姉ちゃん、お姉ちゃん!!僕・・怖いよぉ!!」
「あん!ん!ん!だ・・だいじょう・・ぶ・・あん!その・・まま」
「うわぁぁぁああ」
「エリオット・・んんん!!」
美獣はエリオットの頭をひとしきり強く抱きしめ、身体を大きく仰け反らせると、その名器といえる膣内を収縮させて、
エリオットのまだ青い幼い性をその胎内にうけとめた。

美獣はまだ繋がったままでエリオットの金色の髪を優しく撫でていた

「はぁはぁ・・エリオット…ん?」
「ハァハァ…うぅ…ひっく・・・うぅ」
「どうしたの?エリオット?どうして泣いているの?」

エリオットが泣いているのを見ると美獣はエリオットの前髪をかきあげて目を見て優しく言った。


「僕…お姉ちゃんの中に・・おしっこ…うぅ…ひっく・・ごめんなさい。ごめんなさい。」
「……ぷっ!大丈夫よエリオット。あれはおしっこなんかじゃないわ。いい?」

そのあと、ベッドで美獣は優しくエリオットに人間の性について話した。ゆっくりと
母親が子供を諭すように…

「そうかぁ…僕…全然知らなかった……でもでも!!だったら膣内に射精したのは」
「大丈夫よ…魔族と人間の受胎は非常に確立が低いって聞いた事があるわ…だから・・」
「じゃあ…どんなにやっても…あ(// //)」
「ふふ・・まだやりたいの?エリオット…あん!またエリオットのが私の中で大きくなってきたわ」
「(// //)」
エリオットは顔を真っ赤にしたが、その美獣の言葉に反論はできず、返事の変わりに体で返事をした。
「あん!待って!エリオット!んん!あぁ…いいわよ・・んん!」
美獣はそのまま背後位になり、顔だけ後ろに向けて怪しくエリオットを誘った。
「お姉ちゃん!お姉ちゃん!」
「ちょ・・落ち着い…んん!!あぁ!!」
エリオットはすかさず腰を動かし、時に身体を美獣に密着させて、胸や乳首を愛撫した。
再び二人は快楽の海へとその意識を落としていった…。

その後、美獣はエリオットを連れて、湯殿へと赴き身体を綺麗に流してあげていた。
「ふふふ、エリオットはすごいわ。あんなに私の膣内で耐えれた人はいないわ…」
「// //」
そう言うと大きな浴場の中で美獣はエリオットの男を優しく摩った。
すると再びエリオットの小さな男根は大きく膨れてきた。
「あら、もう回復したの?すごいわね」
「(// //)うぅ…ごめんなさい…あぅ!」
美獣はエリオットの股へと顔をうずめていった。湯殿にはエリオットの嬌声と淫らな音だけが響いていた。

結局そのまま湯殿の中でも二人はもう一度繋がったのだった。


美獣はエリオットをベッドに寝かせた後、眠るエリオットのおでこにキスをした後その部屋を去った




ついに黒の貴公子様が王子の肉体を使って転生する時がやってきた。
同時に聖剣の勇者共がここまで迫ってきている…。

「美獣よ…よくぞやった…この王子の肉体と魔力の潜在能力は十二分すぎるほどに素晴らしい…。
このような素晴らしき肉体を見つけてくれたことを感謝する。くくく…これで…」
「勿体無いお言葉です…。」

美獣は黒の貴公子が微笑んだ笑顔を見て自分も口元に笑顔を見せた。隣では邪眼の伯爵が同じように膝まづいている。
だが…美獣が望んだ笑顔はこんな歪んだ笑顔などではなかった…。あの王子のように純粋な笑顔
を見たかったのだ。この黒の貴公子の歪んだ笑顔を見る度に心が痛んだ。と同時に
この方に真の笑顔をもたらす事が出来ない自分に嫌悪感を感じるのだった…。

「頼まれついでに…もうひと頑張り…。頼むぞ。では私は聖域へと行く!」
「はっ!お気をつけて」

(エリオット…黒の貴公子様…)
美獣は消え行く黒の貴公子とその胸で安らかに眠っているエリオットの顔を最後まで見つめていた…。
(これでいいのだ…これで…。いいのか?私は…これで…わからない…。)

「さぁ…最後のひと仕事だ。聖剣の勇者共を殺さなくてはな…。お前はここで休んでいろ。あの愚鈍な人間の
王子の世話で疲れているだろうからな。勇者達の事は私に任せろ。それとも手柄を譲りたくないのなら、
お前に譲ってやってもいいが…。」
美獣はそんな邪眼の伯爵の声にいや、いいとだけ答えた。
「何だ…珍しいな…。黒の貴公子様の為ならといつもは私より先んじようとするお前が…。まぁ、いい。
今回は手柄は私が頂くとしよう。ふはは!」

