とてもらぶでした

676氏



「師匠さん。お茶、入りましたよ」

樫の木の椅子に腰掛けた青年に、コロナはそう言いながらさっ、とコーヒーカップを差し出した。

「おお、サンキュな」

青年はコロナの紫色の髪をくしゃっと撫でてやる。
コロナの大きな瞳と薄い唇が、笑みの形にほころぶ。森人の特徴であるとんがった耳が、ぴこぴこと嬉しそうに揺れた。

青年は、コロナの弟のバドの師匠である。彼女の弟は彼を師匠、と呼ぶ。
コロナは最初、彼を名前に「さん」をつけて呼んでいたのだが、いつの間にか「師匠さん」などと言う妙な呼び方をするようになっていた。
バドに「師匠は師匠なんだから師匠って呼べよ〜!」と言われ続けていたので、いつの間にか混ざってしまったのである。

「あの、師匠さん、今日はどこか出かけるんですか?」

お盆を抱いて、少し首を傾げながらコロナは聞いた。
頭の後ろのリボンと、まとめられた髪とがかすかに揺れる。
青年…師匠は、空っぽになったカップをテーブルに置いて、笑う。

「ああ、真珠姫と、ちょっと遠くにな」

彼の言葉に、コロナはちょっとだけ、柔らかな自分の頬をふくらませて不満な表情を作って見せた。師匠には分からないように、ちょっとだけ。

"師匠"は、よくこの家…コロナとバドが居候している彼自身の家…を留守にする。
しかも帰ってくると大怪我をしている事も多く、彼女にとって"師匠"の外出をあまり歓迎できない。たいてい、無茶をするから。
誰かのために彼が怪我をして帰ってくるのは、コロナに取ってとてもつらい事だ。とても、とても。

それに、真珠姫だ。
師匠はよく出かけるが、出かけた先でいろんな人と知り合う。
しかしなんだか、彼と知り合う女性というのが、妙に美人揃いなのである。
白真珠の珠魅真珠姫、黒真珠の珠魅レディパール、僧兵ダナエ、ドラクーン・シエラ、セイレーン・エレ…他にも、たくさん。
みんながみんな、女性のコロナから見ても美しく、魅力的で、かっこいい。
その上、現在七歳のコロナより、彼女らの方が"師匠"に年が近いのだ。

外で、どんな話をしてるのだろう?外でどんな事をしてるのだろう?
不安で、胸がどきどきして熱くなる。ほんのちょっと、彼女らに嫉妬して、ちょっとだけ、師匠が憎らしい。

そんなコロナの内心を知ってか知らずか、"師匠"は暢気な顔で、言った。

「いつもいつも悪いけど、留守番頼むな」

もう一度"師匠"がコロナの頭を優しく撫でた。
色々言いたい事はあるけれど、自分の頭を撫でてくれるこの手は大好きだ。
だから、彼女は笑顔で彼を送り出す。

「師匠さん、私がいないからって、はじけないでくださいね」

とびっきり元気で、可愛らしく、魅力的な笑顔で、コロナは"師匠"を送り出した。

結論からいえば、その日"師匠"は無事に帰ってきた。
その点では、コロナはほっとした。とっても。

けれど、"師匠"が夕飯の時に語った今日の出来事のせいで、いま、彼女の薄い胸の内側はちくちくと痛かった。

"師匠"はパンをかじりながら、真珠姫と魔法都市ジオでウインドウショッピングをして、一緒にご飯を食べて、他にも色々な物を見てきた事を話した。嬉しそうに。
つまり、今日の外出は真珠姫との、その、だから、結局のところ。
(デート、してたんだ…)
その後、自分達の寝床…屋根裏部屋に戻って布団を被って横になっても、そのことが頭の中をぐるぐるぐるぐる回り続ける。
すぐ横で、バドがぐーすか幸せそうに寝ているのを見ると、無性に腹が立ってしょうがない。
いらいらして、"師匠"の顔を思い浮かべて、どきどきして、今日の"師匠"の事を思い出して、いらいらして。
そのうち気持ちがぐちゃぐちゃになって、訳が分からなくなってくる。