邪眼の伯爵はそう言うと暗闇の向こうへと消えた。美獣はただ、その場所でただ一点を見つめて立っていた。





バタン!
大きく扉が開く音がすると、金髪の髪をした女性と長髪の男を先頭にして聖剣の勇者達が
入ってきた。
「美獣!これで最後だ!」
「父の仇!覚悟しなさい!」

私は大きく息を吸い込んだ後、ゆっくりと振り返り、彼らを見た。その中央にあの王子とよく似た
美しい金色の髪を持った女性が私を睨んでいた。
(……なるほど…。よく似ている…。やはり姉弟だな…。特に目元が…。
 …ふふ、自慢のお姉様…か・・・)

美獣はエリオットがしきりに自分に対して喋っていた姉リースの自慢話を思い出し、口元に
笑みを浮かべた。

「ふふふ、あんた達がここまでやるとは思っていなかったわ。
やはり偶然に聖剣をぬいたわけじゃなかったのね。
神獣を倒した実力は、ほめてあげる…。
だが、それもここまで…。黒の貴公子様は、私が命に代えてもお守りする!
あの人は私の全て……あの幼かった頃の黒の貴公子様が
たった一度だけ見せたあの無邪気な笑顔に私は…。」

そう話すと美獣は、一瞬信じられないような優しい目をして見せた。はるか昔の思い出の中に自分が
生きているかのように…。その顔は恋をする『女』の顔だった…。


「美獣…一体…あなたは…黒の貴公子というのは…」
「あの方は可愛そうなお方…。運命の子として予言され、国を滅ぼすという予言をされたがために
幽閉され、その心を闇に染まらされたのだ…。人間達の勝手な思い込みで、あの方は…。
そして、魔王に魅入られ、その魔王を殺し…今は……。私は…あの方に笑顔を…」
「美獣…」

「思えば私もお前も同じ『運命の子』を守ろうとしているのだな。ふふ、皮肉なものだ。
お前は『2人目の運命の子』である弟を…そして私は『1人目の運命の子』を……。
貴様においそれと譲るわけにはいかない!」

「美獣!待って!…あなたは…」
「黙れ!もはや言葉など不要!その槍で語れ!」
「美獣!!」

(黒の貴公子様……エリオット…どうか……)


リースは傷つき地に伏した美獣の傍らに立っていた。
美獣を見るリースの顔は勝ったというのにどこか物悲しそうだった…。

「ふふ…姉弟揃って…おかし…なやつらだ…。魔族の私を殺したのに…勝負に勝ったというのに
 何故…そんな顔をする?…」
「美獣…あなたと私は同じだわ…。互いに愛するものの為に必死になって…。もしかしたら、立場は全く逆
になっていてもおかしくなかった。私・・あなたの事…魔族は悪だと決め付けて…。」
「ふ…ふふ…人間と同じとは…随分と侮辱・・を・・ゴホッ!!弟もそんな事を…」
「!?エリオットを知っているの?」
「あぁ…あの愚鈍な王子…お前にそっくりで愚鈍そうだった…ぞ…」
「エリオットはどこに!?」
「黒の貴公子様が…マナの聖域に…そこに……。…私は…あの方を助けたかった…。ただそれだけ…」
リースは美獣の両手を握り締めた。美獣は虚ろな目をリースに向けた。
「お願いだ…あの方を…助けてあげて……。あの方にこれ以上悲しい歪んだ笑顔をさせない…で…。
お前の弟のように無邪気な笑が…お……を」

リースはコクリと頷き、握っていた美獣の両手を強く…強く握り締めた。

(あぁ…何だか痛みが無くなって、身体が楽になってきた…。黒の貴公子様…
 ふふ…何故…こんな時にまで・・あの王子の顔が……。名前は……そう、エリオットと…
 できれば…もう…いち…………)





「ふぁあああ〜。少し休憩しようっと…」
大きな伸びをした後、まだあどけなさを残す金髪の少年は筆を止めて、
椅子を立ち上がると自分のベッドに寝転がった。

少年の部屋は、その年齢の子供の部屋としては大きく、調度品も真新しい…。
金持ちの貴族などに比べれば驚くほど質素だが、やはり彼が一国の王族である事がわかる。

あの事件から3ヶ月、エリオットは無事にここローラントに帰還していた。今やアマゾネスの団長として正式に
就任した姉リースと共に…。

あの日…黒の貴公子から解放された日…。目を開けると姉リースが泣きじゃくってエリオットを抱きしめた。
何度も弟の名前を呼びながら…。周りに姉の仲間も沢山いたが、よく覚えてはいない・・。
ただ、朦朧とする意識の中で姉の胸の中で見たマナの聖域は、どこまでも悲しみを放っていた。
姉の肩越しには…巨大なかつて樹であったものがうっすらと見えた…。

ローラント城に戻ったエリオットは姉に自らの次期国王としての決意と信念を伝えた。

「いつまでもお姉様に甘えてばかりではいけない!」と。
リースは少し驚いた顔の後、一瞬か寂しそうな顔をし、慌てて笑顔を見せた。
けれど、その笑顔もどこか寂しそうに見えた…。


エリオットは今、以前はサボりがちだった勉強も必死に自分から望んでするようになった。
剣の稽古も、暇を見つけては近くのアマゾネスを捕まえて、相手をしてもらった。
一日も早く、姉の助けができるように…一人前になるように…と。

ローラント城に戻ってきた後、エリオットは姉に一度聞いた事があった。

あの暗闇の城に大きくて美しい猫を見なかったか?…と。そして、
その猫の側に美しい女性がいなかったか?…と。

リースは何も言わず、ただ「いいえ」とだけ答えた…。
しかし、一瞬だが、姉の目が驚きの様相を見せた事をエリオットは見逃さなかった…。

あの猫はやはり、魔族だったのだろう…。そして、猫が一度大きく汚れ傷ついて帰ってきた事が
あった。あの傷をつけたのは……。

エリオットはベッドに横になり、今尚残る指の傷を見ていた…。


(カリカリカリ)
「ん?」
窓の方から何かが窓を引っ掻く音が聞こえたので、首だけを回して窓を見やると、何かが蠢いているように
見えた。エリオットはゆっくりと起き上がると、窓に近づいた。

「あ…」
エリオットはつい驚きの声をあげ、目を瞬きさせた。
そこには、あの猫とそっくりな色、毛並み、目つきをした猫が窓を必死に引っ掻いていた。
…あまりにもそっくりだった。ただ、その猫は、あの猫のようなエリオットを上回る程の巨体ではなく、
どこにでもいる、小さな猫だった…。

「ちょっと待ってね……んっしょ……わ!」
エリオットが窓を開けると、その猫は勢いよくエリオットの肩に飛び乗ってきた。

「きみ…あの時の猫?まるで大きさが違うけれど…」
猫はにゃぁと一鳴きした後、エリオットの頬をぺろりと舐めた。
「あは♪くすぐったいよ。…ほんと、見れば見るほど似ているなぁ…。お前、飼主はいないの?
もしかして、飼主は物凄く綺麗な女の人だったりして…。ふふ」

エリオットはその猫を抱いて、ベッドに腰掛け、膝の上に置いた。
その猫は居心地がいいのかエリオットの膝の上でくつろぐように丸くなると、
そのまま頭を撫でられていた。


「どうしようか?君、誰も飼主がいないんならここにいる?僕が飼主になってもいいかな?」
猫は一度顔をあげるとエリオットの顔をみてにゃぁと鳴いてエリオットの手を舐めた。
「あはは。それじゃあ、僕が飼主候補になるね?嫌になったらいつでも僕の指を引っ掻いていいからね。
……そうだ!そしたら、君に名前をつけるね?…えーっとえーっと」

エリオットは猫の喉をさすりながら、しばし考えると…。

「そうだ、『イザベラ』っていうのはどうかな?君のもしかしたら元飼主だったかもしれない人の名前…。
嫌?僕はすっごく素敵な名前だと思うんだけど…。」

猫は嬉しそうに鳴くと、エリオットの顔に飛びついてきた。

「あはは♪よ〜し、お前の名前はイザベラだよ。仲良くしようね♪
あっ!僕の名前言ってなかったね。・・僕の名前は『エリオット』。よろしくね!イザベラ!」

「とりあえず、姉様には見つからないようにしなきゃ…。ペットは駄目だって言われているし…。
ってうわ!…こ…こら!イザベラ!あはは」

イザベラがエリオットの顔に飛び乗ってきたのをひょいと掴むとそのままベッドの上でじゃれあった。

太陽の光が窓からのぞき、天の頂きを美しくも荘厳に見せている…。
マナの消えたこの世界に、未来と希望を抱いた少年の笑い声が溶けていった。













暗い闇に落ちていくのがわかる…。
これが『死』なんだと…。初めてのことながらわかる。
あぁ・・私は死んだのか…。
だが・・私の命などどうだっていい…。もう…。

闇の中、黒の貴公子様の死を知った・・。あのお方は敗れたのだ…。
だが、これでいいと思う…。もう、あのお方の魂を救う術はこれしかなかったのだと…。
聖剣の勇者達を恨む気持ちなどこれっぽっちも湧き上がらなかった…。