「師匠さん…」

そうつぶやくと、胸が高鳴る。ぐちゃぐちゃな気持ちが少し、よくなった。

「師匠さん…師匠さん師匠さん師匠さん…」

だから、何度も呼ぶ。
胸が高鳴り、それに併せて背中をくすぐったいような感覚が走り抜ける。

呼ぶたびに切なくなって、どきどきして…気持ちよくて。
とうとう我慢できなくなって立ち上がる。
お父さんのほうきを握りしめて、コロナはゆっくりと"師匠"の部屋へ歩き出した。

目の前のベッドで、"師匠"が寝ている。
パンツ一枚で、布団を被って、無邪気で無防備な顔で。
その枕元にコロナが立った。
潤んだ瞳で"師匠"を見つめて、そしてためらいもなく赤いワンピースを脱ぎ捨てる。
上半身は薄いシャツ一枚。そして、下半身は何も身につけていない。まるっきり子供の、つるつるの秘所が丸出しになっていた。
そこは熱く、そしてしっとりと濡れている。

「師匠さん」

切なげにコロナがつぶやき、そしてその場に座り込む。
そして何のためらいもなく、自分の大事な部分に右手をあてがう。

「っぁっ…んっ…ししょぉさぁん……んっ、くあっ!」

いやらしい水音。床に、あっという間に小さな水たまりができる。
指を差し込んで、引き抜いて、もう一度差し込んで、こね回して。

「うぅん……もっとぉ…師匠さんもっとぉ…」

もっと気持ちよくなりたい。コロナは右手を秘所から引きはがすと、傍らのほうきを取った。
同時に左手で、"師匠"の顔を優しく撫でる。

「師匠さん…きてください……おもいっきり、はじけて…」

ほうきの柄を秘所にあてがい、そして、思いっきりソレを押し込んだ。

「ァッ!ァッ!……ッ!」

コロナの華奢な体がびくびくと痙攣し、心が遙かな高みに上り詰める。
心臓が張り裂けそうなほどにはね回り、激しい快感に口から一筋唾液がこぼれ落ちた。

「あっ、んっ、ぅあっ…師匠さんもっと……奥までぇっ!」

じゅぷっ、じゅっぷ、じゅぷっ…
コロナは右手を激しく動かし、体の奥にほうきを押し込んでいく。
左の腕で師匠の頭を抱きしめる。髪が、柔らかい。
「ふぁっ!あっあっぁぁ!師匠さん、あのっ!あっ!わた…わたしぃぃっ!」
痙攣するからだ。熱く濡れた声。コロナは師匠の頭を抱きしめ、叫ぶ。

「師匠さん!好きです。師匠さん師匠さん師匠さん師匠さんっしっ、ししょうさあああぁぁっ!」

同時に、達した。
幼い顔が甘やかにほどけ、直後に襲いくる絶頂にぐっとしかめられる。
全身が完全に脱力し、ようやく"師匠"の頭に両手でしがみついてくずおれるのを防ぐ。

「また、やっちゃった…」

余韻に浸りながら、後悔の言葉をつぶやく。
"師匠"の部屋に忍び込んでの自慰行為はコレが始めてではない。と言うか、ほぼ毎日やっている。
いつからこんな事を始めたのかは覚えていないが、正直、やめる気にはならない。
だって、起きている師匠に「好きだ」と伝える勇気がないから。だから、こうやって自分を満足させるしか、ないのだから。
コロナはゆっくりと立ち上がり、一階に下りていった。びちょびちょの床を掃除するために、ぞうきんを探しに行ったのだ。

そうして、コロナが下りていった後、部屋の隅でサボテン君ぱぼそりと小さく、感想を漏らした。

「とてもらぶでした」



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