後は…あの・・運命の子の少年の事…。あの方の分も生きて欲しい……。

私は、そのまま、あるのかもわからない死後の世界を創造しながら、闇に身を任せた…。


気付くと、目の前の闇が光に変わったかと思うと、そのまま突然視界が真っ白になって意識も途絶えた…。
その途絶える寸前にマナの女神が私に微笑んだような気がした…。

私が次に目を覚ましたのは、草原の国フォルセナの町の中だった。
ただ…その姿は見るも無様な子猫の姿だったのだが…。

人の姿にはかろうじてなる事ができるものの、あの魔力に満ちた誇り高き魔族としての本性の
姿には当分なれそうもない…。かなりの魔力が失われてしまっている…。

だが…そんな事よりも何故、私は生きているのだ…。確実にあの傷は致命傷だったというのに…。
いや、一度確実に死んだのだ。では…私は…生き返った?のか?…。

最後に見えた光…
マナの女神が生き返らせたとでも?…馬鹿馬鹿しい。
黒の貴公子様のいない世界を見ろとでもいうのだろうか?これが私に与えられた地獄なのだろうか?
ふん、マナの女神も残酷な事をする…。
誰が生きるものか!すぐに、また死んでやる!

そう心の中で叫んだ後、何故かあの王子の笑顔が頭をよぎった。

………………。

「おーい、ウェンディ!何やっているんだい。夕飯が冷めちまうよ!」
「はーい、おばさん!ちょっと待ってて!すぐに行くからぁ!…よしよし、美味しい?綺麗な毛並みだねー、お前」

私は卑しくも人間からおこぼれをもらっていた。情けない…、私は自ら死ぬ事すらもできない臆病者になってしまった
のだろうか?…くそ!

「よしよし…きゃっ!…もう、そんなに怒らないでよ!せっかくの綺麗な毛並みが台無しだよ?…あ!」
「おーい、どうした?ウェンディ、夕食は一緒にっていつも…」
「あっ、お兄ちゃん。…うん、ちょっと綺麗な野良猫がいたから私が作ったお菓子をあげていたの。
 つい今さっきまでいたんだけど…。」
「ふーん。はは、きっとウェンディの手作りお菓子が不味かったんじゃねぇのか?」
「ひっどーい!お兄ちゃん!今夜はおかず抜きだからね!」
「ちょ!そりゃないぜ、ウェンディ!」

私は後ろの方から聞こえる兄妹らしき会話を聞きながら、その家を離れた。一度振り返り、
小さく見えるその2人を見ると、再び、路地裏へと足を走らせた。どこか聞き覚えのある声だったが……。

そうやって、私は人間のおこぼれをもらいつつ生き抜いた。何度も死のうと思った…。

だが、できなかった。その理由はわかっている。…そう…あの少年だ…。ローラントの王子…。
ローラント…か…遠いな…。今の私の姿では…。
私は、夜空の星を見ながらそんな考え事をしていると、うとうとと睡魔に襲われそのまま眠りの海へと落ちていった。

次の日、私はいつも餌を貰っている、女の子のいる家へと向かった。ちょっとした礼と別れを言おうと
思ったからだ…。私は短時間だが戻れる人間の姿へと変わるとその家の前へとやってきた。

彼女(名前は確かウェンディと言ったか?)は庭で花の手入れをしていた。

「こんにちわ」
「えっ?あ…こ…こんにちわ(うわぁ…綺麗な人…)。…あの、何かうちに御用ですか?」
「えぇ…」
ウェンディは目の前に立つ美しいストレートの髪をもつ美女のその容姿と漂う気品に見惚れていた…。

「(間違いなくお兄ちゃんのお客じゃぁないわね。)あの…叔母なら今は…」
「いいえ、用があるのはあなたよ。いつも私の飼い猫がお世話になっているわね。ありがとう」
「え?…あ・・あぁ、いえ!そんな、大した事はしていないです…。そっか…あの猫ちゃん飼い猫
だったんだ。」
「えぇ…ずっと探していたの…。ありがとう。」
「そうだったんだ…。良かった…。…ん?でも何で私があの猫ちゃんの世話をしてあげていたって?」
「ふふ、私は猫とお話ができるの。」
「はぁ…」
「それじゃあね…。可愛いお嬢さん。お兄さんにもよろしくね。」
「(// //)あっ、はい!…」


ウェンディはそのまま上品な足の運びで去っていく絶世の美女に今だ頬を赤くしながら見惚れていた。
(はぁ〜、大人な女〜、かっこいいなぁ…。あれ?何でお兄ちゃんの事を?)

「おーい、ウェンディ!…どうしたぁ!何顔赤らめているんだよ!!」
「もう!お兄ちゃんったら最悪!せっかく素敵な人に会って人が乙女の感傷に浸っていたのにぃ!」
「な…乙女って…。あ!!まさか…男だな!男なんだな!!おい!どんな野郎なんだ!兄ちゃんが」
「うるさいなー!安心してよ!私はお兄ちゃんがお嫁さん見つけてくるまでは安心できなくって
自分の恋にも専念できないよ!…しかも、男じゃなくて女の人!」
「ちょ!俺の嫁って!・・いや!そんな事よりも『女』って!そんな!お前、それって確か『れずびあん』
とか何とかいう!あぁ!ちょっと兄ちゃんがじっくりと説教してやる!待ってろよ!」
「もーーー、うるさいうるさい!今、食事を作るからお兄ちゃんは少し黙ってて!!
……全く、こんな単純馬鹿だから、恋人も…(ブツブツ)」


それから、私は行商人の荷台に乗ったりしながら、町と町を移動し、そして、定期便の船の船倉に上手く
潜り込み、何とかローラントの窓口、漁港パロまで辿り着いた。

その後、パロでローラント城までの行商人の荷台を見つけると、颯爽と飛び乗った。

荷台の中、ローラント城が近づいていると思うと私の胸は何故か動悸が早くなるのだった…。
私は…拒絶されるのだろうか?いや、私と果たして気付くかどうか…。
最悪、私は退治され、殺されるかもしれない…。

死は怖くない・・。ただ、あの王子に拒絶されるのが怖い…。私は一体…。
もうすぐ、この正体不明な感情の答えが見つかるような気がする。
あの、王子に会えば…。きっと答えが…。



荷台が止まって、何やら話声が聞こえる。その後再び動き始めた後、すぐに再び止まり、荷物が次々
と降ろされていく。どうやら着いたようだ。
私は荷台の荷物の山からひょこっと顔を出した。……眩しい…。
その、眩しい日差しの中、あの城が視界いっぱいに広がっていた。…懐かしい…
とは言っても私はこの城にとっては死神だったわけだが…。

荷台を降りた後、城の外壁を登った。…あの王子の部屋はどこなのだろう?

一通り探した後、私は一つ一つ部屋を見て回るという地道な作業をする事にした。
やみくもに動き回っていても、キリがない…。

探し始めて1時間程して、やっと見つけた。あの王子だ。机に向かって必死に何かを書いている。
どうやら、勉強のようだ。その顔はどこか以前見た時よりも大人びているように見えた…。が、
伸びをしてベッドに横になった王子の顔はやはり年相応の幼い少年の顔だった。

会いたい…。あの少年の側にいたい!守っていきたい…。

私は気付くと、窓をしきりに引っ掻いていた。王子はそれに気付くと身体を起こし、
窓の側にやってきた。私を見る目…。何も変わっていない…。
あの純粋無垢な目だ…。一瞬驚いた顔をしたが、私の正体に気付いたんだろうか?

窓が開けられると私は、知らない間に王子の肩に抱きついていた。

あぁ…やっと……やっと会えた…。エリオット…。


エリオットはやはり私とは気付いていないようだが…、どうなのだろう?
だが、そんな事はどうだっていい…。エリオットが私を受け入れてくれたというだけで…、私は…。

エリオットの手が私の喉を撫でる。…嬉しい…。エリオットの笑顔を見ているだけで…。

エリオットは私の名前を『イザベラ』と名づけた。最初、あまりいい気はしなかった。忌まわしい思い出しかないからだ…。
殺戮と黒い毎日…。しかし、王子は素敵な名前と言ってくれた。
ならばいい。罪を忘れないためにという戒めと思えば…。これから、その名前で…エリオットの為に…。

私はエリオットに抱きつき、キスをした。『お前を守る』という契約の印と誓いとして。
ここが、私の新しい居場所…。まだ、どうなるかわからないけど…魔族の私が上手くやっていけるのか
わからないが…生きていこうと思う…。この王子が私を必要としてくれる限り…。

黒の貴公子様…。そして死んでいった多くの同胞達…。どうか…この運命の子を守って下さい…。
私は生きてみようと思います…。全ての罪をその身に受けて…。

これでいいですか?黒の貴公子様…。
これで……。


 



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